2014/2/16

老兵は死なず、ただ消え行くのみ  MOVIE

先日2月2日にお亡くなりになった
名優フィリップ・シーモア・ホフマンさんへの
哀悼の意を表し
本日のDVDは
GEO準新作・旧作7泊8日50円で
レンタルしてきた

「25年目の弦楽四重奏」

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です。



すべては、チェリストの突然の引退宣言から始まった。
結成25周年を迎えた世界的に有名な弦楽四重奏<フーガ>が、
記念の年の演奏会のリハーサルを始めたその時、
チェリストが不治の病を宣告されたのだ。
動揺したメンバーは、自分たちでさえ予期しなかった言動に
走り始める。
第1を弾きたいと言い出す第2ヴァイオリン、
それを止めようとするヴィオラの妻。
夫婦の亀裂を招いた、娘の衝動的ともいえる犯行、
そして、チェリストの秘めた決意−
果たして、演奏会の幕は上がるのか−?

(公式サイト「INTRODUCION」より)

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主要キャストの年齢が高く日本受けのしにくい大人の映画です。

演奏会で予定されている曲は
「ベートヴェン弦楽四重奏曲第14番」
という曲です。

新垣隆という人が現れて初めて
佐村河内守という名前を知ったくらい
クラッシック音楽に疎い私にはそれがどのくらい
大変なことか判りませんが、
この曲はベートヴェンが
全7楽章を”アタッカ”で演奏するべきと遺言した
いわくつきの曲なんだそうです。

非常に丁寧に撮られていますので
映画を最後まで見れば
私のようにクラシックになじみのない人にも
「ベートヴェン弦楽四重奏曲第14番」が
どれだけ難易度の高い曲か判るようになっています。

映画は、弦楽四重奏のメンバー
チェロのピーター・ミッチェル(クリストファー・ウォーケン)
第1ヴァイオリンのダニエル・ラーナー(マーク・イヴァニール)
第2ヴァイオリンのロバート・ゲルバート(フィリップ・シーモア・ホフマン)
ヴィオラのジュリエット・ゲルバート(キャサリン・キーナー)
が、今季初めてのリハーサルのために
ピーターの家に集まるところから映画は始まります。

4人にとっては1年ぶりの再会になりますが、
近況報告もそこそこに楽器をケースから取り出します。

ところが、いざ練習を始めてみると、
どうにも息が合いません。

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音合わせが始まってすぐに手が止まってしまう4人。

5分も経たずして演奏は取りやめに。

原因は最年長であり
他の3人にとっては師匠筋にあたるピーターにありました。

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思うように動かない左手。

後日知り合いの医師の診察を受けるピーター。

精密検査の結果を待つまでもなく
ピーターの症状から考えられるのはパーキンソン病です。

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専門外の私でさえ判りました。

パーキンソン病は脳が出す運動の指令がうまく伝わらず、
スムーズに動けなくなる病気です。

進行を抑える薬はあっても
治療法の見つかっていない難病であり
指を細かく使うチェリストにとっては致命的です。

悩んだ末、ピーターの下した決断は、
四重奏を維持するため、後任のチェリストを入れ
自分は、今季の演奏会の初日を最後に引退することでした。

そして、自身にとって最後の演奏となる演奏会初日までの期間、
地道にリハビリに励むピーター。

なんとか演奏会直前には
再びリハーサルができるまでこぎつけるのですが…。

いざ演奏を始めると
他の3人の間にただならぬどす黒い空気が
漂っているではないですか!

「え?ほんの少し目を離した隙に
3人に何があったの?!」

愕然となるピーター。

瞬く間にぎずぎずし始める
ヴァイオリニストとヴィオリストにいたっては
演奏を続けるどころではありません。

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メンバー間の一触即発状態に動揺を隠せないピーター。

ピーターが療養中、
3人の間に何が起きていたかと云いますと

@これまで第2ヴァイオリンに甘んじていたロバートが「これを機にこれからは第1ヴァイオリンをダニエルと交互にやりたい」と提案。

Aところが、腕に絶対の自信を持つダニエルはもちろん味方になってくれるはずの妻ジュリエットにまで猛反対されてしまったロバート。

Bその後「最高の第2ヴァイオリン」であるロバートに「そのままの君でいて」欲しいダニエルとピーターに引退して欲しくないジュリエットが2人だけで密会。

C普段からダニエルに深いコンプレックスを抱いているロバートが妻とダニエルの密会を知り非常に落ち込む。

D何故なら、妊娠がきっかけでロバートと結婚する以前、ジュリエットはダニエルと付き合っていたから。しかも熱愛だった。

E自分に味方もせずピーターのことばかり気に病むジュリエットと喧嘩しロバートはジョギング仲間であるフラメンコダンサー、ピラールと一夜限りの浮気を決行。

F翌日にはジュリエットに浮気がばれてしまう。

Gロバート、怒ったジュリエットに家から追い出される。

Hゲルバート夫妻が離婚の危機に陥っている最中、ピーターから頼まれ夫妻の一人娘アレクサンドラのヴァイオリン指導をしていたダニエルとアレクサンドラが急接近。やがてベッドイン。

Iそれを知った元カノ、ジュリエットが2人の恋愛にそれとなくチクリと釘を指す。

Jダニエルとのことを責める母の言葉にアレクサンドラが切れて「演奏家夫婦の子供に生まれていいことなんてちっともなかった!」と手が付けられないほど大暴れ。

Kこじれにこじれたまま今に至る。

L相関図にするとこんな感じ↓。

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クリックするとたぶん拡大すると思います。

Mこれら不協和音の原因が判ってのピーターの一言。

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…ですよね。

1年前までは
いろいろと不平不満もございましょうが、
愛する四重奏団を平穏維持するため、
胸の内に呑みこんでいた3人。

それがピーターと云う箍が外れた途端
25年分の恨み辛みが一気に噴出してしまったのです。

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特にロバートはいろいろため込んでいた分反動が大きい。

これまでの絆ももろく崩れてしまいました。

だからと云って演奏会の日は待っていてはくれません。

そこで
四重奏団を先頭に立って率いていた最年長のピーターと
四重奏団を後ろから眺めていた最年少のアレクサンドラが
協力しあい身を削って
大人げない大人たち3人の心を救うことになります。

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ピーターの手の上にそっと手を重ねるアレクサンドラ。これも美しいシーンです。

ダニエルにレッスンを受け始めた頃には
自信過剰で生意気なところもあった
小娘のアレクサンドラが
実はこのなかで一番大人だったのです。

そのアレクサンドラが
両親が所属する四重奏団について語る場面が
素敵だったので
後々自分がいつでも読み返せるように書き起こしてみました。

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アレクサンドラからダニエルへの愛の告白にも聞こえます。

「まず、あなたがいる。
冷酷なまでに完璧な演奏で客を魅了する。
ヘビ使いがヘビを魅了するように。
そして、私の父がいる。
父の演奏が、色彩、質感、リズムを与える。
あなたを引き立たせ決して自分は前に出ない。
さらに母がいる。
音に深みを添えるのよ。
母の音色にわけもなく泣けてくるの。
傷ついた魂の叫びね。
3人の主に仕えるため母が身につけた処世術なのよ。
愛する1人。
共に組む1人。
心から求める1人。
(中略)
”完璧な四角”を支える心の大きなチェロ弾き。
そして安全が守られ激情がほとばしる。
後は座って身を任せるだけ。
理想的な四重奏団よ。」

ところで、クライマックス、
そんな完璧な四重奏団に
後釜としてピアノ三重奏団から
強制移籍させられたニナ・リーさんが
疎外感に溢れどことなく気の毒に見えるのは
気のせいでしょうか?

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ピーターの引退を惜しむ3人の中で一人居心地の悪さこの上なし。

そのせいか、
「え?さっきまでピーターこんな激しい演奏してたっけ?」
と、思わず瞼をこすってしまう程
ダイナミックなパフォーマンスで第6楽章を演奏するニナ。

却って一人だけ浮いちゃってますよ!!

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怖い怖い。怖いよ、顔が。

なんと(顔の)インパクトが強い女優さんかと思っていたら
ブレンターノ弦楽四重奏団の現役団員チェリストの方でした。
ニナ・リーも実名だそうです。

俳優の方々は演技だからのか実に優雅に楽器を奏でている中
一人だけ悪目立ちしていますが、
実際の演奏はダイナミックなんですね、きっと。

フィリップ・シーモア・ホフマンの
抑えた演技も素晴らしく
全体的には地味めですが、何度も見たいそういう映画です。

 
 

 


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