2013/12/4

健やかなるときも、病めるときも  MOVIE

NHKには1961年から始まった
「朝の連続テレビ小説」という長寿番組があります。

朝に1回、昼に1回週6日放送されるその長寿番組を
私が本格的に見始めたのは
第84シリーズ目にあたる「おひさま」からです。

このシリーズは共通して
主人公であるヒロインが、自分の生き方を見出しつつも
理解のある男性と結婚して子供を授かり
良妻賢母として幸せな家庭を築きます。

いくつかの例外はあれど
たいがいハッピーエンドで終わります。

そんな「朝の連続テレビ小説」を最近になってようやく見始めた私が
まず驚かされたのは
ヒロインが結婚する男性の底抜けの優しさと
妻に対する献身さです。

特に最初に当たった
「おひさま」のヒロイン丸山陽子(井上真央)の夫
丸山和成(高良健吾)は衝撃的でした。
彼はいったい何者なのでしょう。

高良健吾が演じておりますので
当時の美的感覚(昭和初期)にしてみれば
若干バタ臭い感じがしないでもありませんが
かなりのハンサムです。

そんな和成こと和さんは
母の薦めで陽子と見合いをし、陽子に好感を持つものの、
その直前に赤紙が届いたため、
陽子を戦争未亡人にさせたくない思いから
見合い話を泣く泣く断る優しさを持って登場します。

終戦後、和さんは無事帰還し子供も生まれて
これでようやく幸せな夫婦生活が…
と思いきや、
陽子は産休が明けるやいなや小学校教師に復帰します。
子育て支援制度などまだ存在しない時代のことです。

職場まで連れて行けない生まれたばかりの娘に
母乳を飲ませるがため
なんと和さんは自身が勤めている工場の昼休みの時間を縫って
娘を抱えて毎日安曇野と松本を汽車で往復する
という暴挙に出ます。

終戦直後です。

今ではJRで片道15〜30分で行けるとしても
安曇野と松本の往復は楽ではなかったはず。

しかも乳飲み子を背負って、です。

しかし、和さんは実行するのです。

…えっ?こんないい旦那さん、どこに落ちているの?

当時、NHK朝の連続テレビ小説慣れしていなかった私は
その想いをmixiで吐露したところ
マイミクの方から
「連続テレビ小説では夫が妻にゲロ甘のは昔から。
何をいまさら。」
と指摘されてしまいました。

確かに、今期の「ごちそうさん」にしても
ヒロインである卯野め以子(杏)と
夫となる西門悠太郎(東出昌大)は
お互い印象が最悪の出会いをしておきながら
一度結婚してしまうと
悠太郎は自分も慣れない役所仕事の中、
これまで大学で学んできたことが生かしきれず
鬱屈しているにも係らず、
家に帰れば新妻であるヒロインのグチを
嫌がらず聞いてくれるのです。

なんでこのドラマシリーズの夫たちはこうも
ヒロインに優しいの?

そうか、世の中の奥様方は
ここにドリームを見ているのね。

つまり、現実はこんな夫は
なかなか見つからないということなのでしょう。

こういうパートナーだからこそ
ヒロインの人生は輝き、才能があるものはその才能を花開かせ
自分の生き方を手に入れることができるのです。

では、パートナーは
普通にその辺にいる男性と同じような扱いしかしてくれなかったら
どうなるのでしょう。

それを描いた映画が本日のDVD

「シルヴィア」

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です。

大変長い前置きで申し訳ございませんでした。
ここからは本編になります。

 

この映画では
ピューリッツァー賞を受賞した作家
シルヴィア・プラス(グウィネス・パルトロー)
夫であった詩人テッド・ヒューズ(ダニエル・クレイグ)
の出会いから結婚生活までを描いております。

問題は、このシルヴィアという女性が
類稀なる詩作の才能を持ちながら
若い頃から双極性障害を患っており
一度自殺未遂まで起こしていることです。

こういう女性に対して
「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを」
誓うには相当な覚悟が要ります。

同じく若くして詩作の才能に恵まれた
テッド・ヒューズは大学に在学中、
とあるパーティで
頭の良く見た目も魅力的な女性シルヴィア
と知り合います。

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女性同伴で来ていたテッドでしたが、シルヴィアに心を持っていかれます。

同じ職業詩人を志す2人はお互いに一目で惹かれあいます。

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最初に行動に出たのはテッドの方からでした。

シルヴィアの精神が不安定なことも感知しつつ
テッドは彼女との結婚を決意します。

しかし、結婚報告にシルヴィアの実家を訪れた際
シルヴィアの母親から
彼女が自殺未遂を図った際の状況を語られた上で

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この「優しくする」がどれだけ難しいことかこのときのテッドは判っていません。

と念を押されてしまうと
新婚ボケのテッドはともかく見ているこちらは
そこはかとなく不安が頭を擡げてきます。

そんな安請け合いして大丈夫か?テッド。

という映画鑑賞者の不安をよそに
2人だけの楽しい新婚生活が始まります。

ところが、新婚といえど楽しいことばかりとは限りません。

詩作が順調で賞まで獲ったテッドに対し
シルヴィアは深いスランプに陥ってしまいます。

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そんな妻に夫はやたら詩を書くよう薦めてきます。…それ逆効果なのでは?

さらにテッドが講演会を開けば、
ミーハーなファンの女性たちに囲まれるわ
勤め先の大学の若くてキレイな女子大生が自宅にまで
作品を持ってきて「批評してくれ」と云い寄ってくるわ

と、才能があり人づきあいも良く男前な夫をもったため
いつか自分を捨てて浮気するのではないかという
妄想に常に悩まされることに…。

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妻との待ち合わせに遅れた上に若い女性のお喋りに現を抜かしていたのですから
シルヴィアが怒るのも無理ありません。


しかし、それを夫に訴えると何と、夫逆切れです。

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全然優しくしてくれません。安心もさせてくれません。

そうなるとどちらかが家を出て行くしかありません。

しかし、どんなにケンカしたところで
シルヴィアにはテッドしかしないので
結局は元の鞘に納まる2人。

テッドとしてはなし崩しに仲直りしていだけで
妻の不安や悩みとは真剣に向き合っていない分
どんどんシルヴィアは精神的に追い詰められていきます。

夫がいつもなあなあで済ませてしまうので
心機一転するためのロンドンへの引越しも
(その引越し先も寒々しく陰気なところというのがまた…)
待望の長女の誕生を持ってしても
シルヴィアの悩みは一向に解消されることはありません。

テッドとしても
育児に疲れ詩作もままならず笑うことさえ忘れてしまった妻と
鬱屈した一つ屋根に下にいるのが心底嫌になっても
仕方ないと云えば仕方なのですが…。

ケンカするたびに妻の元から逃げるばかりで
ついには愛人まで作ってしまうのは
どうかと思いますよ。

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そこで素直に出て行くのが正しい選択なの?

別れた後も、
クリスマスには
「一人で迎えるクリスマスは淋しい」と云いながら
シルヴィアと子供たちの元を訪れたり

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久しぶりに父親が帰ってきたというのに見向きもしない子供たち。

シルヴィアから呼ばれれば、のこのこ自宅を訪ねるテッド。

で、やることだけはやって

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だ、ダメだ、この男…。

シルヴィアが意を決して復縁を迫り
浮気相手と別れるように頼むと
「無理だ」。
理由は

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ちょ、待てや。こっちはお前の子2人も生んでるんですけど?

だそうです。

はああああ?!


その言葉が決定的なものとなりシルヴィアは本当に自殺します。

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しかも本宅に泊まることもなくその日のうちに愛人の所に帰っちゃいました。

ていうか、テッド、
シルヴィアがどういう行動に出るか判って
それ云ってますよね。

結婚生活の中でシルヴィアがどう云う精神状態にあったか
浮気相手を択べば彼女がどういう行動を取るか

どこかで期待していたのではないでしょうか

シルヴィアが自殺して自分が解放されることを。

はっきりそう意識していなくても
彼女の自殺でかなり安堵しているのではないでしょうか?

Wikipediaのテッド・ヒューズの記事によると
「シルヴィアの作品が高く評価されるにつれ、テッドとの不幸な夫婦生活が議論の対象となり、特にシルヴィアを援護するフェミニストらから、テッドは『殺人犯』として攻撃された。」
とあります。
この映画を見ているとほんとそう思っちゃいますよね。

私なんか
「ああ、そんなこと云ったらシルヴィア自殺しちゃうよ。
愛人の方が捨てられても自殺までしないと思うから
シルヴィアの元に戻りなよ、テッド。」
と思ってハラハラしながら見ていたのですが、
映画を見終わった後、wikipeiaの記事を読むと

「シルヴィアが亡くなって6年後の1969年3月25日、アッシア・ウェーヴィルは自ら睡眠薬をあおり、わずか4歳の娘アレクサンドラ・タチアナ・エロイーズ・ウェーヴィル(テッドとの子供である)とともに心中した。」

と書いてありました。

アッシア・ウェーヴィルがその時の愛人です。
4歳の娘とあるので
「彼女は妊娠している」と云うセリフは
映画オリジナルなのか、本当にあったセリフなのか
判りませんが、

つくづくテッド、ダメすぎるわ。

いくら映画のラストシーンが美しくても

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オーブンに頭を突っ込んでの自殺なのでこれはあくまでテッドの心象です。

テッド、夫失格だわ。

和さんの爪の垢を煎じて今からでも飲ませたいくらいです。


 
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