2013/8/22

その力は、正義か、破壊か−  MOVIE

皆様はラッセル・クロウという俳優さんをご存知でしょうか?

と、改まって尋ねるまでもなく
さぞかし多くの方がご存知のことと私も存じております。

肥満というわけではありませんが、
梃子でも動きそうもないずっしりとした体格。
今にも寝落ちしそうなのに威圧感を宿した瞳。
人一人ならものの2秒で絞め殺しそうな筋肉。
一旦こうと決めたら簡単には意見を変えそうにない口元。
そして、キスだけで女を妊娠させそうなフェロモン。

とりあえず、ラッセル・クロウに任せておけば
多少の問題は難なく回避できそうに思えます。

ただ、この方、プレイベートはどうか預かり知りませんが、
あまり良いイメージがありません。

嫌いではありませんが、
来日の際は成田空港のロビーの柱の影から
目に触れない様遠巻きにお迎えしたいタイプの
ハリウッドスターです。

間違って結婚などしてしまったら名字が名字だけに
嫁がいらん苦労をしこたましていそうな、
そんな感じがしてなりません。

彼が父親なら実際に虐待が行われていなくても
子供は彼の一挙一動に常にビクビクして
暮らさなければならないような気がします。



あ、あくまでイメージですからね。
イメージ、イメージ。

実際お会いしたらブラックカードでディナーを奢ってくれるくらい
フレンドリーな方かもしれませんし。

というラッセル・クロウも出ている

「マン・オブ・スティール」

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を試写会で見てきました。

どういう映画かとネタバレしない程度で申しますと、
まだ飛ぶのがおぼつかない時は「インクレディブル・ハルク」、
少し飛ぶのに慣れてきたら「アイアンマン」、
すっかり飛ぶのにも慣れた田舎での戦いは「マイティ・ソー」、
戦いの場がNYに移ってからは「アベンジャーズ」
のような映画です。

というのが正直な感想です。


映画は正真正銘瀕死の惑星、クリプトンから始まります。

どのくらい瀕死かと申しますと、
既に星崩壊まで後一日と告知されております。

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崩壊寸前のクリプトン星とこうなるまで何もせず手を拱いていたクリプトン星人。

その惨状を目の当たりにして
天文学者のジョー=エル(ラッセル・クロウ)は
唯一の希望を人300年ぶりに自然分娩と云う方法で
生まれた息子カル=エルに託すことを決意します。

何故300年ぶりかというとクリプトン星では
ながらく出産規制がなされており
遺伝子の種類によって生まれる前から
将来どのような職に就くか定められた新生児を
人工的に培養していたのです。

そのことに危機感を抱いたジョー=エルは
妻であるララ・ロー=ヴァン(アイェレット・ゾラー)に
子供を出産することを強要します。

(建前として)滅び行く祖星の未来を
生まれ来る我が子に託そうと云うのです。

そんな夫に素直に従うインテリの妻。
彼女も彼女なりに子供を生みたかったのでしょうが、
それよりなによりか弱い女性が
「自然分娩しろ」
とラッセル・クロウに凄まれて逆らえるわけないじゃないですか。

そりゃいいですよ。
出産で苦しい思いをするのは男ではありませんもの。

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自ら息子を取り上げるジョー=カル。それはともかくまずはララを労え!

自然分娩はクリプトン星では禁忌に当たりますが、
残り数時間で地核爆破してしまうような星の法律なんて
ジョー=エル、知ったこっちゃありません。
やりたいことをやらせていただきます。

この星では指折りの学者ジョー=エルが
クリプトン星の滅亡に備えて唯一行ったことが
世界を変えることでもなく
議会に直訴することでもなく
「子作り」だったのは当に男性の本能のなせる技でしょう。

ジョー=エルの
「世界が滅ぶとしたら何をする?」の答えがこれです。
「たとえ明日世界が滅ぶとしても、
私はリンゴの木を植えるだろう」です。

そのためならば議会の命令もお構いなしです。

しかし、そこはそれ、ラッセル・クロウですから
自然分娩でさえ、大義のためではなく
ただやりたかっただけに見えてしまいます。

生まれたばかりの息子を目も開かないうちから
さっさと母親であるララの手から取り上げると、
親友であるゾット将軍(マイケル・シャノン)が

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ジョー=エルの親友ゾット将軍。見た目どおりあまり賢くありません。

反逆者となったジョー=エルを逮捕しに来る前に
前もって盗んでおいたクリプトン星人全ての遺伝子情報が入った
コーデックスとか云う石…?
とともに小型ロケットに押し込め、地球に向けて発射。

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新生児しか乗れない宇宙船。出産日が後1日遅れたらどうするつもりだったのか?

全てを成し遂げると
「息子よ、後は頼むぞ!」とばかりに
自身はやってきたゾット将軍の刀の錆となってしまいます。

しかし、その死に際の顔が
ドヤ顔に見えたのは私の気のせいでしょうか?

痩せても枯れても(実際は痩せても枯れてもいません)
ラッセル・クロウですよ。

そうやすやすと殺されるわけが…。

不幸なのは残された奥さんララと、
クリプトン星の未来を双肩に背負い(しかもこれが比喩ではなかった)
さらには地球との架け橋になれ!などと云う
過度な期待を掛けられた息子カル=エルです。

そもそも人工培養の際、
子供たちが「役割」を決められて生まれるを
阻止せんがため、自然分娩で出産したんですよね?

それなのにまっさらの状態で生まれた息子に
早々に「役割」を与える父親。

それも2つの星の運命を担わせる
生半可でない「役割」をです。

え〜、何なんですか、この父親?

とにかくジョー=エルの息子に対する要求が
半端ではありません。

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せめてこの程度なら…。それでも息子にはかなり負担だ。

生まれたばかりなのにカル=エルは
親の不始末でできた億単位の借金を相続したも同然です。

一方、未亡人となったララは
夫の葬儀を挙げる間も無く
そのままクリプトン星とともに
失意のままその生涯を終えることになります。

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ここでエッセイを出せば悲劇の母親本としてベストセラーとなることでしょう。

やがて首も坐っていないのに宇宙船で飛ばされた息子の方は
たまたま、乗っていたロケットが不時着した先に住んでいた
ジョナサン・ケント(ケヴィン・コスナー)
マーサ(ダイアン・レイン)夫妻に引き取られ
大切に大切に育てられます。

この夫婦が愛情と正義感と辛抱強さに満ち溢れた夫婦
だったからなんとか無事に育ちましたが、
それでもその類まれなる体力と視力と聴力のため
地球人として生きるのに大変な苦労をします。

これもそれも元はと云えば
ジョー=エルが育児放棄したせいです。

「地球でいい人に拾ってもらえよ。」
ってバカか!バカ親か!!

見積もりが甘い上に見切り発進が得意な実父ジョー=エル。

せめて、後々の禍のため、あの場でゾット将軍だけでも
始末しておいて欲しかったものです。

そうすれば、成長したカル=エルが
クリプトン星の未来以外に
あのような十字架を背負うこともなかったことでしょうに。

そうそう、ジョー=エルの死後のこととは云え
あのアホな反乱軍に対する処刑の仕方には
おそらく「全米が泣いた」に違いありません。

結果、反乱軍のメンバーとカル=エルのみが
クリプトン星の生き残りとなったのです。

星のトップからダウンまで見積もり甘すぎですよね?

そりゃ、クリプトン星が自滅するのも無理ないわ。
と、クリプトン星人の見積もりの甘さに
わたくし驚きを隠せませんでしたもの。

そして、偉大なジョー=エルも結局のところは
そのアホなクリプトン星人の一員なのです。

さて、成長し自我に目覚めたカル=エルこと
クラーク・ケント(ヘンリー・カヴィル)は
アイデンティティ崩壊の若者にありがちな
自分探しの旅に出て散々彷徨った後、
行き着いた北極で同じクリプトン星からの宇宙船を見つけます。

その宇宙船でクラークを迎えたのは
なんと実父ジョー=エルでした。

一度はゾット将軍に殺されたジョー=エルでしたが、
意識だけは宇宙船を起動させるキーの中に残しており
宇宙船の起動とともにその姿を現したのです。

おかげでホログラムとは云え
立派に成人した息子の姿を見ることででき
感慨に耽るジョー=エル



…。



……っておい!!

自分だけか!!

自分だけ成人した息子に再会するか!!

母親であるララなんて生後間もない息子と引き裂かれて上
むざむざクリプトン星とともに
完全消滅してしまったのにですよ?

しかも300年間、誰もやっていなかった
自然分娩という偉業をなしているのにですよ?

それがあろうことか、
愛する息子の成長した姿どころか
「ママ」とさえ呼ばれなかったというのに…。

こ、これだから男は…。

子供を生ませるだけ生ませておいて役目が終わった途端
妻は用無しですか?

息子との再会と云う美味しいところ
(さらには息子の彼女との邂逅と云うオプションつき)
は独り占めですか?

こ、これがラッセルです。
ラッセル・クロウの真髄です。

敢えてゾット将軍に殺されたのも
生身のままでは息子と再会を果たすことができないから
わざと殺されたのです。

そして、そのことは妻に内緒にしていたのです。

もちろん、これだけでジョー=エルの悪業は終わりません。

なにしろ折角蘇ったのですから
美味しい場面には常に顔を出してきます。

うっかり、カル=エルが
クリプトン製の宇宙船を起動してしまったため
宇宙船の追尾スイッチが入ってしまい
長年ジョー=エルの息子の行方を捜していたゾット将軍に
あっさり居場所をかぎつけられてしまいます。

ゾット将軍が息子の命を狙っているのは
ゾット将軍自身が
前もってジョー=エルに宣言までしているのだから
そこはちゃんと対処しときなさいよ!!

と、さらなるジョー=エルに対する怒りがふつふつと。

しかし、そんなミスを犯していることなどつゆ知らず
息子のため嬉々として
クリプトン星流コーディネイトに勤しむ父親。

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父親による息子ファッション改造計画の結果。しかもこれアンダースーツ。

ダサっ!!
これが脈々と続いているスーパーマンのスタイルとは云え
一応今回かなり現代風に改変したとは云え
やはりダサい。

んもう!なにしてくれてんねん!!親父!!

ついさっきまで超ワイルドだった息子が

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コーディネイト前は無精髭に体毛びっしりという私好みの好男子だったのに…。

なんか変なヘアースタイル、変なコスチュームに身を包んだ
さっぱりケツ顎男子に華麗に変身。

かつて、スーパーマン役者だった
クリストファー・リーヴは怖ろしくスーツが似合っていましたが、
今回のヘンリー・カヴィルは
野良着と無精髭の方が最高に似合っていたのに…。

糅てて加えてお父様がスーツの目立つところに
「S」の文字に似たカル家の紋章をデザインをしたため
哀れ息子は「スーパー」で始まる
ヒーロー名で呼ばれることになりました。

それでも元々ファッションに疎い息子は
気にせずその格好でどんどん人前に出ていきます。

息子さんは気が付いていませんが、
本来ですと、
この上にクリプトン製特有の甲冑(あれCGなんですって!)を
身に着けて完成です。

ですので、この恰好ですと、
肌着で表に出ているようなものなのです。

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イメージ画。

やがて、自分の力を自由自在に操れるようになったクラークを
ゾット将軍率いる反乱軍が迎えに来ますが、
前もってゾット将軍の悪行を父ジョー=エルから聞いていた
クラークは仇であるゾット将軍と戦うことを決意。

そのためN.Y.が半壊します。
又もN.Y.半壊です。

9.11の数十倍の大惨事です。

昨年違うコミックス会社の方々が半壊したのを
ようやく復興したというのに…。


元はと云えば、ジョー=エルが
コーデックスなんか盗むから…。

「星の宝を独り占めされた!」と
ゾット将軍が怒るのも無理ありません。

だいたい「俺らは親友だぜ!」と思っていたのに
ジョー=エルの方は内緒で嫁と子作りに励んでおり
子供が生まれて始めてゾット将軍はそのことを知らされたのです。

なんという裏切り。

基本クリプトン星では人工的に子供が生産されるので
ジョー=エルとは
「俺たち親友!」だけでなく
「俺たち一生童貞仲間!」のつもりでいたのに
一人だけ先に大人になるなんて狡い!!
という心境になったのではないでしょうか、ゾット将軍。

それならば、ジョー=エルの息子にあれほど
憎悪の目を向けるのも納得です。

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ゾット将軍にも美人の部下がいますが、性格上とてもやらせてくれそうにありません。

巡り巡って
33年間も育児放棄していた実父の尻を拭かされる息子。

いつの時代もミスター・アメリカである
ケビン・コスナーに大事に大事に育てられたため
文句一つ云わず尻を拭ってくれる
心優しい息子に育ちましたが、

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育ててくれたのがこの人でなかったらどうなっていたことか…。

云っておきますけど、
これ、本当に偶然の幸運ですからね。

違う里親だったらどうなっていたか
判ったものではありませんよ。

さて、ゾット将軍ともあろうお方が何ゆえ
地球育ちで特に戦闘訓練も受けていないような
ひよっこ同然カル=エルにご執心かと云いますと、
先に書いた理由もありますが、
それよりも重要なのは
カル=エルとともに地球に送られたコーデックスを取り戻し、
地球で再びクリプトン人を培養大量生産する
崇高な目的があるからです。

ところが、あろうことかジョー=エルは
息子の細胞にこの遺伝子情報を
コピーアンドペーストしていたのです。
しかもオリジナルのコーデックスは
惑星消滅とともにあっさり破棄していました。

ジョー=エル自身は
そういった生産体制に納得がいかず
自然分娩に踏み切ったのですが、
やはりクリプトン星人の滅亡は望んでいなかったようで
そのような方法をとったのでしょう。

「息子がたどり着いた先の惑星で
コーデックスからコピーした遺伝子情報を使って
クリプトン星人を復活させ
その惑星の原住民と上手く共生できたらいいなあ。」
と、考えていたようで
基本の考え方はゾット将軍と変わりません。
50歩100歩です。

というか甘い、甘すぎます。

こういうのを「侵略」と思われても仕方ないんですからね。

地球にとっては大迷惑です。

そもそも故郷の再興のためだからと云って
生まれたばかりの我が子の肉体に
何百万人何千万人の遺伝子を移植しますか、普通?

そんな青臭い思想のために息子と
息子を大事に育ててくれた惑星地球が
大ピンチです。

息子にしてみれば33年間ピアスもタトゥーも入れることなく
おそらくは女性との肉体関係もない清い身体のつもりでいたのに
なんということでしょう…。

しかもその事実を知ったゾット将軍は大義名分を持ってして
親友の息子の肉体を狙い始めます。

そのためだったら地球の1つや2つ破壊しても
構わない勢いでカル=エルに襲い掛かってきます。

実父が何も考えないで息子の身体をいじくって
地球に送り出したせいで
闘いたくもない争いに巻き込まれるクラーク。

思うにジョー=エルは
理想主義者にも程があります。

ほんと、こんな実父さえいなければ…。

演じているのがラッセル・クロウなので
憎憎しさも増すばかりです。

最終的に今回の被害における損害賠償金の請求が
息子の元に送られてきたら
どう償うつもりだったのでしょう?

「息子が辿りつく惑星の住人はきっと善き人類」
と決め付けているのもどうかと…。

結論、何もかんもひっくるめいてラッセル・クロウが元凶。

ジョー=エル役にはラッセル・クロウ以外にも
ショーン・ペン、クライヴ・オーウェンが
候補に挙がっていたらしいのですが、
こんな役ラッセル・クロウ以外の誰が演じきれましょうか。

正に嵌り役です。

因みにゾット将軍には
ヴィゴ・モーテンセンが候補に挙がっていたそうですが、


……それはそれで見たかったです。

たぶん、ジョー=エルの印象が今以上に
悪くなっただけと思いますが…。

 
【後日談】
他のブロガーの方々のレビューを拝見いたしますと、
ケビン・コスナーは当然としても
ラッセル・クロウの父親像もまた
「父性愛に満ちている」と手放しで絶賛されており
このレビューがいかに世間と乖離しているか
知り愕然となりました。

【後日談2】
星が消滅すると危機的状況の中
ゾット将軍率いる反乱軍を死罪にすることなく
惑星外に追放したクリプトン星の幹部の皆様。
一見、無能に見えますが、
よくよく考えると、彼らは
星の未来とコーデックスに他の誰よりも執着している
ゾット将軍と女性も含む反乱軍を生かすことで
「別の惑星でクリプトン星を復活させてくれる」
と云う「最後の希望」を託したのかも…。
実際、カル=エルが早い段階でゾット将軍に負けていれば
今頃地球は苦労することなく第2のクリプトン星となり
クリプトン星人にとっては
めでたしめでたしだったのではないの?


 
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