2013/7/30

Shall we dance?  MOVIE

本日のDVDは

「情熱のステップ」

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というダンス映画です。

それも社交ダンスを題材にしています。

鑑賞後、他の方々のレビューを拝見いたしましたところ
どうにも評判が芳しくありません。

それもそのはず
「ダンス映画」あるいは「韓国映画」を見るつもりで
ご覧になると肩透かしを食らってしまいます。

確かに韓国映画ですし
社交ダンス界を描いた映画ではありますが、

違うのです。

なんか違うのです。



 
 


大筋のストーリーはこんな感じ。

韓国のド田舎に生まれ育った靴修理屋の一人息子
クォン・テサン(チャン・ヒョク)は
たまたま母親に連れて行かれた劇場で
始めて目にした社交ダンスの魅力にどっぷり嵌り
以来、古本屋で買った教本だけを頼りに
独学でダンスをマスターします。

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古い教本と鏡と床に貼ったバミリだけがダンスの先生。

やがて成人し、父親の強い意向で村の工場に勤めたものの
ダンスの夢を捨てることができなかったテサンは

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本来2人で踊る社交ダンスを1人で踊り続けて十数年。こんなに大きくなりました。

とうとう父親の反対を振り切って
ダンススクールのオーディションを受けるため
着のみ着のままでシンガポールに旅立ちます。

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息子が夢を追うことに反対してもバス停まで見送る父親。心にじんわりときます。

本当に着のみ着のままで国外脱出したため
ダンス用のシューズもなく
オーディション会場でただ一人裸足で踊ったテサンに
他の審査員は苦笑気味でしたが、
何かしらの才能を感じた教師のエミは
独断で彼の入学を許可します。

始めて受ける本格的なレッスンに
慣れない異国での暮らし。

元々テサンは田舎にいるときから寡黙な方でしたが、
シンガポールでは会話するのも英語を使わなければならず
ますます無口に…。

それでも技術的な後れを取り戻すため
愚痴ひとつこぼさす教室に通い続けます。

そんなテサンの姿に励まされたエミは
足首の怪我で一度は諦めたコンテストの出場を決意し
そのパートナーをして初心者のテサンを択ぶのでした。

コンテストに向け
これまで以上にダンスのレッスンに励むテサンとエミ。


それがどうして


どうしてこうなった?!


映画の中盤からは
ここシンガポールでDVDをお手本に
少林寺拳法を習得することになるテサン。

いくらシンガポールのチャイナタウンが舞台とは云え
ダンス映画のはずが突撃!少林寺拳法。

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拳法の場合もまたDVDと床に貼ったバミリだけが先生です。

そして、この映画のハイライトシーン。
テサンはダンスコンテストはさておき
まずは拳法の試合で日頃の練習の成果を披露することになります。

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どこから集まったのか群衆を前に拳法で戦うテサン。

韓国映画を借りてきたつもりが
いつの間にやら香港映画に様変わり。

それはそれとして
「えっ?ダンスはどうなったの?」
と、さぞかし思われることでしょう?

これには理由があるのです。

実はエミには
一度はチャンピオンに上り詰めながら
これまた怪我のため選手生活を絶たれしまい
今は拳法の師範を営んでいる恋人がいました。

その恋人チャンにとって
同じように怪我で諦めたはずのダンスに未練タラタラで
隙あらばコンクールに出場しようと
手薬煉を引いているエミが心配で堪りません。

コンクールで再び失敗すれば
もう彼女は立ち直れないのではないか?

そんなのって…そんなのって…いやぁぁぁぁぁ!!

そう思うと居ても立っても居られません。
そこに現れたのは韓国からの留学生テサンです。

彼の才能にエミがことのほか目にかけているのは火を見るより明らか。

彼の出現によってエミのダンス魂に火がついてしまうことを
極度に怖れたチャンはテサンに
絶対に自分が勝てる拳法での勝負を挑みます。

そして、テサンが負けた場合ダンススクールを退学し
国に帰るよう脅迫します。

なお、テサンが勝った場合は何も想定してません。

そりゃそうです。
はじめから勝ち目のない勝負を
わざわざ持ち込んでいるんですから。

ただ脅したのではなく
試合に持ち込んだことで公平を期したつもりのチャン。

これはいくらなんでも狡いと思われるかもしれませんが、
それだけチャンはエミを愛しており必死なのです。

ただでさえ若くてイケメンなのにさらに寡黙だなんて
チャンにとってテサンはそれだけで
恋においては「勝てる気がまるでしねえ」存在なのでしょう。

そりゃ策も練りますって。

ただしこのことはエミには内緒です。

こんな卑怯な勝負、
エミにばれたら嫌われるどころでは済みませんからね。

テサンとしては一文の得にもならない上に
人様の内輪揉めに巻き込まれただけなのですが、
黙ってこの勝負を受けることにします。

その結果、少しでも勝機を見出すためテサンは
ダンスよりまず(独学で)拳法を習得しなければ
ならなくなったというわけです。

スクールでのダンスの練習の合間
自宅で少林寺拳法を独学するテサン。

こんな展開見たことありません。
少なくともダンス映画では。

しかも、カンフー映画の本場中国(香港)や
弱肉強食の国アメリカの映画であれば、
拳法での試合ともなると
生死をかけた男同士の戦いとなるのですが、
ここはシンガポール、しかも韓国映画。
こういうのを期待していたら

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ドニー・イエン「イップ・マン」での試合シーン。こういうのを想像しますよね。

全然違っていました。

実戦ではなくなんと演舞で戦うことになる2人。

ここで今一度ここで使われた「漢字」を良く見てください。
演武ではなく演舞です。

この試合では
拳を交わす代わりに、互いに同じ型を披露しあい
そのキレや美しさを競うのです。

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両者が左右シンメトリーとなって演舞し競い合います。

こんな展開見たことありません。
少なくともカンフー映画では。

ていうか、本当にこんな勝負あるの?

たしかに普通の組手試合では初心者のテサンに
万に一つの勝ち目もありませんので
演舞勝負で理に適っていると思います。

思いますが、肩透かしもいいところです。

そして、勝負が決まり、帰国することになるテサン。
片や勝って当たり前の勝負をエミに目撃されて
激しく落ち込むチャン。

ここまでこの映画は敢て科白を減らし
登場人物のちょっと行動や表情や映像だけで表現しています。

そこがこの映画の映画らしいところなのですが、

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道衣の帯の締め方の判らないテサンをチェンが手伝うシーン、好きです。

それが故、説明不足に感じられる箇所も多々あります。

中でもエミとチェン周りのストーリーはスカスカです。
特に男心揺れ動きっぱなしのチェンに関しては
思わせぶりなエピソードがいくつも用意されているのですが、
その全てが未回収。

それでは観客に不満が残っても仕方ありません。

ま、私は
そ、そういうの嫌いじゃないですけどね!!

「科白で全部説明しているから猿にも判る」親切な映画よりは
よほど好きですけどね。

ただし、本来ですと、
クライマックスを飾るダンスコンクールの競技シーンが
怖ろしくダメダメのは流石にどうかと思います。

ここ、この映画で最高潮に盛り上げるところですよね?

一旦韓国に帰国したテサンが
コンテストの出場時間に間に合うかどうかという
状況に全く緊迫感がないのも困りどころ。

コンテスト当日に韓国の実家にいたテサンが
その日のうちシンガポールの会場に
辿り着くことができても
そこに何の疑問も生じないのは
ひとえに私の頭が
日本各地を一瞬にして移動する土曜ワイド劇場のご当地ドラマに
毒されているからなのでしょうか?

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仁川(ソウル)−シンガポール間の飛行時間は5時間20分です。

中盤の拳法勝負に時間を割きすぎたのか
テサン帰国から競技開始時間ぎりぎりでのエミとの再会
…を喜ぶ暇もなく練習不足のまま競技開始
と少ない残り時間に詰め込むだけ詰め込んだ末の
2人のダンスシーン

…だからでしょうか?

まあ盛り上がらないことと云ったら…。

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競技会で合格点ぎりぎりだった「世界でひとつだけのプレイブック」の方がまだまし。

もう少し何とかしようがなかったのでしょうか?

これでは、ダンス映画として見た方にとって
消化不良となっても致し方ありません。

エミにほのかな恋愛感情(初恋か?!)を持つテサン
チャンに対して倦怠期を感じつつあるエミ
エミに未練タラタラのチャン
の三角関係も曖昧模糊のままなので

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これまでの人生「ダンスが恋人」だったためか妙におぼこいテサン。

「情熱の」という邦題から
ラブストーリーとして見た方にとっても
釈然とこないかもしれません。

私はこのぼんやり感が好きだったりしますが、
こればかりは個人差がありますしね。

「駄作!」と切り捨てる方の気持ちも判らなくないのです。

しかし、大切なのは、
この映画で描きたかったのはおそらくはダンスではなく
自分の子供の幸せを願うしがない靴修理職人と
自分にとっての幸せを見つけた息子の話だってことです。

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腋の処理を全くしていないところが実に男らしく惚れ惚れします。

テーマは「夢にきらめけ 明日にときめけ」。

そこだけを追っていくと
そんなに悪くないのではないでしょうか、この映画。

チャン・ヒョク主演と云う贔屓目を差し引いても
多少ストーリーが雑であることに目を瞑っても
ちょっと他にはない韓国映画として
心に残る作品だったと思います。

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