2012/10/10

記憶して下さい。私は斯んな風にして生きて来たのです  MOVIE

本日のDVDは
久しぶりのヴィゴ・モーテンセン主演映画
「善き人」

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です。

今回、主演が誰か判っているだけで
前情報の殆どない状態、
さらにはDVDパッケージもろくろく目にしないでの
鑑賞となります。

つまり、パッケージの背後に映っている
ハーケンクロイツも目に入っていなかったわけでして…。


 
 

映画を見終えて
まず頭に浮かんだのが
この日本人なら誰しも一度は目にしたことがある
けれども
実際に読破した人が意外に少数ではないかと思われる
この文章。


山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画(え)ができる。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらする唯の人である。唯の人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
越すことならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか寛容(くつろげ)て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
ここに詩人という天職ができて、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするがゆえに尊い。
住みにくき世から、住みにくき煩いを引き抜きて、難有(ありがた)い世界をまのあたりに移すのが詩である、画である。あるいは音楽と彫刻である。




夏目漱石の「草枕」の冒頭です。

私もこの部分しか知りません。
知りませんが、この映画を見て
ふと頭に過ぎったのがこの文章です。

主人公の大学教授ジョン・ハルダは
人生の節々において

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ある時は自著の映画撮影現場で。

そこにあるはずのない音楽を耳にします。

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ある時はユダヤ人摘発のさなかに。

認知症の母親に心を病んだ妻と二人の子供たちを抱え、
一人苦労し続けてきたしがない大学教授である主人公は
ナチズム・ファシズムが台頭するとととも
その大きな時代の流れに適度に身を任せ
長いものに巻かれることで
ほんの少し「いい思い」をしようとします。

それは例えば
精神を病む妻と別れ
若くて可愛い教え子と恋仲になるとか

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女性の方が積極的。

ナチ党に入党して出世するとか

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結局この選択で主人公は全てを失うことに。

認知症の母の介護から逃れるとか
そういったごくごくささやかなことです。

そんなほんの少しだけ美味しい思いをしようとした
ごく普通の善良な市民である主人公が
行き着いた場所は
「人でなしの国」でした。

そこでも主人公は音楽を耳にします。

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物陰から突如現れる楽団。

やがてその音楽は幻ではなく

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おそらくこの瞬間まで本当の現実を直視していなかったのではなかろうか。

現実だと気がつく主人公。

で、思い浮かんだのが上記に挙げた「草枕」の一節です。


歴史的観点や政治的な背景
人としてのあり方など
追求すべきものを多く含んだ映画ですので
レビューもこういう切り口で
語らなければならないのでしょうが
私が語ると、いかんせんこうなってしまいました。


これまでのこのブログの傾向から
「ヴィゴ・モーテンセンなのにこの程度しか

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せいぜいこの程度。宝に持ち腐れですね。

脱いでないってどういうこと?!」

と茶化した感想で持っていこうとも思ったのですが

無理。
流石に無理。

そういう映画ではありませんから。


時代の流れに敢えて逆らわずに
生きるというのは
こういうことなのかもしれません。

一時期「思考停止」という言葉が流行りましたが、
この映画の主人公も
目の前で奏でられている音楽を
「現実か…。」
と、認めるまで、長い間思考停止していたように見えました。


現実と認めた後
収容所の中心で呆然と立ち尽くす主人公。

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このクライマックスには鳥肌がたった。


とかくに人の世は住みにくい。






とは云うものの
着衣姿でも、いや着衣だからこそ
目の保養になります、ヴィゴ・モーテンセン。

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ファンは見てるだけで幸せになれると思うよ!

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