1960年前半(微妙)生まれの男の、映画について、音楽について、旅について、本について、そして人生とやらについてのブルース。自作の詩のおまけ付き。書いているのは、「おさむ」というやつです。
since 6.16.2005
To travel is to live. -H.C.Andersen
2010/4/18
村上 春樹氏の『1Q84』BOOK 3が書店に並んでいる。隣には、BOOK 1 2
が積まれている。BOOK 3の内容に関しては、全く前情報が流れなかった。
紙媒体は衰退しつつある(?)。日経新聞も有料でのネット配信を初め、
アップル社は、キンドレー(?)に対抗して、紙媒体ではない、電子上の
活字媒体の(本ですね)販売を始めている。
新潮社にとっては、確実にミリオンセラーがとれる本なのだ。期待感を熟成
し、そして、『ノルウェーの森』(これは、講談社でした)のように、
BOOK 1 2を並べて、また新しい読者を取り込みたいのだ。
おまけに1冊の値段も高めだ。
ここには、作者の意図はない。新潮社のマーケティングの作戦なのだ。
16日に予約していた本を取りにいき、帰りに読み始める。
600ページある。村上春樹ファンの至福な時間。新作の本を手に取って、
それから自分がどっぷりと「村上春樹のストーリーテリングの海」の中に
つかることができる。
土曜日、関東では雪が降っていた。のんびりとした土曜日の午前の時間を
半分だけ覚醒した意識の上でころがす。テレビでは、NHK のドキュメンタリー
が流れる。坂の多い長崎のある坂をファーカスしたものだ。相生地獄坂。
160段。小学校までは、200段とちょっと。何人もの人が行き来をする。
老若男女。
「無理せんごとのぼるのがよかとよ」
「下りが危なかです」
人のひっそりとした営みがそこにあった。隣(?)の諫早市を舞台に撮られた
映画が『読書する女』だ。主人公の女性は、牛乳配達をしている。その坂を
いつも駆け上がっていく。
なぜか、岩井俊二の『りりィ・シュシュのすべて』をDVDでかけた。
大昔、つきあっていた女性と銀座か渋谷か日比谷でみた映画だ。
映画全体のトーンとストーリーがヘビーで、ちょっと滅入ってしまった。
しかし、じっと見直してみると、なかなかいい作品だということがわかった。
物語の「刹那さ」は変わりはなかったけれど。
冷蔵庫に残っていた、ピーマンとオクラとソーセージとベーコンとたまねぎで
ナポリタンをつくった。ケチャップを結構使った。口の周りにケチャップを
つけながら、映画を見た。太陽の光が、窓から入ってきた。映画を見た後、
部屋にごろんところがった。
15時30分。洗濯物を干し、部屋の中のサンスベリアをベランダに出す。
マイケル・フランクスをかけ、氷結のピーチの缶を開ける。太陽の光は少し
ずつ傾いている。
PERFECT DAY FOR 1Q84 BOOK3
そうやって、僕は、1Q84 BOOK 3 を読み始めた。
土曜日、19時前に旦過の赤壁に寄る。
18時30分、月は薄く切り取られて、水色の残った空に浮かんでいた。
紫川のずっと向こうの方に。
日曜日。現在、261ページ。600ページある。
物語が佳境へと向かっているのがわかる。
楽しみだけれど、終わってしまうことを思うと、またそれも辛い。
日本中の村上春樹ファンが、それぞれの場所で、それぞれの方法で、
BOOK 3を楽しんでいるのだろう。
よい週末ですね。皆さん。

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