2007/5/30
夜中、NHKがドキュメンタリーを流している。この局の存在意義
のひとつだと思う。時間をかけて、丹念に長時間をかけてドキュメンタリー
をつくる企画力と広告に頼らない体質と製作の余裕。
『家族の肖像』
ハンセン病の母親と息子の対面。ハンセン病を患ったため、もう子どもを
もつことができなくなった夫婦。中絶させられた現実。
そこにある80代の女性たちの落ち着いた小さな笑顔の向こう側に
あるだろう痛い、痛い、痛点。
ごく、ごく普通であること。それを当たり前としてではなく、もの凄い
確率のことであり、そして幸せなことだということを自覚する想像力。
例えば、朝の出勤の時に、目の前の明るそうな美人にときめくこと、
窓を開けて、雨の匂いを感じること、小鳥のさえずりを耳にすること、
コーヒーカップの湯気に目を細めること、改札で前に割り込んできた
おばさんにちょっと腹をたてること。
そんなことが、きっと普通なことだけれど、実は幸せの一部だったり
するのかもしれない。
苦い、苦いブルースを飲む必要がないなら、飲まないほうがいいに
決まっている。ブルースを知ることで、人の痛みがわかるかもしれないが、
それは、すすんで知ることではないかもしれないからだ。
ブルースが身に纏わりついたら、それは仕方がない。ただ、かっこいい
ことではない。
だから、誰かにメールを、誰かに電話を、誰かに手紙を。
ただ、ただ、ありがとうという気持ちを込めて。

0
コメントは新しいものから表示されます。
コメント本文中とURL欄にURLを記入すると、自動的にリンクされます。