1960年前半(微妙)生まれの男の、映画について、音楽について、旅について、本について、そして人生とやらについてのブルース。自作の詩のおまけ付き。書いているのは、「おさむ」というやつです。
since 6.16.2005
To travel is to live. -H.C.Andersen
2006/10/23
何かと話題となっている国のことだ。
タイトルの映画をドキュメンターリーとして映画に
撮ったのが、ヤン・ヨンヒという朝鮮総連の活動家
の父と母を持つ女性だ。
映画のタイトルは、そのまま、ディア・ピョンヤン。
映画は、東京で8月に上映された。8月には、本も
出ている。
映画は、ベルリン映画祭、サンダンスフィルムフェスティバル、
山形国際映画祭に出展され、様々な賞を受賞している。
この監督は、テレビにもよく出ている。
10月20日と21日、大阪の十三の第七芸術劇場で、
舞台挨拶があった。とてもきれいな女性だった。
自分の息子3人をピョンヤンへ送った。今は、息子たち
はピョンヤンで暮らしている。中学生や小学生時代を
日本で過ごした(大阪市生野区)息子たちだ。
その末っ子の長女が、ヤン・ヨンヒさんだ。
http://www.film.cheon.jp/
映画は、ハンディカメラで、アボジ(お父さん)と
オモニ(お母さん)を撮りながら、ピョンヤンの
風景(10回くらい行き来しているらしい)や歴史の
背景を交えながら、映画がすすむ。ナレーションは、
自分で入れたものだ。
初めのナレーションで、1910年の日韓併合の
ことからテロップが出て、朝鮮戦争へとつながって
いく。北朝鮮と韓国の分裂は、旧ソ連とアメリカ、
さらにはその背後の中国との関係によるものかも
しれないが、それ以前に、日本は、直接的に朝鮮半島に
かかわり、歴史の流れをつくったのだ。
そのことをあまりに知らない人が多すぎる。
主人公のアボジは、済々島の生まれだ。
日本の在日の90数パーセントは、韓国出身
だ。そんな、主人公のアボジは、当時の歴史的な
流れの中で、北を選択し、自分たちの息子3人を
北へと送ってしまう。
そのあたりの詳細は、本を読んでもらうか、映画を
みてもらわないと、うまく説明できない。
映画の芯を流れるのは、ひとり、ニューヨークへ
留学し、アジアの各地をカメラで撮り続け、
韓国への国籍変更をした、ひとり娘の父親や
母親を理解するための映画だったのだ。
しかし、そこにあるのは、自分の家族、自分を
育ててくれたものに対する、強い感謝の気持ちと
作家(監督・カメラは自分で撮影)としての意思
も入り込んでいた。
北朝鮮というと、いかにもわけのわからない独裁的な
イメージがあるかもしれないが、そこに生きるのは、
生身の人間なのだ(彼女の場合は、5歳か6歳の
ときに、急に目の前からいなくなった3人のお兄ちゃん
なのだ)ということを想像力を働かして欲しいと
舞台で言っていた。
十分にイデオロギー的であるが、映画のペースは、
いたってスローで牧歌的だ。撮影の場所は、
大阪生野区とピョンヤンだ。
アボジは、今、脳出血で倒れ、病院で2年間
寝たっきりになっているらしい。オモニは、横で
ずっと付き添っているそうだ。
東京・大阪で上映されたが、今後は、全国で上映
され、韓国でも上映される予定があるらしい。
http://www.film.cheon.jp/
映画がはじまって、シネ・カノンと製作のクレジット
が入ったときは、なんか懐かしかった。そう、その
クレジットは、ずっと、銀座や渋谷や日比谷の映画館
で見ていたからだ。

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