2006/9/4
カルバンなクラインを おさむ
秋の香りがほんのりとして
月が満月に向かって太っていく
駅の改札を抜けて
その風に身を寄せる
くんくんくんと香るのは
これはこれは ck one
あなたの視線は先を歩く人たちに向かう
あの白いTシャツにジーンズ姿の女の子に違いない
カジュアルな感じに実はバッグは高めだ
あなたは急ぎ足で歩く
急ぎ足急ぎ足
くんくんくん
あれまあ
違うでないの
風に漂うck one の香り
あなたはまた辺りを見渡し考える
それらしき人は
あの派手目の女の子
あの子はもっと別のにするでしょ
しかし
他には見当たらない
あなたは早足でその女の子に追いつく
早足早足
くんくんくん
あれあれあれ
違う違う
途方にくれていると
横を通り過ぎた50歳代の親父さんから漂うck one
あなたはck one がユニセックス用だったことを思い出す
しかししかし
動揺は隠せないままで
空に浮かんだお月さんが苦笑をしていた
えっとck one って
child kindergarten の略だったけ ck って
なんてあなたは動揺してわけかわらないことを呟く
ck one の残り香を山から吹いてきた風が海に向かって誘拐する
あなたは困ってしまって
苦笑し続ける月に向かって
小さく吠える
ワン

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