1960年前半(微妙)生まれの男の、映画について、音楽について、旅について、本について、そして人生とやらについてのブルース。自作の詩のおまけ付き。書いているのは、「おさむ」というやつです。
since 6.16.2005
To travel is to live. -H.C.Andersen
2010/7/22
「Little trip to Osaka 2」
旅
昼食を「ももたろう」で食べる。
「ももたろう」は、北九州市小倉北区にあるカクウチ(立ち飲み屋さん)
のお店だ。そんなカクウチが、11:00−15:00までは、ランチを
出している。これが、550円で、しっかりと20種類くらいのメニューがある。
焼き魚定食から、焼肉定食から、ホルモン焼き定食から、ハンバーグ定食
まである。
同時に、その時間帯は、カクウチの営業時間帯でもある。いつもは、
昼食組みの人ばかりだが、今日は、暑い太陽のせいか、カクウチ組が多かった。
つまり、僕が定食を食べている間、周りのお客さんは全員、生ビールを
飲んでいた(確かに、いつものように、ビジネスマンの人はいなかった)。
おまけに、お客さんが、店員さんに何か飲み物をおごったので、料理人の大将
も、店員のおばさんも、お姉さんも、グラスが汗をかいているグラスを「いただきます」とそのお客さんに言いながら、傾けていた。たったひとりの昼食、午後2時。
まいったなあ。
バックは、いつも有線の歌謡曲のチャンネルに合わされている。
松田聖子が歌い、ジュディ・ウォングが歌っていた。暖簾の外の色あせた
赤レンガの道に、暑い、暑い、太陽がふり注いでいた。
「最近は、全く、体力も、性力もなくなってね」なんて、おじいさん2人が
60歳近くの店員のおばさんに話しをしていた。ビールを店員さんにおごった
のは、そのおじいさんのうちのひとりだった。
新大阪の新幹線のエスカレーターに乗る。右側に並ぶ。小倉は左側だ。
あれっ?逆だったかな。小倉は東京と同じなのだ。確か。
御堂筋線の新大阪の駅には、ダイキンの大型エアコンがある。
広いプラットフォームの上で、まるで、扇風機のようにエアコンが、
冷機を地球の大気に排出し続けているのだ。あんなのは、大阪でしか
見たことがない。もの凄く涼しい。ほんの少人数の人たちの特権だ。
7月21日、午後6時45分前。
プラットフォームで、サッポロの黒の缶ビールを傾けながら、
天神橋1の商店街のコロッケの中村屋で買ったコロッケをかじった。
適度に冷めているのがよかったのか、甘みを感じることが出来て
おいしかった。70円のコロッケだ。
午後6時45分、新大阪発のぞみ49号。12号車9番A席。
6時50分くらいには、武庫川を越える。そこは西宮で、僕が小学校2年生から
大学4年生(関西では4回生という)までと、2007年と2008年を過ごした
所。しかし、1995年の阪神大震災以降の街は、僕の記憶のある街とは
全く別物だ。
岡山辺りまでは、まだ明るかった。岡山から広島にかけては、太陽が沈んで
しまった。小倉祇園の頃に小倉城の左上に浮かんでいた半月の月は、
もう形を変えていた。少しお腹が大きくなった半月の月が車窓に浮かんでいた。
徳山を過ぎる。「工場に萌え」の人たちにとっては、理想的な風景だ。
A席は、外の風景を楽しむにはいい座席のシートだ。新大阪から東京だと
E席の方がいい。富士山が見えるからだ(必ず見えるとは限らないけれど)。
新大阪へと向かう、梅田から新大阪の地下鉄は、とんでもなく混み合っていた。
もう、人ごみはだめだ。東横線の人ごみ、山手線の人ごみ、京浜東北線の人ごみ、
御堂筋線の人ごみ、いろんな、電車の人ごみを経験してきたけれど(幸いな
ことに中央線は経験していない)、もう、電車の人ごみは嫌だ。
チャチャタウンの観覧車が見える。
ORIENT BLD NO.47が見える。
0 HARA 大原簿記公務員専門学校が見える。
I'm back to KOKURA.
「ももたろう」を出て、PRONTO へと向かう。プロントでは、野菜ジュースを
飲む。「ももたろう」からプロントへと向かう道で、なんとなく、「サラリーマン
NEO」のエンディングの場面が浮かんだ。ウルフルズが、「ええねん」と
歌うバックで、その日の会社訪問(食堂訪問だったりする)のスタッフの
人たちが、ボードを掲げるエンディングだ。ボードには、「 」が
ええねん、とある。「 」はそれぞれの人が書くようになっている。
「家族が元気で」「ビールがうまく飲めれば」「のんびりできれば」
「君がいれば」「野球ができれば」「食事がおいしければ」「ふつうで」
なんて、言葉が並ぶ。
なんて普通なんだろう、と思う、かもしれないが、その「普通」をつかんで、
じっと持ち続けるのが、結構、難しかったりするのだ。
だから、目の前の「ごく普通の」幸せのようなものの「かけら」があったと
したら、絶対に手放さないようにすることだ。結構、そんなことに気付くのは
後からだったりするからだ。desperade で、ドン・ヘンリーが歌っている
とおりだからだ(最後の歌詞ね)
そういうことだ。

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