大阪府職員採用、申込者4割減…橋下改革嫌われた?
大阪府人事委員会は29日、来春入庁する府職員の採用試験(2008年度、大卒程度)の申込者数が1422人で、現在の採用方式となった1999年度以降最少になった、と発表した。減少幅は07年度比37・7%と、99年度以来最大。橋下徹知事は2月の初登庁日、職員に「破産会社の従業員の自覚を」と訓示、その後4〜16%の給与カット方針を打ち出しており、厳しい職場環境が敬遠されたとの見方も出ている。
人件費抑制のため、採用予定者数自体も約75人と07年度のほぼ半分。職員採用セミナーでは、橋下知事自ら「どの自治体より有益な経験ができる」と呼びかけたが、8日から22日までの受付期間中にあった申し込みは、行政職が1182人(07年度比38・1%減)、技術職が240人(35・7%減)にとどまった。
人事委は、激減の理由を「民間の積極採用や、2年間採用を凍結していた大阪市が募集を再開したのが響いた」と分析。橋下知事は「(待遇に)不安を抱く人がいるのかもしれないが、難局を一緒に乗り切ろうと意欲を持って来てくれる学生がこれだけいるのは心強い」と話している。
■情熱だけで優秀人材確保難しい■
早川征一郎・法政大教授(公務員給与制度)の話「大幅な人件費削減方針が影響し、公務員になりたい人が大阪府から他の自治体に流れたと考えるのが自然。仕事への情熱だけで優秀な人材を確保するのは難しいのでは」(2008年5月30日 読売新聞)
職員の待遇は人材確保に大きく影響する。
少し前に
アヴェスターにはこう書いている?で「extensive marginに関する労働供給の弾性値は相当大きいものの、intensive marginに関する労働供給の弾性値は小さい」という一文を取り上げたが、それと同じことである。
待遇が悪くなればその職場に参入しようとする誘因がなくなる、というのは、すでに複数の研究で実証済みの話であり、その結果、
優秀な人材は少なくなるのである。
今回の件では橋下は、(将来)部下になる人たちに愛想をつかされたわけだが、ぶっちゃけて言えば、政治や社会の仕組みについて限りなく無知で、単にイメージだけで判断する人々を除けば、
橋下痴事がやろうとしていることを高く評価している人っているんだろうか?と思う今日この頃なのだ。
(例えば、一国レベルでのネオリベには財界が味方につくだろうが、地方レベルでのネオリベには地方財界も諸手をあげて賛成することはない。)
【追記】2008.6.5
予想の範囲内の反応ばかりなので、あえて補足記事があることを知らせておくことにしよう。
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メインブログのエントリーの補足
「支持する」なら、どのような行動や政策を支持し、それが社会にどのような良い影響を及ぼすといえるのかを明示すべきだろう。そうしたことを欠いたまま「支持する」と言ってみたところで、そのコメント自体が私が言っていることを裏付けるデータになるだけである。
ちなみに、半ば余談だがよくわかっていない人もいるようなので書いておく。
ある民間企業の社長が社員の待遇を悪化させてそれを大々的にアピールしたとする。採用の面接に集まった学生の数が減ったとする。その学生達は以前来ていた人たちより良い人材なのだろうか?
ある大学が学生が支払うべき学費を大幅に引き上げ、それを大々的にアピールしたとする。あまりに学費が高いので学生が敬遠し、受験した学生の数が減ったとする。集まった学生は前年までの学生より優秀だろうか?
「どうしても大阪府(この企業、この大学)に入りたい」と思う人が入ってくるなら良いんじゃないかという意見に対しては、ある人が主観的に意識している意図がその人の行為を本当に動機付けていると言えるわけではないこと、ある主観的な意図に基づく行為は、その意図にとって適合的な客観的帰結をもたらすとは限らないこと、むしろ、そうでないことは多いこと、を指摘しておこう。

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