「NHK「日本の、これから」憲法9条アンケート(その2)」
憲法等
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前回のエントリーのつづき)
Q6 自衛隊は国内での活動に加えて、PKO(国連平和維持活動)などでカンボジアや東ティモール、イラクなど海外に派遣されていますが、あなたは、自衛隊はどんな役割を担うべきだと考えますか?
1)海外には派遣せず、日本の防衛や災害救助だけを担うべきだ
2)日本の防衛に加えて、PKOや人道支援活動に参加するべきだ●
3)アメリカ軍や多国籍軍の後方支援活動にも参加するべきだ
4)アメリカ軍や多国籍軍に武力の行使も含めた協力を行うべきだ
5)その他
選択の理由や、憲法9条との関係など、ご意見を自由にお書きください。
実際には1と2の中間くらいの回答のような気がします。
医療や災害救助の分野では海外での活動をしてもよいと思いますが、警察が国内で持つ以上の武器を持って海外に出るべきではないでしょう。装備の面では、日本の警察が通常、国内でもつ程度の装備、つまり、短銃の所持くらいが上限だと考えます。
「人道支援」という名目で行く場合、このような美名を使ってごまかしが往々にして行われるのが現状なので、明確に医療と災害救助に限定すべきだと思います。その上、これは本来任務ではなく、付随的な任務として位置づけられるのが妥当です。日本の防衛に直接の関係はないですから。(状況によっては、間接的には関係しうるので付随的任務であって良い。)
Q7 日本は戦後、日米安全保障条約を結び、アメリカに「核の傘」の提供を受けるなど、安全保障面での協力関係を進めてきました。これからの日本の国際的な安全保障体制のあり方と憲法についてどうあるべきだと考えますか?
1)現行憲法のまま、アメリカとの協力関係を維持すべきだ
2)現行憲法のまま、アメリカとの関係を見直して、新たな安全保障体制を模索すべきだ●
3)憲法を改正し、アメリカとの軍事的な協力関係をより深めるべきだ
4)憲法を改正し、日本単独で国家の安全が保障できるようにするべきだ
5)その他
なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書きください。
まず、1の「現行憲法のまま、アメリカとの協力関係を維持すべき」というのは、アメリカの方針が変っている以上、現実的ではありません。アメリカの方針も世界経済や国際政治の状況の変化に対応したものなので、変る可能性は低い。そのため、1はあまり現実的ではありません。
4の「日本単独で国家の安全が保障できるようにするべき」という考え自体が非現実的です。一国が単独で安全保障をするなどという事例が世界中にあるのでしょうか?アメリカでさえ各国と軍事同盟を結んでいるのに。
3の「憲法を改正し、アメリカとの軍事的な協力関係をより深めるべきだ」というのは、現政権と与党が行おうとしている方向性だと思います。ここには「引っ掛け」があると思います。
これは現実的には、
「日本の軍事的な『持ち出し分』を多くすべきだ」ということです。イラク戦争やアフガン戦争に米軍を出して疲弊しているので、日本も軍隊を出してアメリカの負担を軽減しろ、という話です。そうでありながら、戦争をするかどうかなどの主導権をアメリカは離さないでしょう。
「一対一でアメリカと話し合いを続ける限り」、どこの国であれ言いなりになるしかないのです。
これが日本の人々にとって利益になる話だとは思えません。決定権や便益はないのに負担が増えるだけです。年金や社会保障で、給付が減るのに負担が増えるのと同じです。
従って、消去法的に2の選択肢が最も現実的で有益になる可能性があると思っています。
アメリカに対して敵対する必要はないですが、多様な関係を構築することで、「アメリカに追従するしか能がない」という状況から脱却すべきでしょう。
その際、上で述べたように
「一対一で話をする限り」アメリカとは言いなりにならざるを得ないのだから、多国間で安全保障を協議したり協定を結ぶことで、アメリカの力を相対的に低めるべきではないか、と思っています。
そして、
憲法9条は軍事的にアメリカに引っ張りまわされないため(例えば、イラクに派兵させるのを断るため)の防波堤として重要であり、また、他の国々への不信感を除去する上でも必要な体制なのだから(実際、中国や朝鮮半島はもとより、東南アジア諸国なども日本の改憲に不安を抱いていると思います。)、憲法は現行のまま行くべきだと思います。
こうした動きは、悉くアメリカに潰されてきたようですが、何度でも試みるべきだと思っています。時機が来れば結実するはずだと思っています。
Q8 アメリカのような同盟国が他の国から攻撃を受けた時に、日本が直接攻撃されていなくても反撃する権利のことを「集団的自衛権」と言います。日本政府は「集団的自衛権は持っているが、憲法解釈上、行使できない」としています。あなたは、集団的自衛権についてどう思いますか?
1)憲法9条を改正し、集団的自衛権を明確に位置づけて、行使できるようにするべきだ
2)政府の解釈を変更して、集団的自衛権を行使できるようにするべきだ
3)現状の憲法解釈と同じく、集団的自衛権は持っているが行使するべきではない●
4)集団的自衛権自体を認めるべきではない
5)その他
なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書きください。
日本の国境内で同盟国が攻撃された場合、国境内に限って集団的自衛権を行使してもよいが、国境外ではいかなる武力行使もすべきでない。
3とは少し違いますが、事実上、日本の国境内で同盟国が攻撃される可能性は極めて低いので実質的には3とほぼ同じだと思っています。
国境外で武力を行使することは、理由をどのように言い繕っても、実質的には侵略(他国の主権の侵害)であると解釈できるので、自衛の範囲を超えてしまい、憲法違反になる。
公海上で同盟国が攻撃された場合については、そもそも自衛隊は、軍隊として国境外に出るべきではない(医療や救助活動の組織としては出ても良いが、そのような組織は武力行使しないし、できない)ので、戦うことは許されない、という意見です。
Q9 今後、国際社会において、日本はどのような国を目指すべきだと考えますか?
1)憲法9条の精神を推し進め、武力には関わらない平和国家として生きるべきだ●
2)国際社会からの求めに応じて、平和維持活動なども行っていくべきだ
3)世界の安全保障に軍事の面でも積極的に関わっていくべきだ
4)その他
なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書きください。
防衛の問題を考える場合、武力の必要性を説く人の多くは、「敵」から攻撃を受けた場合を考え、まず、そこを出発点にしていると思います。
しかし、現実の世界ではそれは、外交や貿易、経済的関係などの、いろいろな関係がもつれたあげく、すべてがうまくいかなかった場合の、「最終的な失敗した結果」でしかありません。
その場合に備えた最小限度の実力は持っても良いと思いますが、現状で何ができるかを考えずに、失敗したところからしか、ものを考えないというのは、本末転倒です。
戦争にいたる場合も、それ以前の外交があるのです。
最初から武力のことだけを考えて平和的な外交のことをしっかりと考え、築いていかなければ、むしろ自分から「敵」を作り、攻撃を誘ってしまうことになります。これは
愚かな行為です。
むしろ、
外交の基本は「敵を作らないこと、敵対している勢力は中立に持ち込むこと」であると思っています。それを行っていく際の基本的な理念と基本方針が、既に日本国憲法の前文と9条では謳われていると思います。
あとはそれらの条文で謳われた平和主義の理念を実現していくだけだと思います。
Q10 あなたの憲法9条に対するお考えをお書きください。その際、戦争体験や国内・海外での旅行や留学、ビジネスなどを通じて、憲法9条について考えた個人的な体験や経験、エピソードなどがあれば、あわせてお書きください。
(省略する)

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