2013年に読んだ本でよかったものをピックアップしてみる。
★鈴木章俊『ヴェーバー的方法の未来』
ウェーバーの理念型的な発想法が極限的な発想法であるのに対し、
アダム・スミスの自然主義的な思考法を対置し、ウェーバーを批判している点は非常に参考になった。スミスの思想は学んでみる価値がありそうだという感触を得た点で一つのきっかけを与えてくれている。
★今野元『マックス・ヴェーバーとポーランド問題』
ウェーバーの政治論を批判的に見ていくにあたって、非常に参考になる論点を提示してくれている。特に、エリート主義と文化勾配論というウェーバーに限らず多くの人に多少なりとも共有されているものの見方を批判的に捉えていく際に参考になるだろう。
★小熊英二『社会を変えるには』
「再帰的近代化」の概念、
「代表」という問題、「盛り上がる」ということ(自己を超える「われわれ」を作ること)といったことを教えてくれた。特に「代表」の問題に気づかせてくれた点は大きい。
★サリー・ウォード『0〜4歳 わが子の発達に合わせた「語りかけ」育児』
子どもの関心に注目して対応すべきである点やリベラルな原則(強制を忌避すること)の有用性を確認できた点で参考になった。
★藻谷浩介『デフレの正体』
経済は人口の波で動くという見方で見ることにより、様々な現象を一括して理解でき、正しい処方箋も見出しうる。また、数字を見る時に変化率でみる前に
絶対数に着目すべきであるという指摘も有意義。
★藤森照信『日本の近代建築(上・下)』
西廻りのヴェランダコロニアルと東廻りの下見板コロニアル、木骨石造コロニアルという図式、その後のお雇い外国人の多くは建築の専門家ではなかったこと、歴史主義からモダンデザインへの移行を建築家の世代と絡めて叙述していくあたりも整理の仕方として非常に参考になるものがあった。

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