ギョーザ事件 中国でも中毒症状
<8/6 12:17>
中国製冷凍ギョーザによる薬物中毒事件の後、中国国内で回収されたギョーザを食べた中国人が中毒症状を起こしていたことがわかった。
警察庁や政府関係者によると、中国国内で中毒事件が起きたのは今年6月ごろ。日本での中毒事件を受け、中国の製造元「天洋食品」は中国国内でギョーザを回収したが、倉庫にあった該当のギョーザを食べた中国人が有機リン系の殺虫剤成分「メタミドホス」による中毒症状を起こしたという。
この事実は、7月初めの北海道洞爺湖サミット直前に、中国外務省の幹部から在中国日本大使に「これは胡錦濤国家主席の直接のメッセージだ」として伝えられた。政府関係者によると、すぐに首相官邸に報告があったが、官邸からは「この件は掘り下げるな」と指示があったという。
これまで日本と中国の警察当局は双方とも自国内でメタミドホスが混入されたことを否定しているが、警察庁は、この事実により「メタミドホス」が中国国内で混入された可能性が高まったため、北京オリンピックの終了後に捜査協力を本格化させる方針。
以上、日テレNEWS24より。
幾つかの疑問がある。
政府はこの問題を掘り下げないことによって、中国政府から何か譲歩や共存共栄の方向性に有益なものを引き出せたのだろうか?それならば外交戦略的には容認可能になってくる。
サミットの前に中国側から知らせてきたということは、中国政府が日本政府の出方を伺う「リトマス試験紙」として使ったということであるように思われる。報道によれば、日本は敵対しないという意思表示をしたことになる。それに応じて中国はサミットである程度の協力をすることにしたのだろうか?
ただ、こうした事件を外交的に利用するという道具主義的な見方を廃して、単に生命や食品の安全の問題という観点から見るならば、こうした隠蔽は好ましいこととは言えない。しかし、世論がヒートアップして冷静さを失っている時には、センセーショナルに報道されることが少ないほうが、本当の問題解決には役立つことがありうる、という判断は可能ではある。
(センセーショナルな報道ばかりが続くと、詳細な実情を知らない世論は容易に「悪」に対するバッシングに走るのがオチであり、そうした雰囲気の中では客観的な対処が妨げられることが多い。)
とはいえ、この報道で示されている内容は、日本政府がそうした判断をしたという文脈には乗らない。北京オリンピック以降に捜査協力を本格化させるというのも、オリンピック期間中はオリンピック向けの対テロ対策などで中国側が手一杯という事情はあるかもしれないが、やはり政治的な臭いを感じさせてしまう。
論旨が掴みにくい書き方になってしまったが、この件に対する日本政府の対応は実に微妙なものだということだ。
「嘘や隠し事はいけない」とか「あらゆることは正確かつ迅速に報道されなければならない」というような比較的単純な道徳的判断だけで評価を下すならば、日本政府の下した判断は許しがたいものと映るだろう。リベラルや左派にはこれに近い見方が比較的多いかもしれない。これに対して右派には、「中国に譲歩している」と映り「土下座外交」のように見えるかもしれない。どちらから見てもネガティブなものにしか見えない。(これらは単純化したモデルだから、これとは違う見方の人もいるだろうが、基本的なパターンとしてこうした傾向は指摘できるだろう。)
ただ、必ずしもネガティブなだけの評価で断罪はできない面もあるように私には見えるのである。
じっくり考えるヒマはないので、書きなぐり状態のままメモしておく。

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