集団的自衛権の論議失速 首相冷ややか、法制懇幕引き
2008年6月25日8時14分
首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)は24日、福田首相に報告書を提出し、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認するよう政府に求めた。だが、首相に提言を正面から受け止め、本格検討するそぶりはない。安倍前首相の肝いりで設置された懇談会は、議論を喚起できないまま役目を終えた。
安倍前首相は、現在の政府解釈で自衛隊の活動が困難とされる(1)公海上での米艦船への攻撃への応戦(2)米国に向かう弾道ミサイルの迎撃(3)国際平和活動をともにする他国部隊への「駆けつけ警護」(4)国際平和活動に参加する他国への後方支援の4類型について検討を指示。報告書は、いずれも可能とすべきだと提言し、(1)(2)は集団的自衛権の行使容認、(3)(4)は憲法解釈の変更を求めた。
だが、福田首相の視線は冷ややかだ。そもそも、福田氏は集団的自衛権の行使には慎重で、福田政権誕生後は同懇談会は一度も開かれず、約10カ月にわたり「休眠状態」に置かれていた。
懇談会は集団的自衛権の行使容認論者が大勢を占め、首相が「私が受け取れる内容にしてくれ」と間接的にメッセージを出したが、変わらなかった。政府高官は「(メンバーの)頭の中を変えるわけにはいかない。現実の政権のあり方とはかけ離れた報告書」と突き放す。
報告書を受け取った首相も24日夜、記者団に「内容はまだ見ていません」。「(憲法解釈を)変えるなんて話したことはない」と語ったうえで、懇談会を閉じる考えを明らかにした。
国会閉会を待って報告書を提出した懇談会だが、提出の場面は報道陣には公開されなかった。柳井氏は提出後の会見で「今までのような憲法解釈で、激変した安保環境で日本の安全保障が達成できるのか」と報告書の意義を強調したが、提案が政策に生かされるかについては「国内政治的には厳しい。一朝一夕には変わらないことは分かっている」と語った。(金子桂一)
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〈安保法制懇報告要旨〉
【憲法9条への基本認識】
これまでの政府解釈の踏襲では今日の安全保障環境で生起する重要問題への対処は困難。現行解釈に固執することは法的に合理的でない解釈の連鎖を生み出しかねず、国際的に適切と考えられる新しい解釈を採用することが必要。
【4類型に関する提言】
〈公海における米艦防護〉これまでの憲法解釈、現行法の規定では自衛隊は極めて例外的にしか米艦を防護できない。集団的自衛権の行使を認める必要がある。
〈米国に向かう弾道ミサイル迎撃〉弾道ミサイルを打ち落とさないことは日米同盟を根幹から揺るがす。絶対に避けるべきだ。集団的自衛権の行使に頼らざるを得ない。
〈国際平和活動での駆けつけ警護〉国際的平和活動は憲法9条で禁止されないと整理し、認めるべきだ。
〈国際平和活動に参加する他国の後方支援〉憲法上の評価を問う「他国の武力行使と一体化」論をやめ、政策的妥当性の問題として決定すべきだ。
橋下知事「自衛隊で職員研修を」 陸自・信太山駐屯地を視察
6月17日13時4分配信 産経新聞
大阪府の橋下徹知事は17日、同府和泉市の陸上自衛隊信太山駐屯地を視察。「自分を律することが公務員に必要」と感想を述べ、40歳代の職員を対象に自衛隊の体験入隊を検討することを明らかにした。
橋下知事はこの日、戦闘訓練や銃剣道訓練、市街地戦闘訓練などを見学。記者会見で、「新人ではなく、40歳代くらいの職員を対象に自衛隊での研修を検討したい」とし、「府庁の事務職にどっぷり慣れ親しんだ職員に、あいさつ、姿勢から学んでほしい。僕も含めて」と述べた。実現できるかどうかは分からないとしながらも、同日午後に開かれる部長会議で提案したいという意向を示した。
同駐屯地では企業などを対象に2泊3日の生活体験を実施。体験には食費のみで参加でき、号令に従って気をつけや敬礼の動作をしたり、10キロ行進したりする。今年4月以降、府内や和歌山県の4社から約80人の体験入隊を受け入れた。また、今月24日からは、和歌山県岩出市の職員7人も、生活体験を予定している。
最終更新:6月17日13時4分
産経新聞
「サマータイムは健康に悪影響」 睡眠学会が声明
2008年06月05日18時10分
温暖化対策として導入論議が進むサマータイム(夏時間)制度について、不眠症治療に取り組む医師らでつくる日本睡眠学会は5日、健康に悪影響を与える可能性があるなどとして導入に反対する声明を発表した。医療需要の増加などで逆にエネルギー消費が増える可能性も指摘する。
学会によると、制度を導入した欧米では健康被害が多数報告されており、夏時間への変更後、数日から2週間程度は睡眠時間が減少。日本人は欧米より平均睡眠時間が約1時間短いため影響は大きく、暑さが収まらない時間に床に就けば、寝付けずに不眠を誘発する可能性もあるという。
睡眠障害による医療費増加や作業能率の低下などによる国内の経済損失は年3.5兆円にのぼるとの試算があるという。サマータイム導入で睡眠障害になる人が増えれば、経済損失はさらに年1.2兆円増えると見積もっている。
欧米の仕事の特徴は、職務分担がはっきりしている点にある。……(中略)……。こうした自己完結型の仕事をするのが欧米型である。労働時間も明確だから、業務開始時間を早めれば、その分早く帰ることができるわけだ。ところが、日本の場合は個人で業務が完結していることが少ない。……(中略)……その結果、日本のサラリーマンの間に一つのライフスタイルが生まれた。それは、会社にいるのが大好きで、家になかなか帰りたがらない人間が増えたことである。
大阪府職員採用、申込者4割減…橋下改革嫌われた?
大阪府人事委員会は29日、来春入庁する府職員の採用試験(2008年度、大卒程度)の申込者数が1422人で、現在の採用方式となった1999年度以降最少になった、と発表した。減少幅は07年度比37・7%と、99年度以来最大。橋下徹知事は2月の初登庁日、職員に「破産会社の従業員の自覚を」と訓示、その後4〜16%の給与カット方針を打ち出しており、厳しい職場環境が敬遠されたとの見方も出ている。
人件費抑制のため、採用予定者数自体も約75人と07年度のほぼ半分。職員採用セミナーでは、橋下知事自ら「どの自治体より有益な経験ができる」と呼びかけたが、8日から22日までの受付期間中にあった申し込みは、行政職が1182人(07年度比38・1%減)、技術職が240人(35・7%減)にとどまった。
人事委は、激減の理由を「民間の積極採用や、2年間採用を凍結していた大阪市が募集を再開したのが響いた」と分析。橋下知事は「(待遇に)不安を抱く人がいるのかもしれないが、難局を一緒に乗り切ろうと意欲を持って来てくれる学生がこれだけいるのは心強い」と話している。
■情熱だけで優秀人材確保難しい■
早川征一郎・法政大教授(公務員給与制度)の話「大幅な人件費削減方針が影響し、公務員になりたい人が大阪府から他の自治体に流れたと考えるのが自然。仕事への情熱だけで優秀な人材を確保するのは難しいのでは」(2008年5月30日 読売新聞)
「支持する」なら、どのような行動や政策を支持し、それが社会にどのような良い影響を及ぼすといえるのかを明示すべきだろう。そうしたことを欠いたまま「支持する」と言ってみたところで、そのコメント自体が私が言っていることを裏付けるデータになるだけである。