続いて台湾のサブカルチャーについてだが、この問題に関しては、街を歩いていて気になったことなどをいくつか書き留めておくにとどめる。ただ、
予想以上に楽しめたことは確かである。
(1)大陸の自転車と美麗島のスクーター?
「中国」というと「群れをなして走る自転車」というイメージがある。しかし、台湾ではそれほど自転車を見かけることはない。しかし、
スクーターがやたらと走っていたりする。これがなかなかの「見もの」なのだ。思うに、スクーターに乗ることは、山がちな地形と経済性(自動車やバイクより安い)、人口密度がそこそこの高いこと(駐車スペースが限られていることも含む)などから考えて
「合理的」な選択と言える。
信号待ちの際、レースのスタート位置のような様相を呈するのが印象的。大陸の自転車が次第に自動車に切り替わっているが、台湾も今後変わっていくのだろうか?注目してみたい。
ちなみに、これと同じ傾向の現象だと思われるのが、建物や地下鉄構内などの
天井が妙に低いこと。四国くらいの面積の島に2000万人以上の人が住んでいるので、土地の有効活用が重要であるため、
階数を稼ぐのに有利な選択をしたのではないかと思われる。
少し圧迫感を感じるほど天井が低く、日本にいる感覚で8〜10階建てくらいのビルが12階建てだったりする。地下鉄の天井が低いのも
建設する観点からすると経済的ではある。
いずれも
購入・建造コストが安上がりであり、かつ土地利用の効率性も高いようである。
(2)素直な若者たち?
若者が寺で
お参りしているのも印象深い。街なかにあるお寺に線香をあげてお参りしたり、寺の中には入らずに入口で頭を下げて祈っていたりと、いろいろなやり方があるようだが、それでも
お参りしたり祈ったりすることが、ごく自然に行われている。由緒あるお寺などに行くと、年配の人だけでなく多くの若者がお参りしていたりする。
エレクトロニクスが大きな産業的位置を占めるような、
高い経済力を持つ台湾で、これだけ宗教的な行為が日常に組み込まれていることに少し驚く。まぁ、エジプトに旅行したときに一緒に行動したオーストラリアの人たちも食事の前に「当然のこととして」祈っていたし、
日本以外の多くの地域ではそれが当たり前。ある意味では日本ほど宗教的行為に対して無関心である方が少数派なのかもしれない。(欧米の人たちも宗教に熱心とは思えないが、それでも日本よりは尊重されているように見える。)
また、そうした若者たちが
街中にある大画面のテレビ映像を見て笑ったりしている姿も日本や他の地域ではあまり見られない光景で面白い。
街の大きなテレビ画面で映像や宣伝が流れていても、日本を含めた多くの地域では、普通、そこに注意を集中させることはあまりないと思う。ところが台北の複数の場所では違った。若者たちがそうした映像を(単にlookしているのではなくて)watchしているのである。そして、画面を見てみんな笑ったりしている。これはちょっと新鮮だった。
台湾の若者といっても多様なので一括りにするのは誤っているかもしれないが、それでも私が目にした人たちをあえて一つのカテゴリーに括るとすれば、ある種の
素直さというか実直さのようなものを感じ、
好印象を持った。
(つづく)

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