先ほどの記事で日本の政策が軍事力拡張と市場原理主義の方向にばかり進められつつあり、人々がそのことの意味に気づいていないので、そうした政策に対抗しにくい事態になっていることを述べた。
ここで当面重要になってくるのが、参院の野党であり、また、市民(一般の人々の運動など)や自治体、中央政府の官僚であると思われる。
ここでは参院の野党に関連して思うところを一言述べる。
上記のように考えてくると、民主党の代表選は注目に値する。
自民党(小泉)と同じく親米的(アメリカ追随的)で脱労組に見られるような市場原理主義(これまた小泉と同じ)を掲げ、また自民党と同じように憲法改正を積極的に掲げる
前原誠司が勝てば、参院の野党勢力への期待は持てない可能性がある。その上、その後の民主党の位置づけについても小泉との違いを打ち出せない以上、民主党は自民党には勝ち目はなく、選挙をしても負ける一方であろう。(ここでは、自民の総裁は来年変わるが小泉構造改革を進める者が選ばれるのだから政策的には大差ないと想定している。)それは派閥の力が弱まった自民党が圧倒的な力を持つ
一党独裁的な政治体制の出現を意味する。
むしろ、そのような状態になるよりは「最小不幸社会」という
小泉自民党とは異なる理念、すなわち、社会民主主義ないし福祉国家的なスタンスを打ち出す菅直人の民主党が誕生する方が遥かに好ましい帰結をもたらすと思われる。
しかし、特にテレビで報道される情報は「世代間闘争」などという訳のわからぬ、ほとんど内容のない対立軸を出して彼らを対比的に扱っているように見受けられる。それは措くとしても、
もし、民主党の若手に前原のような考え方の者が多いのだとすれば、(仮に今回前原が負けたとしても)将来の日本の政治は
暗黒時代を迎えることになるであろう。それはアメリカの覇権衰退と中国の再興隆という状況の中で、アメリカと共に、しかしアメリカよりもずっと急速に経済的なアドバンテージを失っていくことと相俟って、
極めて暗い将来像を描かせるものである。
いずれにせよ、私が最悪の選択肢と考えることばかりが(特に政治の世界では)続けて起こるのだが、今回もそのようにならないことを祈りたいものである。
ちなみに付け足せば、日本が経済的に優位性を失うこと自体は、必ずしも悪いこととはわたしは思っていない。しかし、それについては機会を改めることにしよう。

0