★マリア様がみてる〜大きな扉 小さな鍵(今野緒雪/集英社)
⇒そうかー、動いたか乃梨子ー。ようやったー。
動いてくれたおかげで、「レイニー止めの悲劇」が繰り返されずにすんだ気がする。「レイニー止め」がなぜあんなに話題になったのかといえば、「ええっ、ここで『以下次号』なのっ!?」という驚きももちろんのこと、雨に打たれてただ泣くしかなかった祐巳の姿に、誰もが身を切られる思いをしたからだと思うのだ。
多分、当初の予定では「レイニーの再現」だったのではないかと思う。それは過去、図らずも祐巳をそんな目に合わすことになった瞳子への、運命のしっぺ返しとして。2度目の「100」を数え終わった瞳子の前にはやっぱり誰もいなくて、すり抜けてゆく寒い北風に独りで泣き続ける……はずだった。
だがそれを、瞳子の親友たる乃梨子は放っておけなかったんだ。許せなかったんだ。きっと。乃梨子が瞳子を救う場面は、おそらく作者が言う「次巻・次々巻」あたりに用意されていたことと思う。だが、それを待たずして乃梨子は動いた。彼女の親友を救うために。
でもそれで、この物語を追っている私自身も「救われた」気がした。そしてこの娘も、救われなければならない。「お前は幸せになっていいんだよ」…優は瞳子にそう言った。その通りだと思う。
まあ、次巻が待ち遠しいことには変わりはないけどね(笑)。

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