☆パラレル(服部祐民子/IQ7073)
⇒前作「青虫」から約1年2ヶ月ぶりの新譜。つか、私が「青虫」入手したのは去年の2月だったから、ちょうど1年ぶりの新しい歌たち。
2月10日発売だったのだが、服部サンは現在インディーズというかフリー活動をしており、この和歌山の片田舎のCD屋では買えないのだ。今回、津への出張があって、2日目が予定より早く開放されたので、名古屋まで足を伸ばして(名古屋にすら取り扱いがあるのは1店舗しかないのだけれど)買ってきたのさ。やっぱCDはCD屋で買いたいじゃん?
ちなみに「IQ7073」つーのは服部サンのセルフレーベル。世界で一番優れた民族なわけでも、命令ゼッタイ規則はイッパイなわけでもない(……ネタが古過ぎる……)。
前作で復活してしまっていた「雌臭さ(ホントヒデエなこの言い回し)」は今回は出てなかった。結果、「アドバルーン」「ONE」(実は「ONE」にも1曲あったんだけど、他の曲がその毒消しをして余りあった)で受けた『神がかった空気感』を、また味わっている。
そう、この文章も聴きながら書いているわけで(笑)。
1曲ごとに、感想のような雑感のようなものを。
* * *
#1 ちっぽけな世界
私が言うところの「空気感」ってのは、結局「嗅いだことのある匂い」であるわけで。吹かれたことのある風や、刺さったことのある痛み、受けたことのあるやさしさや冷たさ。そんなものが重なっとき、私の中でその音楽は血となり肉となってゆく。たまには傷にもトラウマにもなる(笑)。
#2 ふたば
今日2月19日は奇しくも私の「挫折記念日」に当たる。私が本当はどんな人間なのか、それを目の前に広げて見せられた日。自分が見てみぬ振りしてたものを、真正面から叩きつけられた日。それを見せてくれた女の子(当時、笑)もまた、私と同じような人間だった。お互いが鏡の表と裏だった故に、抱きしめあうことも傷を舐めあうことも出来なかった。反目したまま、離れてしまった。貴女は今、どこにいるんだろう。笑えてるのかな。
#3 声
前に進むために手放さなければいけなかったもの。一番大切だと、分かっていたからこそ。あの時、私の声は届いていただろうか。この声が届くことがあったなら、道はまた変わるんだろうか。
#4 パラレル
コーラスの繰り返しのせいでしょうか、頭の中に桜の花びらが舞っているようです(笑)。…「パラレル(平行世界)」が今アルバムの大テーマ。SF的な意味合いばかりではなく「過去の自分」であったり「選ばなかった道」であり「Virtual」であり。それらに囚われながら生きてる自分だからこそ、このアルバムに惹かれてやまないんだろう。
#5 DICTATOR
仮想現実。たとえ「真実」がその上に描かれていたとしても、モニターひとつ隔てた誰かにとっては「VirtualWorld」でしかあり得ない。それは自分自身も同じ。○○××という人間が作り出した「唯人」も「めぐみ佳」も、もう本当の意味での「私」ではないのかもしれない。
#6 風に吹かれて
キレイな別れ。味わったことネエや(爆)。相手が早く自分のこと忘れてくれるように、なるべく汚く情けなく別れる。恋愛沙汰でも、そうでなくても。……言い訳だな(笑)。そうか、私は、再会を夢見ちゃいけないのか(泣笑)。
#7 ずっと逢いたかった
すんません、この曲も大好きですが、共有部分はありませんでしたぁぁっ!!(爆)。……逢いたかった人に逢うことは、たぶんもう出来ないし、許されないことだから。
#8 僕らの背中を
いろんな環境が、人の将来をある程度決めちゃうこともある、のかな。子供に対する親とかも、そう。いまさら何を言っても何が変わるわけじゃないだろうけど、もしもあの頃…そう思うと、ちょっと口惜しかったりもする。私には子供はいないし、これからも持つつもりもないのだけれど、「のちの世代」に伝えたいことはある。それを、言葉にせずとも背中で伝えられたら、と思うこともある。まだまだだけどね。社会人としても、ひととしても。
#9 杉並
「多忙は神だ!」と、吉野弘は言った。一日働き尽くめ、休みの日には泥のように眠る。淡々と暮らしつつも、ふと立ち止まって君の事を思い出すこともない。幸せなのか不幸せなのか、分からない。ここから先、陽の当たる道に出ることはあるんだろうか。
* * *
当分はヘビーローテ。身に染み込まんばかりに。

0