先日、上顎臼歯部の付け根が痛いとの患者さんがはじめての初診として来院した。
5日前から鈍痛、咬合痛。そして腫脹の拡大、頬粘膜も巻き込んで咬むとの訴え。
顔を見ると、腫れている。
この場合、歯科医は上顎臼歯の根の部分に化膿を疑う。口腔内を診る前に、パノラマレントゲンを撮ることにした。
その間に他の患者さんを診療していた。
レントゲンができて、よく診ると歯の治療には異常がない。あれ?なんだろう?
そして、口腔内診査をすると、頬部の歯肉が腫れている。
再度、レントゲンを遠くにして全体を診ると、見えてきました!大きなのう胞が。
診断のきめては、患者さんも忘れている20年以上前の蓄膿症の手術経験。
”術後性上顎のう胞(POWZ)”
病院:従来の慢性副鼻腔炎の根治手術で、病的粘膜をすべて除去すると、年月がたつにつれ手術腔は次第に軟部組織で埋められた瘢痕になります、これが不均一に埋まると一部が袋のように取り残されます。この中に粘液がたまり上顎嚢胞(じょうがくのうほう)。
症状:般的には顔の腫れと痛みがでてきます。その他に、嚢胞が眼の近くにできると眼球突出や眼球偏位のためにものが二重に見えます。ひどい時には視力が落ちることもあります。下のほうに嚢胞ができると歯ぐきがはれてきます。
すぐに、知り合いの耳鼻科の先生に紹介。貯まっている液を抜き、抗生剤で状態は軽減しました。
その後、歯の治療はマッキー歯科、鼻の治療は耳鼻科となりました。
(結構耳鼻科と交流は多いですね)


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