2006年5月の写真。
浅草のタワーといえば、
“浅草 0001” のところでも述べたように、初代が凌雲閣十二階、二代目が仁丹塔、そして三代目が、上の写真の中央にうつっている尖塔、“TOWER'S CENTER BUILDING”ということになっているようだ。三代目はまだピカピカのチープな物件であるが、だからといってバカにしてはいけないだろう。これだって歳月を経て風格が出るということもないとはいえないからだ。
1978年に刊行された小沢昭一(正岡容の弟子)の『ぼくの浅草案内』には仁丹塔の写真が掲載されているが、そのキャプションには、
“イミテーション十二階も風格が出て来た。”とある。二代目にも二代目なりの苦労があったのである。イミテーション十二階などといわれたり、風格に欠けるなどといわれたりしても、じっとがまんしていたのだ。
大谷口の水道タンクの跡地には新たに給水施設が整備され、“ポンプ棟”という名称の高さ30メートルほどのドーム屋根物件が建てられるのだそうだが、その“ポンプ棟”は内部に水を貯える機能を持つものではないのであるから、ただ形状が似ているからというだけの理由で“二代目水道タンク”などと呼んで、初代にくらべるとぜんぜん風格がないなどといって批判するようなことは厳につつしみたいと思っている。水道タンクという名称は一代限りでおしまいにしたいものだ。