9月12日付の
“駒沢 0001” のところで、“世間では、中島鋭治筋のつながりかなんかで、駒沢、野方、大谷口が三点セットのように扱われているようだ”と述べた。三つそろえば権威になってハクがつくのだ。日本三景、寛永三馬術、三大ギタリスト、三大稲荷、世界三大料理などのように、その三つの中に選ばれることに価値がある。また、その三つが点在しているということになると、たとえば帝都三大給水塔などと銘打てば、たちまちお手軽な巡礼コースとなる。あちこちの七福神、七不思議、各地のお札所巡りの、三十三ヶ所、三十四ヶ所、八十八ヶ所、さらには日本百名山に至るまで、それぞれ善男善女でにぎわっているのだから、帝都三大給水塔、もっと早く気がついて商売にしておけばよかった。ポストカードぐらいは売れただろうと思う。
他人が決めたコースにしたがって、ほかのモノには目もくれずひたすら一つ一つたどって歩く。すべてを踏破したときの喜びは何モノにもかえがたい。ニホン人であることのシアワセをしみじみとかみしめるには巡礼にしくはない。