
あたしの自慢の友達。この人といると気持ちが停滞することがない。
身体の中で滝が落ち続けてるみたいに、流れが止まらない。
会うと安心する。ここにはいつも変わらない空気があって、いつもの風が吹いている。
あたしは昔下北に住んで、幼いころからずーっとしたかった生活をした。
家を出て、自分が憧れたとおりの毎日を送った。
今はもう感じないけど、下北の電柱の影に、路地の一角に、夜道の坂に、
伝説と時代、あたしの物語を感じた。今も時々、下北の小さな道で、アパートの入り口の隅っこに、夜の帳がうっすら下りているときなんか、あのころのにおいがして少し胸が痛くなる。
みっくんとはそんな夜は、よく革命を起こしに飲み屋へ繰り出した。
道に、道端の草に、ガードレールとかうっそうとした木に、私たちは文句をつけたり喋ったり笑ったりした。いつも夜。私都会の夜大好き。
メキシコに住んでいたあいつが強制送還されて帰ってきた。
数年ぶりに会ってすごく嬉しかった。
メキシコ人の友達オラシオに、日本名を付けてあげた。
雄羅潮。
強い男、雄大な海、という意味だよ。と教えたら喜んでいた。
結局帰ってきたみっくんとオラシオ、私、みっくんの友人牧野君と
ますださんで、下北で大騒ぎした。
オラシオはスペイン語、みっくんもスペイン語、
牧野君とますださんは英語、
私はニホンゴで。
言葉は皆違ったけど、不思議なことに会話になった。
飲みすぎた。

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