前日壮行会と称して飲んだくれていたので、ちょっとすっきりしないまま朝を迎えた。
成田エクスプレスに、新宿で乗り換えれば行きやすいということで、新宿へ。
駅に着いたら8;00だった。成田エクスプレスの発車は8;03。
みどりの窓口の人が切符を売ってくれない。
「間に合いませんよー。」
「いや、行きます。ください。」
窓口の人は、大きくうなづくと、凄い早さで切符を用意した。
「御気をつけてー」
でっかい旅行用スーツケースを引きずりながら奥のホームまで走る!
発車ホームに着くと8;05。しかし電車がまだいた!
「人身事故のため遅れております。ご迷惑を御かけして…。」
迷惑だなんてそんな!
列車に乗り込む。
「イヤーついてたね。」
「人身事故のおかげだね。」
いつも始まりには、多少のアクシデントや、運のいい出来事など、ちょっとしたスパイスが必要である。
「なんだか楽しい旅になりそうね。」
こうして今回の旅は始まった。

成田空港では両替に手間取っていたらフライト10分前になってしまった。
「あれ?あと10分で飛んじゃうじゃん。」
まあどうにか間に合った。
ヴァージンアトランティック航空901便は、きれいなお姉さんばかりでうれしかった。
機内にはパーソナルTVがついていて、ゲーム、映画、何でもできる。
クイズミリオネアがあって、「ヘー外国にもあるんだ。」と思ってたんだけど、後で聞いたら外国が先なんだってね。
興奮していてフライトの12時間ほとんど一睡もできなかった。
i-map(今飛行機がどこを飛んでるか地図で確認できるもの。高度とか、いろいろも。)でちょくちょくチェックしているともうすぐイギリス!誰よりも早く国土が見たくて、窓とi-mapを交互に目を皿のようにしてみる。海が近くなって、海の色が見え始めた。見えた!緑色の大地。そして…。
「あー!!イギリスだよ!イギリスだー!!」
眼下には、同じ形をした2、3階建てのビクトリア調の家が、ビッチリと、整然と、列をなして並んでいる。やがて形はもっとはっきりして来て、煙突がずらっと並び、レンガ色が日の光を浴びて輝く。
「間もなく当機はロンドン、ヒースロー空港に到着致します。」
「ヒースローだ、あのヒースローだ!」
こうして無事に、ロンドンの地に降り立つことができた。予定より30分ほど早かった。
大きく息を吸い込む。これがロンドンの空気だ。
今回お世話になる青さんに、車で迎えにきてもらっていた。
青さんのお宅はロンドンの南西、Chiswickという所にある。アッパークラスの住宅街だと思う。庭はテムズ河に面していて、

とってもゆったりと広いお家。壁は勿論レンガで、お隣の家とくっついている。(中は別。)おうちには万里さんが。万里さんは仕事で20日までロンドンにいる。
今夜はデザイナー仲間のパーティがあるとのことで、私たちもご一緒させてもらった。イーストエンドのほうで、いまロンドンで最もトレンディと言われてる所に、スタジオなどがいっぱいあって、デザイナーやアーティストたちが作品を発表しているらしい。
スタジオの中はビリヤード台があって、おしゃれな方々が打ってた。スタジオ地下はバーがあって、ビール飲んだり談笑したり。周りは英語の洪水。
その後インド料理屋で御馳走になる。インド料理屋街があって、凄い勢いで客引きしてくる。
新宿のカラオケやみたい。ディスカウントするからどう?みたいな。
帰り、カメラを持った人たちが暗闇で撮影していた。
「テレビ?」
「そう、ジャーマン。」
「ドラマ?」
「ジャックザリッパー。」
「へー!」
何かマントを羽織った悪役っぽいひとが、路地の街灯の下でにたっと笑ってるとこ撮影してた。
「なんでドイツの人がジャックザリッパー撮ってんだろうね。」
ローレンが教えてくれたのだが、(青さんの訳つき。)この通りは本当に切り裂きジャックが出た通りで、この辺の建物も街並もほとんどその頃と一緒なんだって。
え−!!あの有名な切り裂きジャック!!ここなんだー!!
切り裂きジャックといえば、
ロンドンには観光ツアーがいくつもあるが、伝説とゴーストとホラーの都ロンドンには、「ホラーツアー」なるものも沢山ある。実際出るといわれる場所へ行ったり、血なまぐさい歴史の場所へ行ったり…。そして、「ジャックザリッパーツアー」ももちろんある!!ジャックザリッパーの行ったであろうパブや、恐らく殺人現場なんかも行くんじゃないかな。ツアーの詳細は、London Theatre Ticket Webのサイトシーイングツアーのページにいろいろ出ていた。現地でも、チラシやフライヤーの形で観光スポットにいろいろ置いてあった。
ロンドンには何でもある。何でもそのときのまま、小説や、童話や、漫画の題材になったり、何かで聞きかじったことや場所が、そのまんま!ロンドン中がメモリアル!
興奮する。興奮して街並から目がはなせない!
ローレンが面白いこと言ってた。日本に行った時「能」を見たら、建物の中に建物があって驚いたんだって。劇場の中に、能舞台があるから。それとイギリスだと、舞台装置はたいていフェイクだから、触りに行ったら本当に木でできててびっくりしたとか。

0