人生には嬉しいことも哀しいことも、そしてもしかしたら裏切りも諦めも、全てを克服する強さや、一瞬遠くの鈴の音に耳を澄ますような心地良い静寂も、あるんだろう。それらのパーツを良く見ると観音様のような女の姿をしていた。パーツを繋ぎ合わせていくと、それは円になり、キラキラしてきた。教科書で見たことのある曼荼羅のようであった。更に重ねていくと、丸みを帯び、徐々にでこぼこはなくなり、皮でなめした様につるつるになってだんだんと透き通ってゆき、それは水晶のようになった。
水晶のようなそれは、突然ポウと浮き上がり、長い尾をひいて、あっちに行ったりこっちに行ったりした。しばらくふわふわ浮かんでから、名残惜しそうに家の壁に吸い込まれていった。

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