2010/7/22
数年前、私の元へフィッシュグリップを作製して持って来た青年がいました。
「是非見てほしい」と。
私はお世辞にも良い物には見えないその貧弱なグリップを見て丁重ながらもはっきりとこう答えました。
「これは一番重要な道具だ。まったく使えない。使えるはずもない」
私は国内外の数々のフィッシュグリップを買って失敗してきた。
スポーツフィッシングの心を表す象徴なるこの道具。
私が信用できるものはいつしかオリジナルのボガグリップだけとなっていたのです。
すこしきつい言い方をしたかなと後悔しながらも彼には真実を述べて良かったのだと自分に言い聞かせて月日が流れました。
しかし、彼はあきらめてはいなかったのです。
東大阪の金属職人のプライドを持った彼は
研究に研究を重ね、独学で失敗を繰り返し作り続けていたのです。
私もそんなことを忘れ去っていた今年の4月、
彼は私の職場にやってきました。
もう一度見て欲しい、と。
人の良さそうな笑みの奥底に光る真剣な眼差しに何かを感じた私は
勤務後に彼をファミレスに誘いました。
「これを見てください」
差し出されたブツに私は息を呑みました。
単純な材料で作られた剛健そのもののボディ。
気の遠くなる仕事の跡がうかがえるような
手で磨きぬかれた硬質ステンレス鉱の無垢の輝きに。
彼は自信に満ちた笑顔で聞いてきました。
「どうですか!」
私は手を差し出し、
「よくぞここまでがんばった!すごい努力だ!感動した!」
だが、このままではまだまだ野暮ったいラインで重い。重すぎる。
アームの強度もかなり強くなっているがまだ足りない。
ボガグリップ60ldの強度と開口度を超えるんだ。
世界最高レベルで強く美しいフィッシュグリップを完成させよう!
やれるはずだ!
それから何度もお互い仕事を終えた後に会い、図面を前にディスカッションを重ね
朝方まで意思の疎通を図りました。
いつも忙しいと言っていたのはこれもそんな理由のひとつです。
この単純で強く美しく軽い“本物”をつくるには
微妙なラインがとても重要だった。
極限まで贅肉を落とさなければ重量はかなりのものだった。
発売されてすぐに手に入れた、47年ぶりに生まれ変わった
スイス陸軍納入モデルのビクトリノックス・ソルジャーナイフ
を思わせるような曲線のみの合理的かつセクシーなラインを目指して
私は何度も図面にラインを重ねました。
問題はもうひとつありました。
数々の大物を釣って来た人にはわかるでしょう。
ボガグリップのアームの先端の曲面のラインには深い意味があるといことを。
きっぱりと私は彼に言い切りました。
ここから先は君の手削りの職人技だ。
他のフィッシュグリップは一切気にするな。
ボガグリップの先端形状を手本にし、それを超えろと。
日本人の芸術的な技術を見せてやれ、と。
その需要はある。それをを待っている釣り師は必ずいる、と。
「できるか?」
「やってみます。いや、やってみせます!」
そして、遂にその日はやって来た!
ボガグリップ60ldアームの強度と開口度を上回り、かつ軽い。
オーステナイト系硬質ステンレス鋼が鈍い妖光を放つ魂の逸品!
名も無き銘刀只今見参!!

MAEKUBO・R君ご苦労様でした。
でも本当の試練はこれからだよ。
まだこのグリップには名前もありません・・
詳細はまた後ほど・・
「是非見てほしい」と。
私はお世辞にも良い物には見えないその貧弱なグリップを見て丁重ながらもはっきりとこう答えました。
「これは一番重要な道具だ。まったく使えない。使えるはずもない」
私は国内外の数々のフィッシュグリップを買って失敗してきた。
スポーツフィッシングの心を表す象徴なるこの道具。
私が信用できるものはいつしかオリジナルのボガグリップだけとなっていたのです。
すこしきつい言い方をしたかなと後悔しながらも彼には真実を述べて良かったのだと自分に言い聞かせて月日が流れました。
しかし、彼はあきらめてはいなかったのです。
東大阪の金属職人のプライドを持った彼は
研究に研究を重ね、独学で失敗を繰り返し作り続けていたのです。
私もそんなことを忘れ去っていた今年の4月、
彼は私の職場にやってきました。
もう一度見て欲しい、と。
人の良さそうな笑みの奥底に光る真剣な眼差しに何かを感じた私は
勤務後に彼をファミレスに誘いました。
「これを見てください」
差し出されたブツに私は息を呑みました。
単純な材料で作られた剛健そのもののボディ。
気の遠くなる仕事の跡がうかがえるような
手で磨きぬかれた硬質ステンレス鉱の無垢の輝きに。
彼は自信に満ちた笑顔で聞いてきました。
「どうですか!」
私は手を差し出し、
「よくぞここまでがんばった!すごい努力だ!感動した!」
だが、このままではまだまだ野暮ったいラインで重い。重すぎる。
アームの強度もかなり強くなっているがまだ足りない。
ボガグリップ60ldの強度と開口度を超えるんだ。
世界最高レベルで強く美しいフィッシュグリップを完成させよう!
やれるはずだ!
それから何度もお互い仕事を終えた後に会い、図面を前にディスカッションを重ね
朝方まで意思の疎通を図りました。
いつも忙しいと言っていたのはこれもそんな理由のひとつです。
この単純で強く美しく軽い“本物”をつくるには
微妙なラインがとても重要だった。
極限まで贅肉を落とさなければ重量はかなりのものだった。
発売されてすぐに手に入れた、47年ぶりに生まれ変わった
スイス陸軍納入モデルのビクトリノックス・ソルジャーナイフ
を思わせるような曲線のみの合理的かつセクシーなラインを目指して
私は何度も図面にラインを重ねました。
問題はもうひとつありました。
数々の大物を釣って来た人にはわかるでしょう。
ボガグリップのアームの先端の曲面のラインには深い意味があるといことを。
きっぱりと私は彼に言い切りました。
ここから先は君の手削りの職人技だ。
他のフィッシュグリップは一切気にするな。
ボガグリップの先端形状を手本にし、それを超えろと。
日本人の芸術的な技術を見せてやれ、と。
その需要はある。それをを待っている釣り師は必ずいる、と。
「できるか?」
「やってみます。いや、やってみせます!」
そして、遂にその日はやって来た!
ボガグリップ60ldアームの強度と開口度を上回り、かつ軽い。
オーステナイト系硬質ステンレス鋼が鈍い妖光を放つ魂の逸品!
名も無き銘刀只今見参!!

MAEKUBO・R君ご苦労様でした。
でも本当の試練はこれからだよ。
まだこのグリップには名前もありません・・
詳細はまた後ほど・・
投稿者:TERU