2015/12/22

3386:気持ちの泡  

 3名が先にスタートして上り始めた。その背中が小さくなっていき、やがて見えなくなった。そして、少しの時間が経過した後、6台のロードバイクがその後を追い始めた。

 ゆったりとしたペースで序盤は入った。左側には古い石垣が積まれている。道はやがて木々が鬱蒼と茂る峠道らしいものに変容していった。

 やがてペースはしっかりとした巡航ペースへ変わっていった。飛ばし過ぎないようにペースを慎重に調整しながら進んでいった。

 しばし、先頭を引いていた。心拍数が175〜178の間に納まるようにクランクを回し続けた。この負荷であれば、後半になってもペースが落ちることはないはず・・・しかし、後半さらにペースを上げられるかというと「?」マークがついてしまう。

 その負荷のまま中盤まで来た。リーダーがすっとペースを上げて前に出た。それに3名のメンバーが続いた。私は少し遅れて、その先頭集団に付いていった。

 時坂峠はその様相を様々に変える。鬱蒼とした林道が続くと、さっと風景が開けて見事な景色が見えたりもする。もちろん、必死で上っているときには、その景色を楽しむ余裕など全くないのであるが・・・

 やがて時坂峠は後半へ入っていく。ここからが辛くなる。先頭集団もばらけ始めた。リーダーはかなり前を行き、その後を3名が続く。一人が徐々に遅れ始めていた。

 ペースを若干上げた。心拍数は180に上がってきた。先にスタートしたメンバーや先頭集団から遅れ始めた一人のメンバーをどうにか追い越して、その少し前を行く2名のメンバーの背中を追った。

 苦しいが前を行くメンバーの背中があると、クランクを回す脚にはターボチャージがかかる。そのターボのおかげで二人にようやく追いついた。

 3名となった小集団は時坂峠の終盤に向かっていった。ペースが上がった。心拍数がさらに上がる。1名は体調が優れないのか遅れていった。

 2名となった。その先を行くリーダーの背中は遠くに見えていたが、追いつける可能性は無かった。2名での2番手争いとなった。

 ギリギリの負荷である。脚も肺も心臓もフル稼働である。相前後したり並走したりして二人は坂を上り続けた。

 「脚を緩めたい・・・」「握っているものを手放したい・・・」「とにかく楽になりたい・・・」「もう、諦めたい・・・」そんな気持ちが、沸騰した水から泡が湧き上がるように、心の底から勢い良くブクブクと湧き上がってくる。

 しかし、脚を緩めることはなかった。そんな「気持ちの泡」は湧き上がるままにしておいた。限界付近で喘ぎ喘ぎ2台のロードバイクはゴールを目指し続けた。

 そしてようやくゴールに到着した。私はいつものようにハンドルにもたれかかるようにして、うなだれた。激しい呼吸を整えるのにしばしの時間が必要であった。 

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