2014/6/25

3021:落雷  

 18番ホールのグリーン上で少しばかり雨に降られたが、どうにかこうにかラウンドを無事に終了して、カートに乗った。

 クラブハウスまでの距離は300mほどであろうか。徐々に雨は強くなってきた。空は真っ黒である。まだ3時前と言うのにすっかりと夕闇に包まれたかのようである。

 雷は時折光った。そして時間差を置いて雷鳴が呻いていた。雷は確実に近付いていた。光と音との時間差が少なくなってきた。ゴルフ場には「雷が近づいています。プレー中の方はプレーを中断して退避してください・・・」というアナウンスが繰り返し流れていた。

 もうすぐクラブハウスに着くというところであった。一瞬周囲の空間が真っ白になったように感じた。まぶしいというよりも身の回りの色彩が一斉に消えたという印象である。

 その白色の支配とともに怖ろしいほどの轟音が鳴り響いたはずである。しかし、私の耳にはその音の記憶が残っていない。

 音ではなく巨大な振動が私を襲った。その振動は4人が乗っているカートを揺するほどであった。全員が頭を下げて、かがみこんだ。

 数秒後、皆顔を上げた。一様に瞳孔が開ききったような恐怖の表情を浮かべていた。今の雷は直撃を食らったかのような近さであった。

 私の耳は内部でキーンとした唸るような響きを放ってしばらく機能を停止ししまった。周囲では多くの方の口が動き、何か言葉を発しているようであったが、全く聞き取れなかった。

 クラブハウスのカート置き場に到着した。耳がようやくその機能を回復し始めた。「今のは凄かったですね・・・」「このゴルフ場に落ちたのではないですか・・・」「耳がおかしい・・・凄い音でしたね・・・」周囲の声が聞こえ始めた。

 カートから降りて、クラブ確認をしサインをした。その時、急にバタバタとした異音がし始めた。雹である。かなり大きく、そして激しく降り始めた。

 クラブハウスの外の地面は急速に白くなり始めた。雹は生命があるかのように跳ねまわった。木々の葉が雹に打たれてはらはらと散っていた。ほんの少し前までそこでゴルフしていたことが信じられないような驚異的な風景をしばし呆然と眺めていた。



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