2014/6/22

3018:カツカレー  

 梅雨空が戻ってきた。朝から降り続いた雨は昼過ぎには止んだ。湿度は高いが、気温はここ数日と比べると下がり、比較的過ごしやすかった。

 Aさんとともに高円寺の中華料理「タカノ」を訪れたのは、9時半を過ぎ時計の針は10時に近付きつつある頃であった。周囲の空気は雨の余韻をまだ含んでいた。

 この店は昔からある街中の中華料理屋さんといった風情でしゃれっ気はほとんど感じられない。年老いた母親とその息子で切り盛りしている。二代目である息子はきっと独身であろう。そんな雰囲気を醸し出している。

 ここはどの料理も安く、ボリュームがあり、そして美味しい。中華料理屋であるので中華料理の定番メニューも豊富にメニューに並んでいるが、「ここのカツカレーは美味しい・・・」という噂を以前より小耳にはさんでいたので、私はカツカレーを頼んだ。Aさんは定番中の定番であるチャーハンを頼んだ。

 カツカレーというと、頭のなかには一つの形というか、イメージが浮かぶ。揚げたてのとんかつを包丁で幾つかに切り分けたものが、やや楕円のお皿に盛られたライスの上に乗っていて、その上に具が融け込んだような少し滑らかなカレーが満遍なくかかっている・・・そんなイメージである。その色合いは濃い茶色・・・漕げ茶とでも表現すべき色合いで・・・

 私の脳内の映像中枢にもそんなカツカレー像がぼんやりと浮かび上がっていた。しかし、カウンター席に座った私の目の前に「お待ちどうさま・・・」と、作り手であるタカノの二代目がぼそっと呟きながら、差しだし、置かれたカツカレーは全く異なった造形をしていた。

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 お皿の形、カツの形状、カレーの色合い、ザクっとした感じで入っている玉ねぎなどの具材、カレーの味わい・・・どれをとっても今までカツカレーとして私の頭のなかで生き続けてきた一つの「完成形」を打ち破るものであった。

 「カツカレー」というものに全く別の角度から光を当てたような・・・そんな印象を受けた。食してみるとこれがまたそれぞれの要素が納得される味わいであった。

 何故カツがカキフライのような形状をしているのか・・・玉ねぎがザクザク感を残して入っているのか・・・さらには皿が横長の楕円形をしていないことについてまで頷いてしまうのである。

 今日は周囲が薄暗くなってからお邪魔したAさんのお宅で聴いたLola Bobesco(ローラ・ボベスコ)のヘンデルのように、ちょっと目から鱗的な体験であった。 



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