2013/8/25

2719:幸福の窓  

 朝の6時に目が覚めた。窓ガラス越しに雨が降っている音が聞こえてきた。窓を開けると本降りの雨音が部屋のなかにしっかりとした足取りで侵入してきた。

 「相当降っているな・・・これは今日は無理かな・・・」

 さらに30分ほどベッドのなかでまどろんだ。再び起き出して窓を開けた。雨は降り続いていた。すぐには止みそうにない感じであった。

 「やはり、今日は無理そうだ・・・」

 そう思って窓を閉めた。そして再びベッドにもぐりこんだ。それにしても今朝は涼しかった。昨晩、釧路空港から1時間半ほど飛行機に乗って羽田空港に着いた時には、やはり東京は蒸し暑いと思った。しかし、今朝は北海道と大して違わないくらいに涼しい。

 乗鞍までちょうど1週間。本番前の貴重なロングライドの予定であったが、雨によってチームでのロングライドは中止となった。

 ロングライドが中止となったので、臨戦態勢を整えていたORBEA ONIXは、別室へ運び込まれ、固定式ローラー台に取り付けられた。

 ローラー台でのトレーニンングはけして楽しいものではない。どちらかというと辛いものである。しかし、時折ほんのわずかな時間であるが、一種の解放感というか一体感というか独特の空白な感情にとらわれる時がある。

 今日は1時間30分、中程度の負荷でクランクを回し続けた。結構きつい。汗が大量に流れ去ってゆく。漕ぎ始めて1時間ほど経過した時であった。体の苦しみがすっと抜けていった。心にかかる負担も霧が晴れるように消えた。

 その真空状態に入り込むと、体はまるで意思や感情を持たない機械のように動き続ける。心は不思議と静かである。

 残念ながら、その真空状態は長くは続かない。数分から長くて10分程度・・・やがて、体は苦痛を再認識し、心は大きな威圧感に襲われる。

 その「真空状態」はきっと、脳内麻薬の作用であろう。脳に発せられた特定の成分の濃度がちょうど良いバランスになった時に感じる独自の平衡感覚なのかもしれない。

 今日もその「真空状態」が訪れた。短い時間であった。数分の出来事である。その時ふと思い出していた。阿寒湖湖畔のアイヌコタンの片隅にあった「幸福の窓」と名付けられた木をくり抜いた窓から見た風景を・・・心の状態は、そう、きっとこんな感じであると・・・思った。

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