2022/4/30

5903:ペースパートナー  

 Zwiftでのトレーニングは従来、そのコースのほとんどを「Alpe du Zwift」で構成されている「Road to Sky」を選択することが多かったが、最近はペースパートナーと一緒に走ることが増えた。

 「ペースパートナー」は4名いて、WATOPIA内を走っている。WATOPIAの決められたコースを、それぞれほぼ一定ペースでずっと走り続けているので、自分の脚力に合ったペースパートナーを選択することができる。

 ペースパートナーと走るには、まずWATOPIAを選択し、4人のうちからペースパートナーを選ぶと、自動的にグループライド状態になって一緒に走ることができるようになる。

 ペースパートナーとの一緒のライドが開始されると、走行中の集団の中に自分のアバターが放り込まれる。走行開始直後のペアリング時はアシストがはたらくものの、それは5秒間だけであるので、事前に5分ほど軽めにアップしてから集団に合流する。

 4人のペースパートナーは次のとおり。名前もついている。A.Anquetilはフランスの女性。イメージカラーは赤で、275W/約4.2倍の強度で走っている。これについていくのは私には無理である。

 B.Brevetはイギリスの男性。イメージカラーは緑で、265W/約3.3倍の強度で走り続ける。これもついていくのは短時間しか無理である。

 C.Cadenceオーストラリアの女性。イメージカラーは青で、165W/約2.5倍の強度で走り続ける。一番人気があり、その集団は大賑わいである。私はいつもC.Cadenceを選択する。

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 もう一人はD.Diesel。アメリカの男性でイメージカラーは黄。125W/約1.5倍の強度で走り続ける。比較的のんびりと走りたいときには最適であろう。

 昨晩もC.Cadenceを選択して走り始めた。一緒に走る時間は60分と決めている。平均出力は170ワット程でついていけるが、ずっと一定というわけではない。コースの状況や集団内での位置でも負荷は変わってくる。

 大きな集団内ではドラフティングも効くので、なるべく集団内に紛れ込むようにして走っていくと結構快適である。

 気をつけないといけないのは、集団の後方にずれていった時である。気を抜いていると集団の最後尾に下がったりするが、そうなるといきなり負荷が重くなる。

 できれば集団のやや前方にいた方が良さそうである。そこで、今日はなるべくC.Cadenceよりも前方に位置するようにしながら走り続けた。

 30分も走り続けると汗は大量に流れ始める。スマホに表示される経過したタイムに時々目をやりながらクランクを回し続けた。

 60分経過したところで終了した。消費したカロリーは約600キロカロリーと表示された。60分間の平均パワーは173ワットであった。

 楽ではないが決してへろへろになることもない。日常的なトレーニングとしてはちょうどいい負荷である。

 ペースパートナーとのライドで良い点は、集団で走れるので、なんとなく心理的に楽であるという点と、他のライダーと競う必要がないことである。Alpe du Zwiftを走っている時にはゴールが近づいてくると他のライダーとのバトルになったりするが、そういったことはない。

2022/4/29

5902:作業  

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 「録音は1963年の3月か・・・私の生まれた年だな・・・」こういった偶然はそのレコードの対する親近感を一気に高める効果がある。

 ジャケットにはSTEREOと記されたシールが貼ってある。この時代はまだ市場にモノラルレコードもあった頃である。シールが貼っていないものはモノラル盤であったのであろう。

 「ステレオ盤であるし、録音された年代からするとイコライザーカーブはRIAAだよな・・・念のためにイコライザーカーブ一覧表を確認しておこう・・・」と、Zanden Model12に付属していた一覧表を見てみた。

 このレコードのレーベルである「EURDISC」を確認すると、古い時代のものである場合、「TELDEC R Mid」と記されていた。

 新たに我が家に海外から届いたレコードは、エリカ・ケート(ソプラノ)エルネスト・メルツェンドルファー指揮ベルリン交響楽団及びRIAS合唱団の演奏による、オペラのアリア集である。1963年3月の録音であり、STEREO盤である。収録されている曲目は、次のとおりである。

1.オペラ「後宮からの逃走」~「何と大きな苦しみが」
2.オペラ「後宮からの逃走」~「どんな責苦があろうとも」
3.オペラ「魔笛」~「復讐の心は地獄のように」
4.オペラ「フィガロの結婚」~「とうとうその時が来た/恋人よ早くここへ」
5.オペラ「フィデリオ」~「わたしとあなたがいっしょになれたら」
6.オペラ「リゴレット」~「麗わしい人の名は」
7.オペラ「ランメルモールのルチア」~「狂乱の場」

 クリーニングを終えたレコードを聴いた。最初は「TELDEC R Mid」に合わせてみた。最初のアリアを聴き終えて、イコライザーカーブを「RIAA R Mid」に変更して同じ曲を聴いた。

 「やはり1963年だから、さすがにRIAAだよね・・・」と確認した。その後極性を「R」から「N」に、さらに第4時定数も「Mid」から「High」と「Low」にも切り替えてみた。

 聴感上最も印象の良かった組み合わせを付箋に鉛筆で記してジャケットに貼り付けてから、ゆっくりとレコードを堪能した。

 新しいレコードを入手すると、超音波によるレコード洗浄を終えてから、この作業をして、イコライザーカーブなどの組合せを付箋に記入するという作業が必要になった。

2022/4/28

5901:選択肢  

 「オーディオショップ・グレン」にしばしの間展示されていたZanden Model120は、我が家のリスニングルームのYAHAMA GTラックに移設された。

 横幅は35pほどで奥行きも同じくらい。高さはなく、とてもコンパクトな機器である。LEDによるインジケータがそれぞれのスイッチやノブについていて、その色によって作動状況を示すので、結構カラフルである。

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 フロントパネルは金属ではなくアクリル製で、白く淡い色合いのものである。選択が可能なイコライザーカーブは、RIAA、TELDEC、EMI、COLUMBIA、DECCAの5種類である。

 セレクターノブを回すことによりイコライザーカーブを選択する。選択したイコライザーカーブによってインジケータの色が変わる。

 また極性も切り替え可能で、それは向かって右のスイッチを押すことによって切り替える。「正相(N)」はグリーン、「逆相(R)」はレッドという具合に、こちらもインジケータの色によってその状態が分かる。

 イコライザーカーブによって音が変わるのは当然ではあるが、結構意外だったのが極性の切り替えによって随分と音の質感が変わるという点である。

 主要なレーベルごとにイコライザーカーブを示したリストがあり、そこには推奨の極性も表示されている。それを確認すると「逆相(R)」を指示されているレーベルがとても多い。

 そういったレーベルの古いレコードを聴いていて、試しに極性を切り替えてみると「やはりこっちの方がしっくりとくるな・・・」という感想を持つ。

 すべてのレコードのついて記憶するのは困難であるので、付箋にイコライザーカーブや極性を記して貼り付けておく必要があるかもしれない。

 さらに、技術的なことは全く分からないのであるが、「第4時定数」というものを3段階に切り替えられる。

 High(55kHz)は「主にヨーロッパプレス・日本プレス盤」、Middle(45kHz)は「主に古いヨーロッパプレス」、Low(42,5kHz)は「主にアメリカプレス盤」と取扱説明書には記載されている。

 5つのイコラーザーカーブ、極性が2つ、そして第4時定数が3つ・・・ということは組み合わせの数は30ということになる。

 「これだけあると、覚えろという方が無理というもの・・・せっせと付箋に記入するしかないか・・・」と思った。選択できることは良いことであるが、「選択肢が多すぎる・・・」とも感じた。

2022/4/27

5900:PENTATONE  

 「1984年生まれというこは、現在38歳か・・・まだまだ若いな・・・」と思った。鍵盤奏者フランチェスコ・コルティはイタリア人である。

 コルティは2006年ライプツィヒにて第15回国際ヨハン・セバスチャン・バッハ・コンクールのチェンバロ部門で第1位を受賞し、翌2007年にはマルク・ミンコフスキからのアプローチでルーヴル宮音楽隊のメンバーとなった。以後チェンバロ、フォルテピアノ、オルガン奏者として世界的に活躍している。

 その彼が2018年よりゲスト常任指揮者をつとめるピリオド楽器オーケストラ『イル・ポモ・ドーロ』との共演によるJ.S.バッハのチェンバロ協奏曲集のCDを先日入手した。

 このシリーズは2枚からなり、レコード芸術誌の「特選盤」ともなっており、日本でもかなり注目されていた。

 私が入手したのは、そのシリーズの第2集であるCDである。収録曲は、室内楽編成でより効果の得られる作品として選定された、第3番 ニ長調BWV1054、第5番 ヘ短調 BWV1056、第6番 ヘ長調 BWV1057、そしてフルート、ヴァイオリンとチェンバロのための三重協奏曲 イ短調 BWV1044である。

 早速聴いてみた。基本的に各パート一人ずつでの編成での演奏は、バッハのテクスチャの妙が音として明確に伝わってくる。

 レーベルはPENTATONEである。PENTATONEというとSACDというイメージがあったが、さすがにもうSACDは商業ベースに乗らないようで、CDのみである。

 録音は2020年3月。レコーディングを終えた翌日にイタリアはロックダウンに入ったという緊迫した状態であったとのこと。録音も実に素晴らしく、演奏者の気迫がひしひしと伝わってくる。

 コロナウィルスの蔓延による危機意識が、バッハの音楽に没入しその喜びを分かち合おうとする強い動機になったかのようである。

 このCDを聴き終えると、力を与えてもらったような気になる。コルティの魅力である雄弁で闊達な演奏が、優れた録音技術でしっかりと捉えられていて、イル・ポモ・ドーロとの息の合ったアンサンブルは実に魅力的である。

 順番としては逆になるが、このシリーズの第1集も入手したいと思った。さらにこの両者による第3弾として、ヘンデルのカンタータ“アポロとダフネ”と“見捨てられたアルミーダ”が収録されたCDも最近出たようである。「これもついでに入手するか・・・」と思い、スマホを操作した。

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2022/4/26

5899:LANCASTER  

 今日は狭山市にある「響工房」を訪れた。「響工房」を訪問するのは随分と久しぶりである。数年前には数ケ月ごとにMarantz Model7やModel2を車の荷室に詰め込んで運び込んでいた。

 どちらもとても古いオーディオ機器であるので故障が多かったのである。ここ2年程は比較的平穏な日々を過ごしていたので、足が遠のいていた。

 Maranzt Model7が少し前からノイズが不意に出ることがあったので、現在ベンチを暖めていることもあり、「今のうちに持っていこう・・・」ということになった。

 YAMAHAのGTラック3台を、イタリアのバッソコンティニュー社の高級3段ラック3台に入れ替えることによって、ベンチを暖める存在から第一線に復活するまでの間、Model7もしっかりと整備しておかないといけない。

 ということで、今日の午後にBMW iX3の荷室にエアパッキンにくるまれたModel7を積み込んで「響工房」に向かった。道が空いていれば自宅からは40分ほどで着く。

 今日は暑かった。最高気温は27度との予報であったが、確かにそれくらいの気温はあったようである。車の中はもっと暑くなる。

 「窓を開けただけではだめだろうな・・・」と判断してエアコンをつけた。EV車はエアコンをつけると、当然のことながら走行可能距離が減る。

 インパネには充電量が%で表示され、現状の走行状況であとどのくらい走れるかという航続可能距離がqで表示されるのであるが、エアコンをONにするとその航続可能距離の数値が10%ほど下がる。

 エアコンの吹き出し口からは爽やかな涼風が噴出した。その涼風を顔に受けながら車を走らせていくと、「響工房」に着いた。

 駐車場に車を停めて、工房の中にエアパッキンにくるまれた軽いプリアンプを持ち込むと、先客がいらしていた。

 そして工房の修理台の上には、Marantz Model7の姿があった。「あれっ・・・Model7ですね・・・」と告げると、工房の主は「そう、珍しく今日はModel7が2台揃うことになった・・・」と返答した。

 先客のOさんのModel7であった。Oさんはベテランのオーディオマニア。お会いするのは初めてであったが、話していると共通のオーディオマニアの知人がいることが分かって話が弾んだ。

 「スピーカーは何をお使いですか・・・?」「TANNNOYです・・・LANCASTERです・・・」「コーナー型ですか・・・?」「いえ、レクタンギュラー型エンクロージャーです・・・ユニットはモニターゴールドが入っています・・・」

 私の頭の中にはTANNOY LANCASTERのいかにもイギリス的な色合いのすっとした立ち姿の映像が映し出された。

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 いろいろ会話していくと比較的近所のお住まいであることなども分かった。「では近いうちに、聴かせてください・・・」と申し込むと「もちろん、いいですよ・・・」との返答であった。

 Maranzt Model7とペアを組むパワーアンプは同じくMarantzのModel9とのこである。レコードプレーヤーはガラード、カートリッジはSPUを使われている。

 「王道ですね・・・間違いのない組み合わせです・・・」と応答すると「古い時代のクラシックのレコードを主に聴いています。1950年代のフランスのレコードが特に好きです・・・」とのことであった。ソフトにおいても好みが一致するようであった。

 OさんのModel7もノイズが出るようになったので「響工房」に持ち込まれていたようである。そのModel7が直った頃合いにOさんのお宅に伺うことにしよう。

2022/4/25

5898:世代交代  

 Ge3はとてもユニークなオーディオアクセサリーを開発・製造・販売しているメーカーである。その多種類の製品の中で、長い期間愛用しているのが「雷智(らいち)」である。

 「雷智」は電源ケーブルに巻き付けることによって電源に混入してくるノイズ成分を軽減する効果があるとのことである。

 この「雷智」、数年ごとにモデルチェンジしてきていて、現在販売されている最新バージョンは「雷智9.3」である。

 私は何世代か前の「雷智」を壁コンセントから電源ボックスに繋がっている電源ケーブルに撒いて使用していた。

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 写真の左に映っているのが何世代か前の「雷智」で、右に映っているのが現在販売されている「雷智9.3」である。最新型は随分とスマートになった。

 古い世代の「雷智」は10年以上前から使っている。これを電源ケーブルに巻き付けると音に「コク」が出る。「だし」の味わいが深くなったように感じ、音楽が耳に心地良くなった。

 旧型と比べると随分と見た目的にスマートにそしてコンパクトになった「雷智9.3」が手元に届いたので、「世代交代」とばかりに、従来の古い「雷智」から最新型のものに交換してみた。

 「果たして最新型は進化してるのか・・・?もしかして古いものの方が良かったりして・・・」と少々斜に構えて聴き始めた。

 すると最初の一音が出た瞬間からしっかりとした「進化」を感じた。斜に構えていた体はすっと正面を向いた。「音抜けが良いな・・・すっとストレスなく音が立ちあがる・・・サウンドステージも高さが出ている・・・」と感じた。

 古い「雷智」のコクも魅力的ではあるが、最新型の「雷智9.3」はひっかかりのないシャープネス感が実に気持ち良い。

 この両者、いずれも良い効果をもたらすが、最新型の方が「進化」と「Modern」を感じさせてくれる。

 旧式の「雷智」がクリス・バングルがデザイン責任者であった時代のBMW 6シリーズクーペ(E63)であるとしたら、最新の「雷智9.3」は、デザイン責任者がエイドリアン・ファン・ホーイドンクになって設計された6シリーズクーペ(F13)といった印象を受けた。

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 上の写真がE63であり、下の写真がF13である。E63のまったりとしたコクは、今見ても魅力的ではあるが、F13の方がシャープですっきりと抜けきった感覚がある。

2022/4/24

5897:ヨハンナ  

 シューベルトのヴァイオリンとピアノのための幻想曲ハ長調が流れ出して数分した時、小暮さんが「あれっ・・・これCOLOMBIAカーブじゃなかったっけ・・・今EMIカーブにしてない・・・?」と言って、一旦針先をレコードから上げた。

 そして、Zanden Model120のイコライザーカーブを「COLUMBIA」に変更した。極性は「R」のままで、4th t/cは一旦「Middle」にしたが、「1955年か・・・じゃあ・・・」と呟いて「Low」に戻した。

 そして再度MC20の針先を盤面に戻した。「あっ・・・やっぱりこっちだよね・・・」と小暮さんは呟きながら、頷いた。

 そして、再度最初から幻想曲を聴いた。この曲の初演は1828年2月7日にウィーンで行われたと伝えられている。しかしその初演は大変な不評に終わったようである。当時のウィーンの聴衆や批評家はこの曲の長大さに耐え切れなかったようである。

 シューベルトが自ら「幻想曲」と名付けたことからも分かるように、自由な構成を持つこの曲は、現在ではシューベルトの傑作のひとつに数えられている。

 幻想曲を聴き終えた後「できれば、ソナチネの第2番も聴きたいですね・・・」と私はリクエストした。

 ヨハンナ・マルティのオリジナル盤は目が飛び出るほどに高価である。CDや再発盤なら手頃な価格で入手できるが、やはりオリジナル盤には独自の魅力があることは否定できない。しかも、イコライザーカーブや極性も最適になっているのでなおさらである。

 ソナチネ第2番も聴いた。こちらも素晴らしい。特に第2楽章がぐっとくる。「いいな・・・マルティ・・・」と、いつの間にか「オーディオなんてどうでもいいや・・・」状態に陥っていった。

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 その後2枚ほどクラシックのレコードを聴いてから、Zanden Model12は元箱に丁寧に収められた。躯体はコンパクトであるが元箱はそれなりの大きさである。

 その箱を両手に抱えて「オーディオショップ・グレン」を後にした。そしてその箱は慎重にBMW iX3の荷室に移された。

2022/4/23

5896:イコラーザーカーブ表  

 1週間前にも来たばかりであるが、再び中野坂上にある「オーディオショップ・グレン」を訪れた。今日はとても暖かく、スーツを着用していると汗ばむようである。

 三日程前に私の携帯に小暮さんから連絡が入った。いつもはメールで連絡を取り合っているので少し訝しく思いながら出てみると、「先日聴いてもらったZandenのフォノイコライザーだけど、実はキャンセルされてしまってね・・・どう、まだ買う気ある・・・?」とのことであった。

 「あっ・・・そうなんですか・・・もちろん買いますよ・・・」と返答した。その流れで今日、ショップに向かったのである。

 先週聴かせてもらったのは、Zanden Model120である。Zandenは日本のメーカーであるが、国内では無名に近い。Zandenはフォノイコライザー、プリアンプ、パワーアンプを製造していて、「Modern」と「Classic」という名称で二つのシリーズをラインナップしている。

 魅力的に感じたポイントはイコライザーカーブを5種類選択でき、さらに極性も変えられる点である。1950年代に録音されたクラシックの古いレコードの場合、イコライザーカーブがRIAAではないケースがとても多いので、この機能はありがたい。

 さらに付属品としてレーベルごとに推奨されるカーブと極性の組み合わせを一覧表にしたものがついてくる。そのイコライザーカーブ表を見ながらレーベルごとに異なるカーブと極性を選択できる。

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 「オーディオショップ・グレン」のリスニングポイントに置かれた3人掛けソファに座った。そして、改めてそのイコライザーカーブ表を見ながら、1枚のレコードをかけてみた。

 私の愛聴盤であるヨハンナ・マルツィのシューベルトのヴァイオリン曲集のレコードをROKSAN XERXES 10のターンテーブルに乗せた。

 イコラーザーカーブ表を確認して、Model120のイコラーザーカーブは「EMI」に、極性は「R」に、そして4th t/cは「Low」に設定した。

 ROKSAN Artemizのリフターを操作した。ortfonのMC20の針先がゆっくりと盤面に達した。かけたのは「ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 ハ長調 D.934(Op.159)」であった。

 ソナスファベールのエレクタ・アマトールから流れ出した幻想曲に耳を傾けた。ソファテーブルには小暮さんは淹れてくれた珈琲が置かれていた。その黒い液体からは緩やかに芳香が立ち上がっていた。
 
 ジャン・アントニエッティの繊細でしっとりとしたピアノ演奏による導入部の後に、ヨハンナ・マルツィのヴァイオリンが流れ出した。録音年月日は1955年11月26日である。67年前の空気がイタリアのスピーカーからさらっと流れてきた。

2022/4/22

5895:カオナシ  

 4月20日、BMWはフラグシップである「7シリーズ」のニューモデルの詳細を発表した。事前の予想CGをインターネットで見ていたので、大きな驚きはなかったのであるが、「やはり、この顔で出してきたか・・・かなり大胆に変えてきたな・・・」と感じた。

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 エクステリア・デザインで否応なく目につくのは、フロントマスクの大胆な造形であろう。上下2段にわかれた水平のLEDライトは、シトロエンなどのメーカーも採用しているが、最近のカーデザインにおける一つの流行なのかもしれない。

 このヘッドライトのことを、BMWは「スプリットヘッドライトユニット」と呼んでいるようである。この2段にわかれたLEDライトは好悪がはっきりと分かれるであろう。個人的には今のところ目が慣れていないこともあり「ちょっとね・・・これは・・・」というのが正直な第一印象である。

 そしてBMW伝統のキドニーグリルは、かつての7シリーズとは比べようがないほどその面積が大きくなった。これは最近のBMWのデザイン変遷を見てみると予想がつく範囲内であった。

 きっと賛否両論が巻き起こるであろう新型7シリーズのフロントマスクをじっと眺めていると、どういうわけか映画『千と千尋の神隠し』に出てくる「影の主人公」とも言える「カオナシ」のことが思い出された。

 そのどこを見ているが分からないような上段のLEDライトからくる印象であろうか・・・新型7シリーズは、とらえどころのない妖怪感が漂っているのかもしれない。

 インテリアに目を向けると、「BMWカーブドディスプレイ」と呼ぶ、湾曲した大型液晶パネルがインパネ上部に設置されている。

 これも今までのBMWには見られなかったインテリアデザインで、今後フルモデルチェンジされるBMWの各モデルに順次採用されていくであろう。またギアセレクターは、従来の手で握るタイプのものではなく、小さなスイッチタイプに変更されている。

 こういった大型プレミアムサルーンに対する需要は日本では相当に縮小しているので販売数はあまり期待できないが、この分野における王者であるMercedes-BenzのSクラスにどれだけ肉薄できるのであろうか・・・

2022/4/21

5894:苦行  

 「七福」のほうとうを完食すると、お腹はパンパンになった。「これから長いヒルクライムコースを走ることになるが、ちょっと体が重くなりすぎたかも・・・」と危惧しながら、会計を済ませて店の外に出た。

 塩山駅に立ち寄って信玄公の像の前で記念撮影をして、ヒルクライム後に補給するものをセブンイレブンで購入した。

 空は灰色に染まっていた。スマホの雨雲レーダーによると、この後雨に降られる可能性が高かった。「柳沢峠へ向かわずに引き返しても雨に濡れるのであれば、上りますか・・・」ということになり、ヒルクライムを開始することになった。

 塩山側から上る柳沢峠のヒルクライムコースは約17km。かなり長く、そして厳しい。ここまで既に相当な距離を走ってきているので、無理はできない。「あまり高くない一定の負荷で走り続けよう・・・」と心に決めていた。

 「180ワット程で走ろう・・・その程度の負荷であればペースを崩さずに最後まで走れるであろう・・・」と思いながら走り始めた。

 ヒルクライムコースを走り始める頃合いから小雨が降ってきた。サイコンの10秒平均パワーの数値を注視しながら、ゆっくりと距離と獲得標高を稼いでいった。

 走り始めは脚にまだ余力があるので、10秒平均パワーの数値が200ワットぐらいまで上がることがあると「抑えて・・・抑えて・・・」とクランクを回すペースを落として、じっくりと走った。

 10kmほど走ってヒルクライムの後半に入ってくると脚が随分と重くなってくる。ついつい体は楽をしたがる。10秒平均パワーが180ワットを切ってくると、「さぼるな・・・」と脚に鞭を入れた。

 幾つかのトンネルを潜り抜けていった。道は時折大きく曲がる。頂上までの残り距離が少なってくると、雨の勢いが増してきた。

 その雨のなか峠道を我慢強く走り続けていくと、ようやく峠の頂上にある峠の茶屋の建物が視界に入ってきた。「やっと終わった・・・」とほっとしながら、最後の行程を走り切った。どうにかこうにかほぼ均一ペースで走れた。

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 雨は本降りになってきた。峠の茶屋は営業をしていなかった。その軒先にロードバイクを立てかけて雨宿りしながら、メンバーが上り切るのを待った。

 待っているうちに寒さで体が小刻みに震え始めた。気温は5度ほど。雨に濡れたので、体感気温はもっと低い。寒さにいたって弱い私にとって、「これは最悪の状況になるかもしれない・・・」と相当に不安になった。

 全員が上り終えてトイレを済ませてから奥多摩湖目指して長い下りを下り始めたのであるが、その下りは私にとって「地獄の苦行」そのものとなった。

 あまりの寒さに体の震えが止まらない。筋肉は硬直してロードバイクを上手くコントロールできない。濡れた路面は落車の危険性が高い。

 「どうにか落車だけは避けなければ・・・」と、濡れた路面を下っていった。「下っていって標高が下がれば気温も上がってきて、状況は良くなる・・・」と心に小さな希望の灯りをともしながら走ったが、寒さば止まず体の震えはいつまでも続いた。

 ようやく奥多摩湖の駐車場まで下ってきた。ここでトイレ休憩をした。体の各部をさすって冷え切って硬直した体を少しでも暖めようとした。

 ひと時の休息の後、さらに下っていって、古里駅近くのセブンイレブンでコンビニ休憩をした。ここで暖かいかき揚げ蕎麦を胃袋に入れて、体を内部から暖めた。

 少し人心地ついた。「どうにか大丈夫そうだ・・・」と思った。そして最後の行程を走っていった。JR青梅線に沿って続く商店街を走る頃になってから、ようやく体の動きが通常のものになってきた。

 夜の9時ごろに自宅に帰り着いて、サイコンに記録された走行距離を確認した。走行距離は211kmであった。「こんなに寒く辛い下りは初めてだったかも・・・」と思いながら「ただいま・・・」と告げた。

 出迎えた妻は「なんでこんなに遅いの・・・心配したでしょう・・・もう歳なんだからいい加減にしなさい・・・」としこたまたしなめられた。



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