2022/2/28

5842:モデルナ  

 オミクロン株による第6波は既にピークを越えたはずであるが、一日当たりの新規感染者数はそれほど下がってはいない。

 2月27日の東京都の新規感染者数は1万321人であった。その数字をスマホのニュースで確認した時「惜しい・・・もう少しで1万人切れたのに・・・」と思ってしまった。新規感染者数だけで一喜一憂するのは浅はかかもしれないが、ついつい気にしてしまう。

 1週間前の同じ日曜日(20日)より2614人少なかったが、第5波の時と比べて下がるペースが鈍い。27日までの1週間平均の新規感染者数は1万1142人で、前週の75%であった。

 コロナ感染に関しては身近に迫ってきている。事務所の女性スタッフの大学生の娘さんが感染してしまい、その女性スタッフも「濃厚接触者」となった。

 幸い本人はPCR検査の結果「陰性」であったが、1週間は仕事を休む必要がある。テレワークで対応できるので、大きな影響が出るわけではないが、仕事の効率はやはり悪くなる。

 確定申告業務が始まった現在、土日祝日も休みなく仕事に追われている。そのため20日も27日もチームのロングライドには参加できなかった。
 
 昨年同様、コロナ禍の影響により確定申告の提出期限は1ケ月延長されたが、できれば3月15日までにはほぼ全てを完了させておきたい。

 感染対策の決め手はワクチン接種である。数日前に私にもようやく「接種券」が届いた。「なるべく早めに接種した方が良いな・・・」と思い、スマホを片手に幾つか当たってみた。

 市内の接種会場では一番早くて3月2日であった。大手町で自衛隊が行っている大規模接種会場を確認すると2月28日で予約が取れた。

 ということで2月最後の日に3回目のワクチン接種を受けることになった。1回目と2回目は市内の接種会場で受けたので、ファイザーのワクチンであった。3回目はモデルナである。

 1回目、2回目ともに副反応はほとんどなかった。腕の鈍い痛みはあったが、熱や倦怠感に悩まされることはなかった。

 いろんな人から聞くと、3回目の接種は副反応が出やすく、さらにモデルナの方が副反応の程度がひどいということである。

 「さすがに、今回は副反応がでるだろうな・・・」と覚悟はしている。しかし、この時期熱があるからといって仕事を休むわけにはいかない・・・ぼうとした頭で確定申告書と格闘することになるのかもしれない・・・

2022/2/27

5841:-A  

 パワーアンプはジェフローランドのモデル2であった。かなり古い製品であるので中古品である。リスニングポイントから近い位置にあるので、しげしげと眺めていたが、30年近く前の製品であるが、実に綺麗なパネルの輝きを維持していた。

 サイズはちょうどいい。大きすぎず小さすぎず、ラックに実に美しく収まっていた。ジェフローランドの古い時代の製品はこの独特のフロントパネルがくすんでしまっているものが多いが、これは実に良い状態を維持している。前オーナーが定期的に磨いていたのであろう。

 銀色のフロントパネルの真ん中には正方形のパイロットランプがあり、それが淡いオレンジ色に輝いていた。

 「このパワーアンプで我が家のGuarneri Mementoを駆動したらどんな音になるのであろうか・・・そうなるとプリも欲しくなるな、組み合わせるとすると同じジェフローランドのシナジーかな・・・」などど夢想していた。

 FMさんはもう一枚レコードを取り出した。ヒンデミットの「主題と4つの変奏曲”4つの気質”」が収録されているもので、ピアノはT.ニコライエワ、S.ソンデツキス指揮リトアニア室内管弦楽団との共演である。

 アマティ・オマージュからは現代曲らしいモダンで構成力のある音楽が流れ始めた。ヒンデミットの「主題と4つの変奏曲”4つの気質”」は、もともとは、バレエ振付の巨匠、バランシンのために書かれたバレエのための曲で、”4つの気質”とは、古代ギリシアのヒポクラテスが提唱した「四体液説」が起源である。

 人間は血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁、という4つの体液を持っていて、その体液がバランスを保っていれば健康であり、これらの体液は人間の気質にも影響を与える、という説である。この曲は、この4体液が影響を及ぼす人間の気質を題材にして変奏曲に仕上げられている。

 試聴タイムは終了した。店主にことわってからアマティ・オマージュの外観を近くに寄って詳細に確認してみた。

 ストリングカーテンに緩みはなく、キャビネットにもはっきりと目につく傷はなかった。フロントバッフルを覆う黒い革は1箇所白くなっているところはあったが剥がれはない。

 キャビネットの側面は白濁が無く良好な状態であったが、天板は後ろの方にやや白濁しているエリアがあった。

 心の中で「外観は『良好』ではあるが、『AA』のレベルではないかな・・・」と思いながら、そのため息が出るような美しいデザインのスピーカーを舐めるように眺めていた。

 そして、店主に礼を言って、店を辞した。店主は「購入されるようでしたらご連絡ください。搬送はピアノ運送にお願いするので、搬入費用として別途5万円ほど必要になります・・・」と付け加えた。

 車で数分のところに「コメダ珈琲」があるので、そこに車で移動してFMさんとコーヒーを飲みながら雑談タイムを過ごした。

 「どうでしたか・・・?」と話しを向けると「良かったですね・・・やはりアマティは銘機ですね・・・Guarneri Mementoとの音の共通性も感じました・・・」とFMさんは返答された。

 「外観にかんしては『AA』ではないですよね・・・天板部分には白濁しているエリアもありましたし、フロントバッフルの皮部分にもヤレがありました・・・外観に関してはかなり期待していたのですが、『コレクターアイテム』とは言えないなと思いました。」と私は、外観に関して感じた事を話した。

 「そうでしたね・・・私の主観的な判断では『-A』といったところでしょうか・・・私は購入しようとは思いませんでした・・・どうされますか・・・?」と、FMさんは続けた。

 「そうですね・・・私も今回は見送ります・・・それよりもあのジェフローランドのパワーアンプ綺麗でしたね・・・モデル2は確か1990年代半ばぐらいの製品ですから、30年近く前の製品ですけど、新品のようなパネルの輝きでした・・・専用のアタッシュケースもあるようですし、あのアンプでGuarneri Mementoを鳴らしてみたくなりました。」

 「良いですね・・・じゃあプリアンプもそれに合わせたものに換えたほうがいいでしょう・・・あのLUXMANのプリアンプでもいいんじゃないですか・・・かなり高価なプリアンプでしたが・・・」

 そんなとりとめのない会話をしながら、二人は「コメダ珈琲」で1時間ほどの時間を過ごした。コメダ珈琲のブレンドは、コーヒーの香りは少し控え目な感じであった。その味わいは酸味も控え目で後味に苦味が際立つ。甘いデザートと合わせたくなった。

2022/2/26

5840:CL-1000  

 プリアンプはLUXMANのものであった。型番を確認するとCL-1000とあった。最新型とのことであるが、どこかしら昔懐かしさを感じるデザインである。

 店主の説明によると、1975年に発売された銘機C-1000にたいするオマージュとして企画・設計されたもので、そのためデザインが懐かしい感じがするとのことであった。

 立体的な造形のフロントパネルは、アルミを重ね合わせたもので精緻感が溢れている。ウォールナットの突板にローズウッド色の光沢塗装仕上げが施されたコの字型ウッドケースが組み合わされていて、とても豪華である。

 FMさんが取り出したレコードがレコードプレーヤーにセットされた。「このプリアンプはフォノイコライザー内臓なんですか・・・?」と店主に確認してみた。

 「いえ、CL-1000はラインプリです。フォノイコライザーは、Zandenという日本のメーカーのコンパクトなものを使用しています。Zandenは無名なメーカーですが、海外では高く評価されているんです。」との返答であった。

 最初にかかったのはレオニード・コーガンのヴァイオリンによるパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番であった。

 しばし、静かに耳を傾けた。レオニード・コーガンは技術においても解釈においても至高のヴァイオリニストの一人として認められている。

 その演奏スタイルは、オイストラフほどには個性的なものではないが、モダンで洗練されたものである。その澄んだ音色の豊かな響きはやはり気持ちが良い。

 「やはりソナスで聴くヴァイオリンは良いな・・・オーケストラのスケールもやはり大きい・・・」と好印象であった。

 「カートリッジはヴァン・デン・ハルとのこと・・・ということはオランダ製か・・・」SMEのアームに装着されたカートリッジは初めて見るものであった。

 店主の説明によると型番は「The Crimson XGW」。高級な価格帯のモデルであるが、かなり精度高くレコードの音溝から音楽信号を吸い上げているようであった。

 FMさんはもう1枚レコードを取り出した。10インチのレコードであった。ガスパール・カサドのチェロ、原智恵子のピアノ伴奏によるチェロの名曲を数曲収めたレコードであった。

 その中からフレスコバルディの「トッカータ」を聴いた。フレスコバルディは即興性と建築性を見事に組み合わせた曲を作る。

 イタリア人らしく情感豊かな歌心を感じさせ、同時にヴィルトゥオーゾ性に満ちた曲であった。この曲を聴いていると、ついついカラヴァッジョの絵画を連想してしまう。

 「さすが、FMさん・・・見事な選曲・・・」と感心した。「これも、ソナス・ファベールのスピーカーを聴くのに最適な曲だな・・・」と、じっくりと聴いていた。

2022/2/25

5839:試聴室  

 そのオーディオショップは郊外の住宅地に近いエリアにぽつんと立っていた。建物は2階建てで、その建物の横には車を3台ほど停めることができる駐車場があった。

 その駐車場には既にFMさんのホンダ インサイトが停まっていた。その駐車場に車を入れてインサイトの隣にバックで車を駐車した。

 インサイトからはFMさんが降りてきて挨拶をした。気温は低いはずであるが、天気は良く陽光がたっぷりと降り注いでいたので、車の中は暖かかった。

 「こんなところにオーディオショップがあったんですね・・・」とFMさんと一言二言言葉を交わしながら、その店内に入った。

 平日の午後であったので、他に客はいなかった。店主は70代と思しき物静かな男性であった。オーディオショップの店主というと、少しエキセントリックな方を連想しがちであるが、少しほっとした。

 「どうぞ・・・どうぞ・・・お待ちしていました・・・」と店主は比較的愛想が良かった。店の1階には新品の展示品や中古品が所狭しと並んでいた。スピーカーも8セットほどあった。

 それらはいずれもコンパクトな2ウェイやスリムなトールボーイタイプのスピーカーであった。ソナスファベールのエレクタ・アマトール3の姿もあった。

 しかし、お目当てのアマティ・オマージュの姿は見当たらなかった。すると店主は「アマティは2階にあります。」と話した。

 店主に導かれて、2階に上がった。2階は1階と同じ20畳ほどのスペースに大型のスピーカーが3組置かれていた。

 フランコ・セルブリンのKtemaもそのうちの1組であった。そしてアマティ・オマージュの姿があった。もう1ペアは、FOCAL SOPRA No2であった。

 フランスのオーディオメーカーであるFOCALは、昔はJM Labsというメーカー名であった。堅牢でいかにも高性能な外観をしている。

 3組のスピーカーがセットされた手前には、3段の大型ラックが2つ置かれていた。そこにはハイエンドのオーディオ機器が並んでいた。

 ラックの最上段には3つのレコードプレーヤーが置かれていた。いずれもがっちりとしたリジッドな感じのレコードプレーヤーである。

 その手前の黒い革製の大型ソファに座って眺めると、Tecdas Air Force 3、TECHNICS SP-10R,、そしてVPI Prime Scoutであった。

 FMさんや私が使っているORACLE DELPHIとはかなり雰囲気が違う。メカ的な精度感はいずれも高く、躯体も大きい。

 ラックにはCDプレーヤーやアンプ類も数多く並んでいた。エソテリック、LUXMAN、マッキントッシュなどのメーカーのものが確認できた。

 その中にジェフローランドのパワーアンプであるModel2の姿もあった。その銀色に輝く独特のフロントパネルの中央には四角いパイロットランプがあり、淡くオレンジ色に輝いていた。

 店主はコーヒーを出してくれた。少し雑談をした後、試聴タイムとなった。私はアマティーのすぐそばに行って外観の詳細を検証したかったのであるが、それはまだ控えていた。

 FMさんは専用のバックからレコードを取り出した。店主から「どのレコードプレーヤーが良いですか・・・?」と訊かれた。

 私はどれでもよかったので、「FMさんが決めてください・・・」とFMさんに決定権を譲った。FMさんは、「これは私のような年代の者には懐かしさを感じますね・・・」と、TECHNICS SP-10Rを選んだ。

 「このSP-10Rには、木の集成材を使った専用のキャビネットを合わせています。アームはSME MK4で、カートリッジはvan den Hulです。とても正確な音情報を提供してくれます。」と店主は紹介してくれた。

 「今、プリアンプはLUXMANの最新型のもので、パワーアンプはジェフローランドのものに繋いでありますが、これでいいですか・・・」と店主が確認したので、「では、それでお願いします・・・」とFMさんが返答した。

 TECHNICSのレコードプレーヤ、LUXMANのプリアンプ、ジェフローランドのパワーアンプ、そしてアマティ・オマージュというラインナップでの試聴タイムが始まった。  

2022/2/24

5838:余波  

 FMさんからメールがあったのは、先週のことであった。「Amati Homageの中古が出ています。一度一緒に見に行きませんか?」という内容のものであった。

 Amati Homageは、1993年にリュートの形に霊感を得て開発販売されたGUARNERI Homageについで1998年に発売された。

 Amati Homageもまたリュート形状を特徴として、低域の再生周波数を拡大しオーケストラなど編成の大きなものをより生々しく実在感あふれるスケールで再生することを狙ったモデルである。

 Homageシリーズはその後5年の歳月を経て、無限大平面における音源の優位性という新たなる方向性を見出し、STRADIVARI Homageが開発販売されて完成した。

 その後、GUARNERI Homageの後継機としてGUARNERI mementoが、Amati Homageの後継機としてAMATI anniversarioが続き、それぞれ現在の4世代目にまで引き継がれている。

 STRADIVARI Homageだけは後継機種が続かずに初代のみで断絶している。もしかしたら、今後2世代目が出ることがあるのであろうか・・・

 「Amati Homageか・・・1998年というこは24年前か・・・コンディションが良いものは少ないはず・・・」と思った。

 FMさんのメールでは「ショップの外観評価は『AA』とのことです。」と続いていた。「期待できるかも・・・」と思ったが、前回外観評価が「A」であったAMATI anniversarioの中古を見に行ったところ、キャビネットに1箇所引っ搔き傷があり、さらにフロントバッフルの黒い革部分に2箇所剥がれがあった。遠目には見えないであろうが、購入意欲は急速にしぼんだ。

 「今回はどうであろうか・・・」と思いながら、「A」ではなく「AA」なので、期待できるかもと思いながら、待ち合わせ時間に間に合うように車に乗り込んで、そのショップに向かった。

 東京の郊外にあるそのショップには自宅から車で1時間ほどで着く。FMさんとはそのショップの駐車場に午後2時に待ち合わせをした。

 私とFMさんは期せずして昨年、GUARNERI mementoをそれぞれのリスニングルームに迎え入れた。私はTANNOY GRF、そしてFMさんはVerity Audio Parsifal Encoreを使っていたが、従前のスピーカーとはともにかなり雰囲気の違うスピーカーを導入したことになる。

 それ以来我が家もFMさんのお宅でも「イタリア・ブーム」が続いている。その余波から「HOMAGEシリーズの中古が出たら見に行きましょう・・・」ということになっていたのである。 

2022/2/23

5837:三つ巴  

 Q4 e-tronの展示車の色は、シルバーであった。20年以上前はドイツ車と言えばシルバーが一番人気であったが、現在は白が圧倒的に人気が高い。黒が2番手で、それ以外は「その他大勢」といった感じである。

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 サイズは、全長4.59mで全幅は1.87mである。iX3やEQCと比べると少しコンパクトであるが、日本の道路事情を考えるとジャストサイズであろう。

 後輪を駆動する電気モーターは、150kW/310Nmを発揮し、0〜100km加速は8.5秒となっている。フル充電で516km走行可能なバッテリーを搭載している。

 エアコンなどを使う実際の走行時にはその80%程度が走行可能になると思われるが、それでもフル充電で400kmは走れる。通常の使用状況であれば、不便なことはないように思われる。

 そのエクステリアデザインは、Audiらしい近未来感に溢れている。特に複雑に構成されたLEDライトは、見どころの一つである。

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 営業担当の男性スタッフが戻ってきたので「これはQ4がベースとなったEVなんですか・・・?」と尋ねてみた。

 「いえ、これは純粋にEV専用に開発されたシャーシを採用しています。Q3やQ5といった既存のSUVをベースとしたモデルではありません・・・」との答えであった。

 私は勘違いしてたようである。Q4という既存のSUVモデルはなく、Q3のことをQ4だと思っていた。既存のSUVであるQ3ベースではなく、純粋なEV専用の設計ということであった。「そうか・・・EV専用設計だったのか・・・」と、少し見直した。

 インテリアもAudiらしいクールでシャープな造形で纏められていた。ほとんどの操作がタッチパネルを指で触れることにより行う。これは現在の流行りであり、見た目的にはシンプルでかっこが良い。しかし、ブラインドタッチが難しいので、実際の操作のしやすさという点では欠点もある。

 見積書をもらった。「advanced」グレードで必要なオプションを加えると車両価格はやはり700万円を超えた。「まあ、そうだよね・・・」と思った。BMW 523i Toutingの下取り査定はBMWやMercedes-Benzと変わりがなかった。

 他の二つの候補に比べサイズがややコンパクトになるが、EV専用シャーシはポイントが高い。そして先進性のあるデザインも魅力的であった。私の心のなかでは「三つ巴」状態が形成された。

2022/2/22

5836:Q4 e-tron  

 AudiからDMが来ていた。そこには「Audi Q4 e-tron Roadshow」と記されていた。さらにその下には「EVをもっと身近に、599万円からはじまるサスビナビリティ・カーライフ。」とあった。

 Audi Q4 e-tronは、日本でも人気が出て街中でも見かけることが多くなったコンパクトSUVであるQ4をベースとしたEVである。

 ボディタイプはノーマルなSUVスタイルであるAudi Q4 e-tronと「Sportback」と呼ばれるクーペスタイルのSUVタイプもラインナップされている。

 残念ながら試乗車の用意はまだないようである。展示車が1台入ってきたための、お披露目会のようなもののお知らせであった。

 「試乗車がないのか・・・でも、実車を見てみるだけでもいいかな・・・」と、思って、自宅から車で20分ほどで着くAudiのディーラーに向かった。

 現在乗っているBMW 523i Touringを購入する際、直接的なライバル車であるAudi A6 Avantにも試乗して見積書をもらった。その時から定期的にDMは送られてくるようになった。

 ここ最近EVを2種類試乗した。まずの乗ったのがBMW iX3である。ミドルサイズのSUVであるX3をベースとしたEVである。

 デザインはベースとなったX3を大きく変更することがなく、BMWらしいコンサバな造形で、違和感はない。そしてその乗り味は予想していた以上に上質なもので、一気にEV熱が上がった。

 2番目に試乗したのが、Mercedes-BenzのEQCである。こちらもミディアムサイズのSUVであるGLCをベースとしたEVで、滑らかで重厚な乗り味が魅力的であった。フロントマスクはEQシリーズに共通するもので、GLCとは随分と雰囲気が変わっていた。

 その流れでいくと、Audiであれば、Q5 e-tronがあればいいのであるが、Audiは一回りコンパクトなサイズであるQ4をベースとしたEVを先行させて販売してきた。

 日本ではこのサイズのSUVが一番売れている。日本でのマーケットゾーンを意識したAudiの巧みな展開であろうか。

 DMにもあったように素のモデルであれば599万円という価格設定であるが、実際には「advanced」(662万円)あるいは「S line」(689万円)というグレードが売れ筋になるであろうから、オプションや諸経費を含めると700万円を超えてくるであろう。

 新青梅街道に面しているAudiのディーラーに着いた。駐車場に入ると、建物の中から女性スタッフが出てきて、駐車を誘導してくれた。

 建物の中に中に入り、DMを見せて「実車を見てみたくて・・・」と告げた。案内された黒い革のソファに座った。そして手渡された簡単なアンケートに記入した。

 そのソファからは、Q4 e-tronの展示車の姿が見えていた。最新のAudiデザインを身に纏っており、その姿は近未来的と言っていいであろう。

 男性の営業マンがやってきて、「もしよろしければ、現在お乗りの車の査定をさせていただいてもいいでしょうか・・・?」とのことであったので、BMWのキーを渡した。

 「査定している間、ご自由にご覧になってください・・・」とのことであったので、展示車の方へ向かった。 

2022/2/21

5835:摩天楼  

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 Sさんのメインシステムの全景は、どこかしらニューヨークの摩天楼のようである。高層ビルが立ち並ぶかのような、伸びやかな景色である。

 そのメインシステムの要となるスピーカーは、YG ACOUSTICS ANAT V Signatureである。ANATは、一世代前のモデルであるが、このスピーカーはユニットおよびネットワークの全てが最新型のものに換装されていて、現行モデルであるSonja 2.3iと同じ仕様となっている。

 その巨大なスピーカーを駆動するパワーアンプは、CLASSE OMEGA MONOである。このパワーアンプには少し思い出がある。私がオーディオに嵌るきっかけとなったダイナミックオーディオ アクセサリーセンター(かって秋葉原の高架下に店舗があった)の島田さんが絶賛していたパワーアンプであった。

 その躯体はスピーカーに負けず劣らずに巨大である。1台の重量は50kgはあるであろう。2台で100kg・・・そしてその駆動力は凄まじい。

 プリアンプはアメリカのG RIDE AUDIOのもので、カスタムメイドとのことである。電源部が別躯体になっていて、こちらも硬派な外観をしている。

 送り出しは、DCS VIVALDIのフルラインナップである。VIVALDI TRANSPORT、VIVALDI DAC、VIVALDI CLOCK、VIVALDI UPSAMPLERとシルバーの4躯体が、縦長のラックに綺麗に並んでいる。これだけでオーディオマニアであれば、ごはん三杯はいけるであろう。

 それだけではない。隣のラックの最上段には、ESOTERICのP-Oの姿があった。原則CDはP-0で、SACDはVIVALDI TRANSPORTでという使い分けをされている。

 この凄まじいまでに豪華な陣営で、先ほどまで「コスパ追求サブシステム」で聴かせていただいたCDを数枚聴いた。

 ブラームスの歌曲、ルターのレクイエム、坂本龍一の映画音楽をヴァイオリン・チェロ・ピアノの三重奏に編曲したものなどが、「摩天楼システム」から流れた。

 目を開けていると「泣く子も黙るウルトラハイエンドシステム」が視界に飛び込んでくるが、目を閉じると楽曲に寄り添った風景が自然に広がるのが、実に不思議な感覚であった。

 「オーディオは概ね見た目どおりの音がする・・・」と常々思っていたのであるが、その基本法則がSさんのリスニングルームでは全く通用しないのである。

 ANAT V Signatureは巨大な金属の塊である。徹底したコンピューター解析の結果もたらされた造形からは情緒的な要素がそぎ落とされている。その外観から受けるイメージは「攻殻機動隊」である。 

 しかし、その音は決して硬質ではない。MAGICOのスピーカーもそうであるが金属製の堅牢なエンクロージャーに収まっているからと言って、音も硬質というわけではない。

 同じ曲をP-0とVIVALDI TRANSPORTとで聴き比べしてみた。VIVAIDI TRANSPORTでは「裏ごしした滑らかな音」になり、P-0では「臨場感のあるしっかりとした音」という印象であった。それぞれに良さがあり、簡単に優劣が決められない感じであった。

 メインシステムで様々な音楽を堪能させてもらった。個人的にこのメインシステムに最も相性が良いと思われたのが、ベルリオーズのトリスティア Op. 18 - 第3曲 「ハムレット」の終幕のための葬送行進曲であった。

 静かに陰鬱な感じで始まるこの「葬送行進曲」は、強弱の激しいうねりを経て静かに過ぎ去っていくが、その強烈なダイナミズムが実に気持ちよく再現されていた。

 「ハイエンドシステムの存在意義は確かにある・・・こういうシステムでないと再現できない世界が確かにある・・・」と、納得しながら聴いていた。

 Sさんの二つの世界・・・両極端とも言える対照的なシステムではあるが、その音の本質には近しいものを感じた。学生時代から「方舟」に頻繁に出入りして、長岡鉄男氏が設計したスピーカーの製作を手伝っていたりしたSさんの長い経験に裏打ちされた確かなセンスによって、その共通性はもたらされているのであろう。 

2022/2/20

5834:二つのテーマ  

 「コストパフォーマンス」という評価基準をオーディオの世界に持ち込み、確立させたのは、2000年に惜しまれて亡くなった故長岡鉄男氏であろう。

 長岡鉄男氏というと「自作スピーカー」が有名であるが、もう一つ氏が追求したテーマが「コストパフォーマンス」であったような気がする。

 昔はコンポーネントの組み合わせを数名のオーディオ評論家が考えて、オーディオ雑誌に披露する記事を見かけることが多かった。

 学生時代、オーディオなど「夢の夢」状態であった私も、そういった記事を食い入るように眺めて、「良いな・・・この組み合わせ・・」と、夢想した記憶がある。

 そういった数名のオーディオ評論家が発表した組み合わせの中でももっとも気持ちを強く動かされたのが、長岡鉄男氏のものであった。

 長岡鉄男氏は、その組み合わせの選択理由の中で、「ぼくの第一の組み合せというのは、やっぱり十万どまりの安いやつ」、「お金をかけなくても、ビックリするようなコンポーネントはできますよ」、「ローコストでもって、万能型のオーソドックスな質のいい音をねらった」といった発言をしているが、それが妙に気持ちよかった。

 その長岡鉄男氏を「オーディオの師」としているSさんにとって、「徹底したコストパフォーマンス追求」は、一つのテーマでもある。

 Sさんのリスニングルームには二つのシステムが同居している。メインシステムは「これぞハイエンド!」と言える素晴らしいい性能のオーディオ機器で組み合わせられているが、サブシステムは「いかにローコストで、オードドックスな質の良い音を実現するか・・・」というテーマで組み合わされている。

 そのサブシステムの要となるスピーカーはKEFのQシリーズのコンパクトな2ウェイスピーカーである。同軸2ウェイの小さなユニットが一つのみというシンプルな構成である。

 それを駆動するアンプはカインの真空管式プリアンプとエレキットの真空管式のシングル・パワーアンプである。

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 これらのアンプは中古で格安で購入できるとのこと。送り出しはMARATNZの古いCDプレーヤーをトランスポートとし、OPPOのユニバーサルプレイヤーをDACとして組み合わせたものである。

 まずはこの組み合わせで聴かせていただいた。いずれもローコストな購入価額であるオーディオ機器たちは、見事な構成力を見せつけて、質の高い音を聴かせてくれた。かなりマニアックと言っていい組み合わせは絶妙なバランス感覚に溢れていた。「良いですね・・・実に小気味いい・・・」という言葉が思わず漏れた。

 何曲か聴いや後に、パワーアンプの前段管である12AX7の聴き比べも行った。NEC製の通常のもの、同じくNECの高信頼管を2種類、さらにTELEFUNKENとMullardという海外製の評価の高いものを試してみた。

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 12AX7はとても小さな真空管であるが、音に対する影響力は出力管よりも大きい。それぞれ見事にその個性を発揮していた。

 NECの高信頼管は情報量が多くとても精緻な印象であり、TELEFUNKENは音楽力がとても高く押し出しも強い。Mullardは品位が高く穏やかな空気感を内包していた。

 Sさんのサブシステムには、今新たなメンバーが迎え入れられようとしていた。それは見たことも聴いたこともない真っ黒なパワーアンプであった。

 メーカー名は「Audire」。製品名は「Forte」。真っ黒でそっけない外観である。プロユースを想定しているのであろうか・・・

 以前は日本にも正式に輸入されていたもので、Sさんはヤフオクで安価で落札された。そのパワーアンプに繋ぎ替えてみた。

 その音を興味津々に確認すると、情報量がぐっと増え、定位の安定感も増した。音の輪郭線が、細いしっかりとした線で描かれて、シャープな顔つきになる。「音がハンサムになった・・・」と思った。

 私は全く知らないメーカーである。「こんなに良いパワーアンプが、とても安い価格で入手できるのか・・・これこそコストパフォーマンス満点!」と心の中で喝采を送った。

 OFF会の前半は「コストパフォーマンスの飽くなき追及」がテーマのサブシステムを聴かせていただいた。コーヒーブレークを挟んで、後半は「泣く子も黙るウルトラハイエンドの世界」がテーマのメインシステムを聴かせていただくことになった。

2022/2/19

5833:クリームトースト  

 厚く切られたトーストにバターが塗ってあり、そこにガムシロップが染み込ませてある。その上にクリームがのせられている。

 そのクリームはトーストの熱で少し溶け始めている。クリームをバターナイフで均等になるように伸ばして、半分に切られたクリームトーストを食してみた。

 シロップの甘みがしっかりしていて、口の中に広がる。クリームには甘さはほとんどなく、独特のコクをその味わいに加えている。バターの風味も時間差を持って口の中に広がってくる。

 トーストの香ばしい小麦粉の味わをベースとして、それらの三つの味わいが混ざり合い、なかなか良い感じのハーモニーを奏でてくれる。

 「見た目的なインパクトは少なめですが、美味しいですね・・・」と感想を漏らした。「これを新メニューに入れたら、結構人気が出るような気がします・・・」と私は続けた。

 横でその様子を見ていた「ゆみちゃん」は、「良いでしょう・・・私も試食させてもらって・・・なんだか懐かしいというか・・・ほっとするというか・・・人気が出そうな気がする・・・」と反応した。
 
 「ナポリタンは680円、ホットサンドが420円だから、このクリームサンドは360円ぐらいかな・・・これならデザート感覚でも頼めるし・・・」と、私はメニューを覗き込みながら続けた。

 「コーヒーが400円だからセット頼めば760円・・・」私は頭の中で暗算をした。「純喫茶が静かなブームになっているし、そのブームの牽引役は若い女性とのこと・・・こういったメニューは若い女性に受けるよな・・・インスタ映えはあまりしないかもしれないけど・・・」そんなことを思いながら、もう半分のクリームトーストも食した。

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 「Mimizuku」で45分ほど過ごした後に、私はまたいつもの日常に戻っていった。店を出る時、ベレー帽の二人組はテーブル席に座って静かに会話をしていた。

 ちらっと視線をそちらに向けた。「やはり20代だな・・・もしかして大学生であろうか・・・」と思った。

 「若いってやはり良いな・・・なんだかきらきらしている・・・」と、私はすっかりと失ったものを懐かしむような眼差しで、出口に向かった。木製の古いドアを開けると、少し強めの北風がひゅ〜と吹きこんできた。



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