2021/10/3

5694:試聴室  

 広い試聴室には大振りなソファセットが置かれている。そこに腰かけて、出された珈琲を一口二口飲んだ。

 試聴室の床にはマークレビンソンやチェロといったメーカーの大きなモノラルパワーアンプが10台ほど置かれていた。

 さらに大型のオーディオラックには、マークレビンソンやチェロ、ジェフローランドやLINNといったメーカーのプリアンプやパワーアンプなどがずらっと並んでいて、壮観な様相を見せていた。

 このショップの本業は、1990年代〜2000年代のやや古めのハイエンドオーディオ機器のフルレストア業務である。

 さらにその時代のハイエンドオーディオ機器を買い取って、レストアしたうえで中古品として販売もしている。

 今回FMさんから教えてもらったSonus faberのGuarneri Mementoも、このショップの顧客でSonus faberのスピーカーを複数セット所有しているというオーディオマニアからの依頼で買い取ったものであった。

 前オーナーはかなり几帳面な性格の方のようで、製造から15年ほど経過しているにもかかわらず、ミントコンディションを保っている。

 キャビネットに傷は全くなく、専用のスピーカースタンドの台座である大理石にも欠けや傷が全くない。ストリングカーテンにも緩みがなく、フロントバッフルを覆っている本革の状態も素晴らしい。さらに取扱説明書や箱、ビニール類も全て保管してある。

 その素晴らしいコンディションのGuarneri Mementoは、眺めているだけでも心理的な満足感をもたらしてくれる。

 持参したCDを2枚聴かせていただいた。1枚目はルノー・カピュソンのヴァイオリンによるベートーヴェンとコルンゴルドの協奏曲が収録されたCDである。

 共演はヤニック・ネゼ=セガン指揮ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団。世紀末のウィーンの香りが漂うコルンゴルドの協奏曲を3楽章通して聴かせていただいた。

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 さらにその後2枚目のCDも聴いた。2枚目はエルガーとマルティヌーのチェロ協奏曲が収録されたCDである。チェロはソル・ガベッタ。

 ソル・ガベッタは「現代のジャクリーヌ・デュ・プレ」とも評されるほどの実力と人気を有するチェリストである。

 エルガーのチェロ協奏曲を全楽章聴かせていただいた。ソル・ガベッタのロマンティックで情熱的なチェロの響きは、この作品の真価を如実に示してくれる。

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 コルンゴルドのバイオリン協奏曲、エルガーのチェロ協奏曲、どちらもGuarneri Mementoの魅力を確認するうえでこの上ないソフトと思われた。

 ジェフローランドのプリンアンプとパワーアンプで駆動されるGuarneri Mementoは艶やかで滑らかな質感の音色である。「銀色に輝く夢」とでも評したい気分に浸らせてくれた。

 またこの試聴室の広い空間を埋め尽くすかのようにすら思える立体的な空間表現も実に魅惑的であった。

 少し驚いたのが低域の量感であった。スリムなスタイルに小口径のウーファーからくる「低域の量感は軽めかな・・・」という先入観を覆す低域であった。

 工芸品的な美しさは、Sonus Faberの歴代の銘機のなかにあってもトップクラスと言っていいかもしれない。Franco Serblinの音決めの巧さがぎゅっとエッセンスのように詰まっているのが、Guarneri Mementoであろう。

 この素晴らしいコンディションのGuarneri Mementoを手元に置きたいが、家族からの反発が大きかった2階の主寝室でのサブシステムを再構築できる可能性はやはり低い。
 
 「妻のアップライトピアノとの同居を余儀なくされている狭いオーディオルームにGRFと同居させるのは最良の選択とは思えない・・・」

 「このまま指を咥えて他の幸せなオーディオマニアの手に渡るのを傍観しているしかないのであろうか・・・」Guarneri Mementoの魅惑的な響きに私の思いは千々に乱れた。



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