2021/9/19

5680:Memento  

「オーディオショップ・グレン」の中に入ると、いつもはSonus faber ELECTA AMATOR が設置されている場所には、専用スタンドとともに「GUARNERI Homage」の後継機種であるスピーカーが設置されていた。

 不勉強である私はそれが、2世代目の「Memento」なのか、3世代目の「Evolution」なのか、はたまた現行機種である4世代目の「Tradition」なのか判別できなかった。

 専用スタンドは大理石で作られたベースを持っていて、その前後の厚みを変えることでキャビネットに傾斜を持たせている。そうすることにより位相の最適化が計られているのであろう。

 リュート形状のキャビネットは、とても美しい質感で、バイオリンの表面を思わせるようなニスの仕上げは深い艶を湛えていた。

 「これはGuarneri Memento(ガルネリ・メメント) ・・・不朽の名機と称えられたGUARNERI Homage(オマージュ)の後継機種で、Mementoは『記憶に留めるべきもの』という意味のラテン語だそうだ。Sonusfaberらしい工芸品的な美しさが、きちんと引き継がれているところが良いよね・・・」と、小暮さんは目を細めた。

 Mementoは名作の誉れ高いGUARNERI Homageと当然対比されることが予想されたので、フランコ・セルブリンもかなり気合を入れて開発したようである。

 その後、フランコ・セルブリンはソナスファベールを去り、弟子であったパオロ・テッツォンがその意思を受け継ぎ、3世代目となるガルネリ・エヴォリューションを、さらには現行モデルであるガルネリ・トラディションが発表された。

 早速、Mementoを聴かせていただいた。送り出しはNAGRA CDC。プリアンプはLEAK POINT ONE STEREOで、パワーアンプはLEAK STEREO 50であった。

 当然というかヴァイオリンの曲がかかった。ブルッフのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリンは諏訪内晶子)、続いてフランクのヴァイオリンソナタ(ヴァイオリンは五嶋みどり)、そして最後にかかったのは、ベートーベンのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリンはルノー・カピュソン)であった。

 3人のヴァイオリニストは確かガルネリのヴァイオリを使用していたはずである。Mementoで聴く名演奏家が奏でるそれぞれのガルネリの音の質感は本物のヴァイオリンを聴いているかのような生々しさが感じられた。

 専用スタンドを使用すると高さはそれなりの高さになり、リスニングポイントに置かれた革製のソファに座ると、耳の位置よりも少し高いところにツイーターが位置するが、それ故か頭上から音が降り注ぐかのようである。

 LEAKの真空管アンプでも十分に伸びやかに鳴る。現代のより高性能なアンプで鳴らせばどうなるのであろうかと興味を持った。

 Mementoは、「GUARNERI Homage」の後継機種というプレッシャーのかかるポジションに位置するスピーカーであるが、見事に継承すべきとことは継承し、新しい魅力も付け加えることに成功しているように感じられた。

 さらにここにあるMementoの程度は、素晴らしく良い。キャビネットに傷は全くなく、ストリングカーテンにも緩みがない。

 自然素材のニスを使っているため紫外線によって白濁する可能性があるキャビネットの表面塗装にも濁りはなかった。

 「それにしても、良いコンディションですね・・・」と私が唸ると、小暮さんは「Mementoは2005年の発売・・・それなりの年数を経ているから、ここまで良いコンディションのものはとても珍しいよね・・・」と満面の笑みを見せた。



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