2021/6/13

5582:グリーン  

 「濁っているというよりも、色合いが薄い感じでしょうか・・・肉体的なエネルギーレベルが下がっている・・・今はやりの表現をすると『免疫力』が落ちている・・・という感じですね・・・」彼女は視線をパソコンに戻しながら静かに言った。

 彼女には少し変わったところがある。自分が生まれるはるか前の1970年代の品物にとても興味があるという点も変わっているが、彼女はその言葉を信じるならば、人の背後に広がるオーラを見ることができるというのである。

 明るい太陽光のもとや蛍光灯やLEDライトが光り輝く明るい環境では見えないようであるが、「Mimizuku」のようなオレンジ色の白熱灯がうすらぼんやりと灯っているだけの環境では見えやすいと言っていた。

 その言葉が真実か否かは私には検証のしようがないが、彼女が嘘を言っているようにも思えなかった。まあ、そんな嘘をついて彼女に何らかのメリットがあるようにも思えなかった。

 私は幽霊もUFOも見たことがない。霊感といったたぐいのものはどうやら持ち合わせていないようである。もちろん人の背後に広がるオーラも見ることなどできない。

 「そう・・・思い当たることがあるんだ・・・この前の日曜日は自転車のヒルクライムレースに参加したんだけど、その疲れが抜けないんだ・・・今日は木曜日だからもう4日も経っているのに・・・いわゆる『ダルオモ』が抜けなくて・・・こういったところに年齢というものをひしひしと感じるよね・・・」

 私はブレンドコーヒーの入ったカップを一旦ソーサーの上に置いて、そう話した。先週の日曜日は「Mt.富士ヒルクライム」に参加した。

 昨年同様今年も、コロナ禍の影響でチームでのロングライドが中止となっている期間が長く、実際に戸外をロードバイクで走る時間が例年に比べて極端に少なかった。そのためか、今一つ調子が上がらず、90分を切るのがやっとという結果であった。

 その後、睡眠をいつもより多めに取り、さらに週3回のトレーニングも休んだが、まだ体に疲労感が残っていたのである。

 「きっと、本当に見えるんだろうな彼女・・・」ふとそう思った。オーラは人それぞれ色合いが違うという・・・さらに体調や精神状況を反映してその色合いや光度が変わるようである。

 彼女からは私のオーラの色合いは「グリーン・・・エメラルドグリーンでしょうか・・・」と指摘されたことがあった。

 そう指摘された後、気になってインターネットでオーラの色合いがグリーンの人間の性格について調べてみた。

 「オーラが緑色の人はスピリチュアルな意味で、何事に対しても受け身で保守的な性格であるといわれています。 自分から行動を起こすということよりも、自分に頼まれた仕事やしなければならないことを受けてから行動していくという傾向があります。 また、優しい性格ですので相手のいいなりになってしまうこともあります。」

 「つまり、自主性がなく受け身な傾向があり、人の言いなりになってしまうのか・・・あまりいい性格ではないようだ・・・」と少しがっかりした。

 ブレンドコーヒーを飲み終えて、会計を済ませた。「ゆみちゃん」に挨拶をして店を後にした。4人掛けのテーブル席に陣取っていた3人組の若い女性グループはまだお喋りを続けていた。

 その若い女性たちの屈託のない様子をちらっと見て、「彼女たちのオーラは輝かしく新鮮な色合いなのだろうな、きっと・・・私も1984年の頃はきっと目に鮮やかなエメラルドグリーンのオーラを発していたはずである・・・」そんなことをちらっと思った。 



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