2021/6/24

5593:Limited Edition  

 「オーディオショップ・グレン」には時折、非常に珍しいスピーカーが入ってくる。主に扱っているのは、イギリスから調達されたTANNOYの古いスピーカーであるが、国内のオーディオマニアから引き取った比較的新しいスピーカーが一時的に店の一角を占有していることがあるのである。

 少し前には、ソナスファベールのエクストリーマという、非常に珍しいスピーカーが少しの間置かれていた。

 初めて見るエクストリーマはエレクタ・アマトールがジムで筋トレを1年間続けたようなマッチョな体型をしていた。

 このエクストリーマ、1991年の登場であるので30年も前のスピーカーである。ヴィンテージと言えなくもない。「準ヴィンテージ」といったところであろうか。

 実はエクストリーマは、2014年にソナスファベールの創立30周年記念モデルとして新型が出ている。その名称は「Extrema Super Limited Edition」である。

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 その名の通り限定モデルで、なんと世界で30セットしか生産・販売されなかった。日本でも幸運な数名のオーナーが入手したようである。

 ただしその価格はペアで800万円(税抜き)であった。単に運が良いだけでは、そのSuper Limited Editionを手に入れることはできなかったのである。

 「また、変わったものが入ったよ・・・」と「オーディオショップ・グレン」のオーナー小暮さんから連絡が入ったのは、先週のことであった。

 「まさか・・・『Extrema Super Limited Edition』じゃないよな・・・それはあり得ない・・・世界で30セットの限定販売ということは、現在恐ろしいほどプレミアがついているはず・・・今なら優に1,000万円以上の値がつくはず・・・」

 そんなことを思いながら、BMW 523i Touringのハンドルを握っていた。この車の走行距離は91,000kmを超えた。

 さすかに多少の経年劣化を感じるようにはなってきているが、今まで乗ってきたドイツ車の中では、その経年劣化の具合は軽めである。以前乗ってきたドイツ車はこのくらいの走行距離になると「さすがに、そろそろ乗り換え時かな・・・」と思ってしまっていた。

 スマホには「Mercedes-Benz C-Class 6月29日 日本発売開始 先行予約キャンペーン」という広告が載っていた。

 以前インターネットでフルモデルチェンジされたC-Classを見て「これは絶対に売れるでしょう・・・」と思った。

 「先行予約キャンペーンか・・・登録しとこうかな・・・」そんなことを思いながら車を走らせていくと、いつも停めるコインパーキングに着いた。

2021/6/23

5592:ジェントル  

 「軽い」という形容詞はどちらかというと否定的に使われることが多い。しかし、「軽やか」という形容詞になると、これは肯定的に使われることが多い。

 Audi A3の試乗車に乗り込んで、エンジンを始動させて走り出した際の印象は「軽やか」そのものという感じであった。

 1.0Lの3気筒エンジンのサウンドについて「3気筒だからがさがさした乾いた質感の音質だろうな・・・」と想像していたが、新型A3は相当遮音に気を使っているようで、エンジン音そのものがあまり耳につかない。

 Audi立川の駐車場を出て、芋窪街道を北に向かって走った。「軽やかで静かですね・・・」助手席の営業マンにそう話しかけた。

 室内の設えもAudiらしくクールですっきりとした質感でまとめられている。10.25インチサイズのフル液晶メーター「アウディバーチャルコックピット」はとても見やすい。

 センターコンソールに組み込まれたタッチ式ディスプレイは10.1インチサイズで大きく解像度も高い。

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 コンパクトなリチウムイオン電池を積み、ベルト駆動のジェネレータースターターが必要に応じてアシストを行う効果は、アイドリングストップ時に感じられる。

 エンジンのオンオフはタコメーターを見ていなければわからないほどに滑らかである。アイドリングストップは、車が停まる前に作動していて、停車した時にはすでにエンジンの回転数は0rpmで、ジェネレータースターターによる再始動もそれと体感することなく行われる。

 再始動時のあの「ブルル・・・」という振動や音がないのがとても新鮮である。「これは気持ちいいな・・・」と思った。

 随分とコンパクトになったエンジンはさすがに余裕はない。しかし、街中をジェントルに走る分には必要にして十分と言えるであろう。

 スポーティーな加速感や高揚感とは無縁のエンジンである。そういった質感を求めるには2.OLのエンジンを搭載する上級車を購入する必要がある。

 この車は、子供たちが大きくなり大人数で乗車する必要性のない年代になった方が、「もうミニバンには乗りたくない・・・」と購入するのに最適なのかもしれない。

 そういった年代になると運転も比較的穏やかになるものである。(もちろん例外は少なからずあるとは思われるが・・・)

 街中の試乗コースの中には、最近整備された産業道路も含まれていた。その道路は広く交通量が少ない。そこでアクセルをべた踏みしてみた。

 エンジン音が高まる。しかし、それに応じて車速が一気に高まることはなかった。じわじわとややタイムラグを感じさせながらスピードがのってくる。

 「さすがに1.0Lでは苦しそうですね・・・」私は助手席に乗っている営業マンと話した。「スポーティーな感覚を求められる方はS3しかないですね・・・」との返答であった。

 新型A3 SEDAN 1stエディションは、乗り込んでエンジンをかけた瞬間から“いいもの感”がじんわりと感じられた。

 Audiはプレミアムブランドである。クールで上質な質感をとても大事にしている。そのブランドイメージは、この新型A3にも随所に感じられた。

 エンジンが1.0Lの3気筒ということで、「大丈夫なの・・・」と心配したが、静寂性、走行感覚、運転感覚においては、そんな心配を一蹴する高いクオリティー感があった。

 エンジンは確かに余裕があるものではないが、マイルドハイブリッドの効果もあり思っていた以上に上質な質感を感じた。A3 SEDANは「ジェントルマンたる大人の車」という印象であった。

2021/6/22

5591:1stエディション  

 私が最初に乗ったドイツ車はAudi A6であった。1997年のことであり、遡ること24年前ということになる。

 A6としては2代目となるモデルで、私が選択したグレードは2.4Lのエンジンを積んでいた。駆動方式はFFであった。

 サイズは全長4,796mm、全幅1,810mm、全高1,453mmであった。今では珍しくはなくなったが、その当時としては滑らかに弧を描くルーフラインがとても斬新で美しく感じられたことを覚えている。

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 Audi立川の建物の中に入って、展示されているAudi A3 SEDANのサイドビューをしげしげと眺めながら、「24年前にディーラーの展示車を見て一目ぼれしたA6のサイドビューに似ているな。今ではこういったルーフラインは当たり前になってしまったけど・・・」と思った。

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 Cセグメントに属するA3 SEDANのボディーサイズは全長4,495mm、全幅1,815mm、全高1,425mmである。24年前のEセグメントの車とそれほど大きくは違わない。

 しかし、積み込んでいるエンジンはかなり違う。1.0Lの3気筒エンジンが搭載されているのである。随分とコンパクトなエンジンに48V駆動のベルト・オルタネーターが加わり、小柄なエンジンをサポートしている。

 これは日本でも販売が開始された新型ゴルフとも共通する。ただしゴルフの場合、上位グレードは1.5Lの4気筒エンジンを搭載する。日本でのゴルフの販売の主流は1.5Lモデルとなる可能性が高い。

 A3の場合は上位グレードは一気に2.OLの4気筒エンジンとなってしまうので、販売の主流はこの1.0Lモデルということになるのであろう。

 24年前のことを思い出しながら、その展示車を眺めていると、若い男性営業マンが「試乗車の準備ができました・・・」と告げにやってきた。

 その後ろに従って、駐車場へ向かった。展示車はブラックであったが、試乗車は白であった。展示車と同じくA3 SEDANである。

 「ファーストエディション」と呼ばれる台数限定の特別使用車であり、ほぼフルオプションのモデルである。価格は4,720,000円。「さすがに高い・・・」と思わざる得ない価格ではある。

2021/6/21

5590:謎解き  

 フォルクスワーゲンの屋台骨を支えるゴルフのニューモデルである「ゴルフ8」の発売が日本でも開始された。

 先日フォルクスワーゲン小平からDMが来ていた。「新型Golfデビューフェア」「The new Golf あなたの想像より、新しい。」といった文言がカラフルなパンフレットに添えられていた。

 1.0Lのコンパクトなエンジンを搭載するNew Golfの実質的なベーシックモデルである「eTSI Active」の価格は3,125,000円。オプションや諸経費を含めると300万円台の後半となる。

 「今度のゴルフは売れないような気がします・・・搭載されるのが1.0Lのエンジンで、価格もかなり高めですからね・・・日本ではSUVに人気が集中してますし・・・」とチューバホーンさんは話された。

 今日は二人で連れ立って、ハンコックさんのお宅を訪問した。チューバホーンさんのお宅からハンコックさんのお宅までは車で1時間半で着いた。その道中、オーディオだけでなく車の話もしていたのである。

 まだ緊急事態宣言が解除されていないので、今日のハンコックさんのお宅でのOFF会は時間は3時間、マスク着用、外食なしということで執り行われた。

 OFF会の前半は「オーディオタイム」であった。最近、ハンコックさんは、20年近く使い続けられているWilaon Audioの「WATT3/PIPPY2」を、上下それぞれ別のパワーアンプで駆動するマルチウェイ駆動に挑戦されていた。

 そのマルチウェイ駆動に関して様々な試行錯誤を3人で検証してみたのである。WATT(Wilson Audio Tiny Totの略)は、それ単体で2ウェイスピーカーとして高い能力を持つモニタースピーカーである。

 そのWATTTにサブウーファーとしてのPUPPYが追加されたわけであるが、それぞれを別のパワーアンプで駆動すると良いのではないかとハンコックさんは判断されたのである。WATT3にはMark LevinsonのNO.23.5が、そしてPUPPY2にはSD-05があてがわれていた。

 第1の検証は、WATTとPUPPYへの接続方法の違いである。「WATT:正相 PUPPY:逆相」「WATT:正相 PUPPY:正相」そして「WATT:逆相 PUPPY:正相」という三つのパターンを試してみた。

 これは満場一致で「WATT:正相 PUPPY:正相」が一番良いとの結論が出た。第2の検証は、PUPPY2を駆動するSD-05のボリューム位置の検証である。SD-05のボリュームを上げれば、PUPPYの関与度合いがより上がることになる。

 ボリューム位置が11時、10時、9時・・・さらにプリアンプからの接続をSD-05のゲインがより低くなる「A-1」接続に変えてもみた。

 その結果は「A-1」接続を選択してボリューム位置を低めの9時あたりのポジションにするのがベストとの結論に達した。

 極力PUPPYの関与度合いを下げる状態が一番結果が良かったことになる。イメージとして「WATT3:95% PUPPY2:5%で鳴らしている」といった感じである。WATT3は単体で相当に優れた2ウェイスピーカーであるので、PUPPYは関与度合いを抑えに抑えて「最後の一摘みの塩」的な存在にすべきであった。

 「これで、オーディオタイムは終了ですね・・・後半はミュージックタイムでいきましょう・・・」という感じで中休みとなった。

 ティータイムで休息後「ミュージクタイム」に移行した。ハンコックさん愛聴のジャズレコードから3曲を聴いた。

 「バランスよくニュートラル・・・自然な質感で空間表現も広い・・・」高い評価がさっと下った。

 送り出しはORACLE DELPHIである。SMEのトーンアームの先にはオルトフォンMC20が装着されている。昇圧トランスとフォノイコライザーはフェイズメーション製。プリアンプはMark LevinsonのML1。

 「バランスが良くなりましたね・・・オーディオ的なレベルがぐんと上がりました・・・」と一同笑顔であった。その時ハンコックさんが「UESUGIのフォノイコも聴いてほしいんですよね・・・」という話をされた。

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 そこで「UESUGI」の真空管式のフォノイコライザーに接続が切り替わった。その型番は「UTY-7」。電源部が別躯体となっている。古い時代のこのメーカーの製品に使われることが多い渋い茶色の色合いが実に良い感じを出していた。見るからに「手を抜いていません・・・」という感じがひしひしと伝わってきた。

 DONALD BYRDの「FUEGO」からの1曲が再度かかった。先程、フェイズメーションのフォノイコライザーで聴いた曲と同じである。

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 1959年に録音されたかっこいいジャズが再度流れ出た。その変化量の大きさに、私はかなり驚いた。「音楽の躍動感というか浸透力が全く違う・・・」優等生的な整いの良さとは全く別のベクトルに音楽は移行していた。

 「音楽があるべき場所に移動した・・・」と内心感じた。オーディオ的な諸要素・・・SN、情報量、ワイドレンジ、空間表現の広大さなどといった物差しとは全く異なった「指標」がもたらされたような気がした。

 その後「オーディオタイム」は完全に終わり、真の意味合いでの「ミュージックタイム」となった。 

 時間は短めであったが、実に示唆に富んだOFF会であった。私にとっては色々な「オーディオ謎解き」の回答が断片的にもたらされたような気がした。

2021/6/20

5589:ギタリスト  

 ORPHEUS ZERO、ORPHEUS ONE SE、Ensemble FUOCO、そしてLINDEMANN Boogieというかなり個性的なラインナップのオーディオシステムで、実際に音を聴かせてもらった。

 Lindemannさんのメインジャンルはジャズ。しかもジャズギターがお好きなようであった。さらにジャズという枠からはみ出した「ジャズロック」も聴かれる。

 残念ながら、こういった分野には全く知識がなく、ほとんど全て初めて聴くものであった。まずかかったのは、Julian Lageの「Squint」という曲であった。

 Lindemannさんが今一番好きなギタリストの一人であると話されていた。エレキギター、ウッドベース、ドラムスのトリオである。

 クラシックなジャズというよりも前衛的・先鋭的な音楽であった。音楽的な魅力を理解するには私には経験も知識も全く不足していたが、その音はこのオーディオシステムの魅力を伝えるのにふさわしいと思えた。

 続いて同じJulian Lageでもう1曲、「Saint Rose」がかかった。こちらはどちらかというとロックテイストであろうか、ノリの良いリズムに、エレクトリックギターの繊細かつ大胆なフレーズが絡みつく。「クール!」という誉め言葉が思わず口をつく・・・そういう感じの曲であった。

 次に選択されたギタリストはJohn Scofieldである。もちろん私は全く知らないギタリストである。 曲は「Filibuster」。

 こちらは「フージョン」や「クロスオーバー」という名称で1980年代に流行った音楽を思わせる雰囲気である。

 「Boogie」について、Lindemannさんさんは「見た目よりもノリの良い音を出す・・・」とおっしゃられていたが、確かにそうである。

 「Boogie」の外観は、お世辞にも豪華とは言えない。サイズもコンパクトで華奢である。ソナスファベールのような美しい曲線はどこにも見当たらない。「遊び心」といったものが全く感じられないのである。

 しかし、繰り出される音は有機的でノリが良い。そして突き抜けた軽さというか、鬱屈した感じがないのが好印象であった。

 「Hullo Bolinas」というJohn Scofieldの別の曲がかかった。こちらはこちらはオーソドックスなトリオ構成。実に渋い曲である。その色合いは淡いグレーである。

 「Boogie」はフロントバッフルがグレーで、キャビットはクリーム色。地味な色使いである。そこには光沢眩しいバーズアイメイプルやブラックウォールナットのような豪華さはないが、この「Hullo Bolinas」を聴いていると、そのいぶし銀具合が実にしっくりとくるから不思議である。

 3人目のギタリストはAllan Holdsworthであった。このギタリストもまったく知らない。かかった曲は「Tokyo Dream」。1984年に東京で行われたライブ盤からの1曲である。

 こちらは「ジャズロック」という分野に属するのであろうか・・・よりエネルギッシュで、複雑な構成をしている。

 彼のギターフレーズは実に独特で、ヘビがうねる様を連想させる。2本足または4本足で走るのではなく、無数のうろこが動いて進むような感覚である。

 そして最後の選択された4人目のギタリストは、Jeff Beckであった。さすがにJeff Beckは、私も知っていた。

 選択された曲は「GOODBYE PORK PIE HAT」である。「この曲は彼のベストだと信じています・・・」とLindemannさんは話されていた。

 変幻自在で密度感の恐ろしく高いJeffのギターが実に快感である。「Boogie」はスリムでコンパクトなスピーカーであるので、威圧するような低域には限りがあるが、バランス感がしっかりととれているので不足感は感じない。

 「Boogie」は、初めて聴くスピーカーであったが、その慎ましやかな姿形や一般的な知名度の低さからして「隠れた銘機賞」を授けたい気持ちになった。

2021/6/19

5589:本川越  

 「このスピーカー、最初は『Boogie』という商品名だったのですが、そのうち『BL20』という名称に変更されました。さらに2012年にはマイナーチェンジされて『BL25』になりました。残念ながらその後Lindemannはハイエンドオーディオから撤退し、スピーカーの生産も終了しました。」

 出された珈琲を飲みながら、3人はオーディオ談議をしばし続けていた。LindemannさんはEnsembleさんの職場の先輩にあたり、二人は長い付き合いのようであった。

 「『Boogie』から『BL20』ですか・・・いきなりな感じですね・・・180度違う響きです・・・しかし、このスピーカーの外観からすると『BL20』という硬い感じの名称の方が合っているような気もしますが・・・」

 私がそう言うと、Lindemannさんは「確かにそうですね・・・この外観と『Boogie』という商品名は確かにちょっとずれているというかそぐわない感じがありますよね・・・でも、音は結構ノリが良いんです・・・もっとそっけない音がするのかと、最初は思っていたんですが、そのギャップが第一印象としては大きなものでした・・・」と言われた。

 Lindemannさんのオーディオシステムは比較的シンプルな構成である。CDプレーヤは、ORPHEUSのCDトランスポートとDAコンバーターの純正組み合わせ、そしてアンプはセパレートではなくEnsembleのFuocoというあまり知られていないプリメインアンプである。

 それらのオーディオ機器は、solid steel製の3段ラックに納められている。Lindemannの「Boogie」もスリムで比較的コンパクトなスピーカーであるので、全体としてすっきりと収まっていて、リスニングルームの中にいても「オーディオ臭」があまりしない。

 オーディオマニアの中にはオーディ機器に対する愛着が強すぎて、部屋を数多くのオーディ機器が所狭しと占拠しているケースもあるが、Lindemannさんのリスニングルームは何もない空間が十分に確保されていて、圧迫感は全くない。
 
 リスニングルームの広さは8畳ほどである。オーディオ専用の部屋であり、それ以外のものが置かれていないので、狭いとは感じなかった。

 3脚置かれている椅子はイージーチェアというよりもダイニングチェアに近い形態のものである。木のぬくもりが感じられるもので、質感がとても良かった。メーカー名を確認すると「飛騨産業株式会社」という小さなシールが貼られていた。

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 3脚の椅子の前には横長のテーブルが置かれ、その上に置かれた珈琲からは良い香りが立ち上っていた。

 Lindemannさんのご自宅の最寄り駅は西武新宿線の「本川越」である。駅から徒歩で10分ほどの位置にあり、利便性の高いエリアである。

 Ensembleさんは、西武新宿線の「新井薬師前」が最寄り駅であり、私も西武新宿線の「東村山」が近い。Ensembleさんとは東村山駅のホームで待ち合わせて、終着駅である「本川越」に向かった。

 その電車の中で「Lindemannさんは私よりも5歳年上だから、いま63歳かな・・・一昨年奥様が亡くなってね・・・癌だったんだけど・・・それからしばらく相当落ち込んでいたみたい・・・最近少し元気なってね・・・」とEnsembleさんは話されていた。

 リスニングルームの壁には絵が幾つかかけられていた。どれも上品な感じのする水彩画であった。

 「亡くなった奥さんの趣味が絵で、リスニングルームに幾つかかけられている絵も奥さんが画いたものなんだ・・・」Ensembleさんが電車内で話されていた言葉が思い浮かんだ。

 終着駅である「本川越」が次の駅になった時「じゃあ、一人暮らしなんですか・・・?」と私が訊くと、Ensembleさんは「二人子供がいるけど、結婚して独立したから、一人なんだろうね・・・時々娘さんが来ているみたいだけど・・・」と返答された。

2021/6/18

5587:Boogie  

 「Lindemannの『Swing』と『Boogie』が日本で発売されたのは、2010年のことですから、もうすでに10年以上前のことになりました・・・」

 Ensembleさんと連れ立って訪れたLindemannさんのリスニングルームに入って、リスニングポイントに置かれた3脚の椅子の一つに腰かけて、初めて目にする細身のトールボーイタイプのスピーカーをしげしげと眺めていると、そのスピーカーについて、Lindemannさんは説明を始めた。

 「これは2機種あったLindemannのスピーカーのうち『Boogie』の方です。『Swing』と『Boogie』は両機種ともに2.5ウェイのフロアスタンド型のモデルで、ウーファーとミッドウーファーにセラミック・コーンドライバーを、そしてトゥイーターにセラミック・マグネシウム・ドームを搭載してます。」

 「エンクロージャーには、積層板とコルク、リノリウムをサンドイッチ構造にして組み合わせた素材を採用してます。最近のハイエンドスピーカーのエンクロージャーは金属製のものが主流になっていますが、この複合素材もエネルギー蓄積が無く、共振を上手く抑えているようです。」

 「脚部も凝った構造で、ステンレス製の脚の下には、セラミック・ボールそして楽器用木材で作製されたインシュレータが組み合わせられています。スピーカの下に敷いてあるのはアトピン製のオーディオボードです。」

 「あまり知られていないスピーカーですが、ドイツ製らしく理詰めで作られていて、見た目以上に高性能なスピーカーです。」

 Lindemannさんは、その「Boogie」という名前が付けられたドイル製のスピーカーについて滑らかに説明してくれた。

 「Lindemannってスピーカーも作っていたのか・・・全く知らなかった・・・」と思った。LindemannというとCDプレーヤとアンプを作っているドイツのメーカーという知識しかなかった。

 そのプロポーションはかなり細めである。横幅は20cmもないであろう。高さは1メートルほどで、奥行きもそれほどではない。二つのセラミック製の白いユニットがトゥイーターを上下で挟み込んでいる。

 フロントバッフルはグレーでそれ以外のキャビネットはクリーム色である。全て直線で仕切られていて、最近のスピーカーに多いリュート形状は採用されていない。

 その見た目からは豪華さは全く感じられなかった。「かなり質素な外観だな・・・ハイエンド感はない・・・」第一印象はそれほど良いものではなかった。

 LindemannさんとEnsembleさんとは旧知の仲である。お互い影響を与え合っているところもあるようで、共通点が一つあった。

 それは使われているプリメインアンプが同じということである。そのプリメインアンプはEnsembleの「Fuoco」である。

 私は「Fuoco」について、昨年Paoさんと連れ立ってEnsembleさんのお宅にお邪魔するまで、全く見たことも聴いたこともないプリメインアンプであった。一般的にもあまり知られていないこのスイス製のプリメインアンプをお二人は使われていた。

 Ensembleさん同様、LindemannさんもソースはCDのみである。その送り出しに関しては、私と共通点があった。

 ORPHEUSの製品を使われていたのである。DACは私と同じ「ORPHEUS ONE SE」である。そしてCDトランスポートも同じORPHEUSの「ZERO」であった。

 高さのない1Uサイズの実に精緻な佇まいの両機である。CDトランスポート、DAコンバーターそしてプリメインアンプは、SOLID STEEL製の黒い3段ラックに納められていた。ラックはリスニングルームの左側に置かれ、2本の細身のトールボーイタイプのスピーカーの周囲には何も置かれてない。

2021/6/17

5586:磁石  

 「都民の森」まで残り2kmほどになってきて、脚の回りがじんわりと重くなってきた。やがてサイコンの小さな画面に表示されている「ラップ平均パワー」が220ワットを切ってしまった。

 「くそっ・・・!」と悪態をつきたくなる気持ちを抑えて、サイコンに表示される数値を220ワットに復帰させるべくケイデンスを上げようとするが、「坂道君」のようにはいかない。

 「都民の森 1km」と記された標識の下を潜った。今日のヒルクライムコースの終盤である。競馬で言えば第4コーナーを曲がったあたりか・・・「心の騎手」が鞭を入れた。

 しかし、肝心の「馬」はその鞭に反応しなかった。やや重のダートの上を走る競走馬のように重い脚で最後の工程をこなすしかなかった。

 ラップパワーはさらに下がりゴールした時点では「215ワット」にまで下がってしまった。目標値を5ワット下回った状態で今日のヒルクライムを終えた。

 ゴールして「都民の森」の駐車場の一角にある石碑の前にLOOK 785 HUEZ RSを立てかけて、スマホで写真を撮った。

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 自転車に乗った「ゆりーとくん」のモニュメントがある場所に移動して、ロードバイクを柵に立てかけた。そして、今日のロングライドの目的の一つである営業を再開した「売店 とちの実」に向かった。

 「カレーパンにするか・・・みとう団子にするか・・・どちらも魅力的ではあるが・・・・」そんなことを思いながら売店に着いた。今日はカレーパンを選択した。

 焼きあがってからそれほどの時間が経過していないカレーパンは暖かかった。それをゆっくりと頬張って、久しぶりの味わいを堪能した。

 すると、雨がぽつぽつと落ちてきた。「降ってきましたね・・・急いで下りましょう・・・」ということになり、記念撮影を済ませてから下り始めた。

 雨で路面が濡れているので慎重に下った。雨は標高が下がるに従って弱くなり、やがて止んだ。

 路面が乾くとペースは上がった。下りであってもハイペースを保つためにはそれなりに脚を使う。「橘橋」まで下り切り、下り基調の平坦路に入った。

 我々の前には大学の名前が入ったジャージを着用した若い数名のローディーから形成されたトレインが走っていた。

 そのトレインはかなりの高速巡行状態で走っていた。我々のトレインもその「磁力」に引き付けられるかのように、ペースを合わせて走った。

 しばしの間、前を行くヤングトレインの「磁力」に引っ張ってもらう形で、高速巡行をこなした。やがて、トレインは檜原街道を走り切り、武蔵五日市駅まで達した。

 駅前の交差点で赤信号で止まっていると、単独ランで来ていてパンクして困っている若い女性ローディーがいた。事情を確認して、すかさずリーダーが救いの手を差し伸べた。

 単純なパンクではなく、タイヤがバースト気味だったようである。さすがにプロフェッショナルである。リーダーは手早く応急措置を終えて「低めの空気圧で気を付けて走ってください・・・」とアドバイスしていた。

 その手際の良さに感心した。それと同時にリーダーの鼻の下が少しばかり、そう1cmほど伸びているように感じたのは、私の気のせいであろうか・・・

 睦橋通りは、少しペースを落として走った。雨雲は追いかけてきているようであったが、「どうにか逃げ切れるかな・・・」と多少楽観的な気分になっていた。

 拝島駅に着いたが、雨雲が近くまで来ているので昼食休憩はせずにトイレだけを済ませて、最後の行程を走ることになった。

 雨はぽつぽつと落ちることはあったが、しっかりと降ることはまだなかった。「百石橋」で本隊と別れて、「東大和組」の2名は北に向かった。

 どうにかこうにか雨には本格的に降られることなく自宅までたどり着くことができた。「やっぱり実走はぐっとくるな・・・厳しい面もあるけど・・・このぐっとくる感じがないとね・・・」と思いながら、自宅の玄関の中にLOOKを招き入れた。

2021/6/16

5585:Bad Day   

 檜原村下元郷公衆トイレでのトイレ休憩を済ませて、リスタートした。少し走ると檜原村役場が道の右側に見えてきた。

 その前を通り過ぎると「橘橋」のT字路交差点に達する。その交差点を左折した。交差点には「都民の森 21KM」と書かかれた標識があった。

 今日もいつものように「数馬」までは隊列を維持して無理のないペースで走っていき、「数馬」で一息入れてから、その先はフリー走行に移行する予定であった。

 天気は曇り。まだ雨は降り始めてはいない。空は雲に覆われていたが、その色合いは明るめのグレーであり、「まだ大丈夫そうだ・・・今日は降られないかな・・・」と思いながら、上り基調の道を進んだ。

 「上川乗」の交差点まで来た。左に折れると道は「上野原」に向かうが、その分岐点をまっすぐに進んだ。

 左側に日帰り温泉施設である「数馬の湯」が見えてくると、「数馬」の休憩ポイントはもうすぐである。斜度が上がった坂を上り切るとバス停と公衆トイレがある。ここで一息入れた。

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 周囲の風景は実に長閑なものである。鶯の鳴き声が断続的に周囲に響いていた。ここから先はそれぞれのペースで走る。

 調子はあまり良くないから、「220ワットぐらいの平均パワーで走ろう・・・」と思っていた。先週の「Mt.富士ヒルクライム」でもそれほど調子は良くなかった。

 その後1週間が経過したが、何故かしら疲労感が抜けない。「疲れが残る期間が年齢とともに長くなっているな・・・」とひしひしと感じていた。あと2年で「還暦」である。これは実に自然なことと言えるであろう。

 「数馬」での休息後、リスタートした。スタート直後はゆったりとしたペースで走り、道の上に「都民の森 4KM」と書かれた標識が見えたところでサイコンのラップボタンを押して、平均出力を220ワット前後まで上げた。

 前半は負荷をほぼ一定に維持して走っていった。メンバーはやがてペースを上げて前に出ていった。

 「最後までこのペースで行けるかな・・・」と思いながらほぼ半分走り終えた。残りは2KMほど。斜度は8%程としっかりしている。脚の回りが徐々に重くなってきた。

 サイコンにはラップボタンを押してからのラップタイムとともにラップ区間の平均パワーも出る。その数値が220を切らないように走ってきたが、後半はその維持に四苦八苦するようになってきた。

 「今日はバッドデイかも・・・」Daniel Powterが歌う「Bad Day」のメロディーが頭の中で静かに響いた。

2021/6/15

5584:檜原村  

 7台のロードバイクは隊列を形成してスタートした。小平市内の市街地を抜けていって、玉川上水に沿って続く道を走った。

 玉川上水の両側には木々が植わっている。その木々の緑はしっかりとした色合いになっていた。夏を迎える準備は整っているようであった。

 拝島駅まで走っていき、いつものように駅前のファミリーマートでコンビニ休憩をした。補給食には、「2種類のトルティーヤ チキンとタンドリー風」を選択した。野菜もたっぷりと入っていて、栄養バランスが良さげであった。

 コンビニ休憩を終えてリスタートした。国道16号を少し走ってから、睦橋通りに入った。睦橋通りは片側2車線の大きな道路である。

 多少アップダウンはあるが、ほぼフラットで走りやすい。ただし信号が多く、タイミングが悪いと信号のたびごとに赤信号で止められることもある。

 今日もそういった悪いパターンに嵌った。なぜかしら頻繁に赤信号で止められるのである。ストップアンドゴーを繰り返しながら、武蔵五日市駅まで走っていった。

 駅の手前を左に折れて、檜原街道に入った。上り基調の道を進んでいくと、やがて市街地が尽き、緑の比率が多くなる。

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 道の両側を鬱蒼とした木々が覆う「陰地」に入ると、明らかに気温が下がる。今日は蒸し暑かったので、「陰地」の涼しさはありがたかった。

 「陰地」を抜けて少し走ると、秋川に架かる1本アーチが珍しい「新矢柄橋」が見えてきた。斜めに走る独特のアーチで吊られている斬新なデザインの橋を渡っていった。

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 やがて檜原街道は再び山間の道となる。上り基調のアップダウンを順調にこなしていくと、休憩ポイントである「檜原村下元郷公衆トイレ」が見えてきた。

 その休憩ポイントに向けてロードバイクは道を横切った。ここには雛原村の特産品を売る「山の店」とバス停、そして広い駐車場がある。

 総ヒノキ造りであるトイレの前にはサイクルラックがあり、そこにロードバイクをかけた。トイレを済ませて、しばし休息した。
 
 サングラスに関しては帰宅したらもう一度しっかりと探してみるつもりであったが、無いようなら新調する必要がある。

 今チーム内で流行っているサングラスはオークリーのものである。今日の参加者7名のうち3名がオークリー製のものを装着していた。

 スマホでオークリーのHPを見てみると、カラーリングが選択できる画面があり、メンバーが現在使っている商品を選択してカラーリングを試してみた。フレームやレンズなどの色を7種類ぐらいから選べる。

 「面白いな・・・オークリー・・・家探ししても無ければ、これにするかな・・・」と思いながら、休息時間を過ごした。 



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