2021/5/9

5547:パラダイム  

 「これは、カナダのスピーカーメーカーであるパラダイムの製品で、製品名はペルソナ ビー・・・」

 「お客さんが最近購入してね・・・『ちょっと聴いてみてよ・・・』と店に持ち込まれているんだ・・・」

 「パラダイム」も「ペルソナ ビー」という名称も全く聞いたことのないものである。「そんなメーカー・・・あったっけ・・・」というのが正直な印象である。

 リスニングポイントに置かれた黒い革製の3人掛けソファの真ん中に座ると、その正面、いつもはソナスファベールのエレクタ・アマトールが置かれている位置には、見慣れない2ウェイスピーカーがサウンドアンカー製のスタンドの上に置かれて設置されていた。

 その見た目は、かなり独特なものであった。まず目を引くのはその色であった。キャビネットの色はブルーであった。

 そしてフロントバッフルは淡いグレーで、二つのユニットを覆っている複雑な形状をした音響レンズはシルバーである。

 その見た目は色合いとともにとても個性的で、脳裏に一瞬で焼き付くようなものであった。キャビネットはリュート形状で後方に向かってゆるやかに絞られている。

 「パラダイムは設計から製造までを完全にカナダの社内工場で行う、かなり拘りが強いスピーカーメーカーで、ペルソナはその最上級シリーズ。これ以外にもトールボーイタイプのモデルも幾つかそろっているんだ・・・」

 「キャビネットの色もこのブルー以外にも何色があって、さらにユニット前面の音響レンズとフロントバッフルの色も指定することが可能で、様々な組合せから好みの一台を選択可能になっている・・・」

 「ユニットが特徴的で、ツィーターとウーファーの振動板はベリリウムなんだ・・・軽量で硬いベリリウムは振動板として理想的な素材ではあるけど加工が難しくコストがかかってしまう。なので小型2ウェイスピーカーとしてはかなり高価で、ペアで165万円。このスタンドは付属している。」

 「オ−ディオショップ・グレン」の小暮さんは、その初めて見るスピーカーのことをざっと説明してくれた。

 「じゃあ、さっそく聴いてみよう・・・」と小暮さんはCDを3枚、棚から取り出した。そのうちの1枚がNAGRA CDCにセットされた。

 アンプはLEAKのPOINT ONE STEREOとTL-10のペアである。「ヴィンテージの真空管アンプで最新のハイエンドスピーカーが鳴るのかな・・・」と思ったけど、小暮さんは「これはインピーダンスが8オームで、能率が92dbあるから、小出力の真空管アンプでも鳴るんだよね・・・」と話されていた。

 まずかかったのはバッハのヴァイオリン協奏曲第2番、さらにコルンゴルドのヴァイオリン協奏曲、ドニゼッティのオペラ「マリア・ステュアルタ」よりアリアを2曲を聴いた。時間にして約1時間ほど聴いたことになる。

 ペルソナ ビーの色合いは「アリアブルー・メタリック」というそうであるが、その仕上げの美しさと見事に符合する音色である。

 ヴァイオリンやソプラノは、ややもすると耳に刺さるような音になることがあるが、このペルソナ ビーは、そういったうるささはない。歪が極力抑えられているのであろう。

 繊細な描写力と解像度はハイエンドスピーカーらしい高度なレベルを維持しながら、音のきつさがない。それ故音量を上げたくなる。

 「この歪のなさはベリリウムの効果なのであろうか・・・あるいはペルソナ ビーのデザイン上の特徴でもある音響レンズの効果もあるのだろうか・・・」

 音はあくまでニュートラルである。自然な音の出方で、自然な感じで消えていく。特に派手な演出はしない。音をまとめるこのメーカーのエンジニアのセンスの良さを感じる。

 音場はこの手のスピーカーが最も得意とするところであるが、とても広い。それは左右・奥行きともである。

 「へえ〜・・・という感じですね・・・価格と見た目は紛れもなくハイエンドスピーカーですが・・・とても良いスピーカーですね・・・」私は感心しながら、小暮さんとその印象をしばし話した。どうやら小暮さんもほぼ同じような印象を持たれていたようであった。

 話しながら「そういえば昔、マツダの車で『ペルソナ』という名前の車があったな・・・」そんな関係の無いことを思い出していた。

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