2021/5/9

5547:パラダイム  

 「これは、カナダのスピーカーメーカーであるパラダイムの製品で、製品名はペルソナ ビー・・・」

 「お客さんが最近購入してね・・・『ちょっと聴いてみてよ・・・』と店に持ち込まれているんだ・・・」

 「パラダイム」も「ペルソナ ビー」という名称も全く聞いたことのないものである。「そんなメーカー・・・あったっけ・・・」というのが正直な印象である。

 リスニングポイントに置かれた黒い革製の3人掛けソファの真ん中に座ると、その正面、いつもはソナスファベールのエレクタ・アマトールが置かれている位置には、見慣れない2ウェイスピーカーがサウンドアンカー製のスタンドの上に置かれて設置されていた。

 その見た目は、かなり独特なものであった。まず目を引くのはその色であった。キャビネットの色はブルーであった。

 そしてフロントバッフルは淡いグレーで、二つのユニットを覆っている複雑な形状をした音響レンズはシルバーである。

 その見た目は色合いとともにとても個性的で、脳裏に一瞬で焼き付くようなものであった。キャビネットはリュート形状で後方に向かってゆるやかに絞られている。

 「パラダイムは設計から製造までを完全にカナダの社内工場で行う、かなり拘りが強いスピーカーメーカーで、ペルソナはその最上級シリーズ。これ以外にもトールボーイタイプのモデルも幾つかそろっているんだ・・・」

 「キャビネットの色もこのブルー以外にも何色があって、さらにユニット前面の音響レンズとフロントバッフルの色も指定することが可能で、様々な組合せから好みの一台を選択可能になっている・・・」

 「ユニットが特徴的で、ツィーターとウーファーの振動板はベリリウムなんだ・・・軽量で硬いベリリウムは振動板として理想的な素材ではあるけど加工が難しくコストがかかってしまう。なので小型2ウェイスピーカーとしてはかなり高価で、ペアで165万円。このスタンドは付属している。」

 「オ−ディオショップ・グレン」の小暮さんは、その初めて見るスピーカーのことをざっと説明してくれた。

 「じゃあ、さっそく聴いてみよう・・・」と小暮さんはCDを3枚、棚から取り出した。そのうちの1枚がNAGRA CDCにセットされた。

 アンプはLEAKのPOINT ONE STEREOとTL-10のペアである。「ヴィンテージの真空管アンプで最新のハイエンドスピーカーが鳴るのかな・・・」と思ったけど、小暮さんは「これはインピーダンスが8オームで、能率が92dbあるから、小出力の真空管アンプでも鳴るんだよね・・・」と話されていた。

 まずかかったのはバッハのヴァイオリン協奏曲第2番、さらにコルンゴルドのヴァイオリン協奏曲、ドニゼッティのオペラ「マリア・ステュアルタ」よりアリアを2曲を聴いた。時間にして約1時間ほど聴いたことになる。

 ペルソナ ビーの色合いは「アリアブルー・メタリック」というそうであるが、その仕上げの美しさと見事に符合する音色である。

 ヴァイオリンやソプラノは、ややもすると耳に刺さるような音になることがあるが、このペルソナ ビーは、そういったうるささはない。歪が極力抑えられているのであろう。

 繊細な描写力と解像度はハイエンドスピーカーらしい高度なレベルを維持しながら、音のきつさがない。それ故音量を上げたくなる。

 「この歪のなさはベリリウムの効果なのであろうか・・・あるいはペルソナ ビーのデザイン上の特徴でもある音響レンズの効果もあるのだろうか・・・」

 音はあくまでニュートラルである。自然な音の出方で、自然な感じで消えていく。特に派手な演出はしない。音をまとめるこのメーカーのエンジニアのセンスの良さを感じる。

 音場はこの手のスピーカーが最も得意とするところであるが、とても広い。それは左右・奥行きともである。

 「へえ〜・・・という感じですね・・・価格と見た目は紛れもなくハイエンドスピーカーですが・・・とても良いスピーカーですね・・・」私は感心しながら、小暮さんとその印象をしばし話した。どうやら小暮さんもほぼ同じような印象を持たれていたようであった。

 話しながら「そういえば昔、マツダの車で『ペルソナ』という名前の車があったな・・・」そんな関係の無いことを思い出していた。

クリックすると元のサイズで表示します

2021/5/8

5546:一杯の珈琲  

 神田神保町のクラシック専門の中古レコード屋を出て、電車に乗って中野坂上に向かった。中野坂上に着いて地下鉄の改札を出た。

 時刻は夕方に差し掛かっていたが、まだ辺りは十分に明るかった。しばし歩いて、1階に喫茶店「Mimizuku」、そして4階に「オーディオショップ・グレン」が入っている5階建ての古いビルに向かった。

 喫茶店「Mimizuku」には週に1,2回訪れる。その古い扉を開けると、扉の上に取り付けてある鈴が二度三度と乾いた音を響かせた。

 連休の谷間の平日である。カウンター席には「ゆみちゃん」がテレワークをしていた。パソコンに向かって何か打ち込んでいる彼女に向かって「こんにちは・・・」と挨拶をした。

 4つ並んでいるカウンター席の一番左に彼女は座っていた。私は一番右のカウンター席に座った。スマホを鞄から取り出してカウンターに置いた。

 彼女のテレワーク歴も1年以上となっている。「私は人づきあいがあまり良い方ではないので、テレワークって向いている感じがします・・・」と彼女はテレワークについて話していた。

 私はいつものようにブレンドコーヒーを頼んだ。寡黙な女主人はすぐさま準備に取り掛かった。しばし待っていると私の目の前にはブレンドコーヒーが運ばれてきた。

 すぐに飲むことなく、私はしばしぼうっとしていた。そのちょっと間の抜けた様子を横目で確認したのか、「ゆみちゃん」は「何か心配事でもあるんですか・・・?」と訊いてきた。

 「えっ・・・あっ・・・ぼうっとしてた・・・?」

 「全然大したことじゃなくてね・・・レコードだよ・・・レコード・・・ついさっき中古レコード屋で、前から欲しいと思っていたものを偶然見つけたんだけど、恐ろしく希少価値の高いもので、その価格が半端なくてね・・・」

 それを聞いて、彼女は「そういうことですか・・・随分深刻な悩みなのかと思っちゃいました・・・迷ったときは買った方がいいんじゃないんですか・・・やってしまった後悔よりもやらなかった後悔の方が大きいといいますし・・・」とさらっと言った。

 「まあ、そうだね・・・」とぼんやりと答えた。あえて、そのレコードの値段については彼女に話さなかった。

 ゆっくりと暖かい珈琲を飲んだ。珈琲を飲み終えても、心の中のもやもやについては白黒がつかなかった。「まあ、いいか・・・」という感じで、会計を済ませた。

 この後、同じビルの4階に入っている「オーディオショップ・グレン」に向かう予定が入っていたのである。

 「今一時的にお客さんから預かっているスピーカーがあってね・・・ちょっと面白いものなので聴きにこない・・・?」と小暮さんから連絡が入っていたのである。

 「ビンテージじゃないよ・・・バリバリのハイエンド・・・」と小暮さんは話されていた。「ハイエンドですか・・・」と好みに合わない予感がして、あまり乗り気になれなかったが、予定が空いていたので「じゃあ、行きます・・・」を私は返答したのであった。

2021/5/7

5545:逡巡  

 神田神保町のクラシックの中古レコード専門店で、私はしばし思案していた。3枚のレコードが入ったボックスが目の前にあった。

クリックすると元のサイズで表示します

 ヘンリク・シェリングのヴァイオリン演奏によるバッハの無伴奏ソナタ・パルティータータ全曲のレコードである。

 レーベルはフランスODEON。オリジナル盤である。1955年の録音でモノラルである。バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ・パルティータの不朽の名盤とされている。

 この無伴奏が録音された前年、ルービンシュタインとメキシコで運命的な出会いを果たしたシェリングは、ルービンシュタインの後押しもあり、演奏活動を再開した。

 そのシェリングが、パリに於いて録音した伝説的演奏が収録されている。その音色に備わった高貴な精神性と際立つ演奏技術は多くのクラシック愛好家を惹き付ける魅力に溢れている。

 CDにもなっているし、数多くの再発盤も出ている。それらであれば、きわめてリーズナブルな価格で入手可能である。

 しかし、希少価値の高いオリジナル盤となるとその価格は一気に跳ね上がる。私の目の前にある、その3枚組のボックスセットも税込みで495,000円というプライスタグが付けられていた。

 意味のないことかもしれないが495,000円を3で割ってみた。「1枚当たり165,000円か・・・」と暗算の結果を頭に思い浮かべた。

 私はレコードコレクターではない。「レコード愛好家」といったレベルである。コレクターは所有することに喜びを見出す。

 しかし、私は数多くのレコードを所有することに喜びを見出すことはできない。むしろ「罪悪感」のようなものを感じる。

 極力コレクションは少ない枚数で抑えたいと常日頃から思っているのであるが、それでも数百枚にまで達してしまった。

 そのコレクションの全てがオリジナル盤である。オリジナル盤でないといけないということはないのであるが、比べてしまうと「やはり違う・・・」と感じてしまう。

 どのくらい逡巡していたのであろうか・・・少なくとも30分は立ち尽くしていたであろう。「昨年も今年も夏の家族旅行はコロナ禍のため中止である・・・それで浮いたお金は100万円は下らないはず・・・・でもほぼ50万円というお金を3枚のレコードボックスに使って良いものであろうか・・・コレクションの中で最も高価なものは、ジョルジュ・エネスコ バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ全曲のレコードであるが、それに迫る価格である・・・あの時も随分と迷ったけど・・・」と様々な想念が頭の中を通り過ぎていった。

 「もう少し冷静になってから決めよう・・・再度店を訪れた時に既に売れていたらそれはそれで縁がなかったということにしよう・・・」と、ようやく考えがまとまって、店を後にした。

2021/5/6

5544:POLO  

 事務所の営業車は現在は使用していない。7名のスタッフのうち10年ほど前までは4〜5名が営業車を使っていたが、現在は1名のみという状況から、営業車を廃止し、利用する時のみ使うタイムズのカーシェアリングサービスを利用している。

 最後の営業車となったのはフォルクスワーゲンのPOLOである。現行型の一つ前のPOLOとしては5代目のモデルであった。そのボンネットの下には1.2Lの4気筒エンジンが積まれていた。

 そのPOLOは2018年にフルモデルチェンジされて現行型になったのであるが、フルモデルチェンジから3年が経過して、本国ドイツではマイナーチェンジが行われた。

 マイナーチェンジなので、大胆な変更というわけではないが、フロントの目つきが変わったので、「おっ・・・変わったな・・・」と分かる感じである。

クリックすると元のサイズで表示します

 POLOらしいすっきりとした清潔感のある造形でまとめられている。最新のフォルクスワーゲンの特徴の一つであるデイタイムランニングライトがフロントラインを横に一直線に横断しているのが新しい点である。

クリックすると元のサイズで表示します

 リアのデザインもアップデイトされた。マイナーチェンジ前は小型の縦長タイプのリアライトの形状であったが、少々強引な感じに横長のものに修正されている。

 さらに「POLO」のモデル名がフォルクスワーゲンのコーポレイトマークのすぐ下に移動した。これも最近のフォルクスワーゲンは全てそのようになっている。目が慣れていないせいか、従来の位置にあった方が安定感があるような気がしてしまう。

クリックすると元のサイズで表示します

 事務所の営業車としてかつて使っていた5代目のPOLOの写真と今回マイナーチェンジしたPOLOの写真を見比べてみた。

 「遠目ではすぐに区別がつかないかな・・・」と思ってしまった。キープコンセプトがしっかりと守られているのであろう。

 「POLOにはまた乗ってみたい・・・」とは思うが、残念ながらタイムズのカーシェアリングサービスにPOLOが採用されることはなさそうである。

2021/5/5

5543:蒸しケーキ  

 Epic KOMを走り終えたところで、休憩することになった。ゴール手前のスパート合戦で乱れに乱れた呼吸を整えてから、ロードバイクを降りた。

 1階に移動して補給食を摂ることにした。テーブルの上には「蒸しケーキ」が入った包みがあった。その包みには「ジャンボむしケーキ プレーン」と印刷されていた。

 「これ食べていい・・・?」と妻に確認した。「いいよ・・・少しチンすると美味しいよ・・・」との返答であったので、電子レンジで20秒加熱した。

クリックすると元のサイズで表示します

 メーカーは「銀座木村屋」。手で割ってみると、中に空気がたくさん入るように空洞がたくさんある。

 食感はもっちりとしている。モサモサした感じがなく、味わいも甘すぎず薄すぎず、ちょうどよい甘さである。「ジャンボむしケーキ」を胃袋に収め、ボトルにミネラルウォーターを補充してから2階に上がった。

 休憩後リスタートして、ラジオタワーまでの上りを走った。この道は斜度が半端ない。常に二桁である。

 その急峻な坂道を走り続けた。Epic KOMで脚は相当疲れたはずであるが、「ジャンボむしケーキ」が効いたのであろうか、高めのパワーを維持してラジオタワーまでの上りを走り終えた。

 ここから先は長い下りである。バーチャルライドの良いところの一つは下りが怖くないことである。70km/hのスピードで下りのカーブを曲がるなんてことは実走ではあり得ないことである。

 下り切って、ワトピアの島々を繋いでいる橋を幾つか渡っていくと、今日のスタート地点であるタイタンズグローブに戻ってきた。

 スマホの画面には今日選択したコースの残り距離も表示されている。その残り距離が少なくなってくると、元気が出てくる。

 「もう少しだから頑張ろう・・・」とハイペースでクランクを回し続けた。バーチャルラウドの良いところの一つは、赤信号で止められることがないことである。

 気持ちよく平坦路を高速巡行しながら、今日のコースの終盤を走った。補給食として摂取した「ジャンボむしケーキ プレーン」のカロリーをほぼ消費しえたと思えるところで、ゴールを示す青く光る半透明のラインを越えた。

2021/5/4

5542:セコイア国立公園  

 今日のバーチャルチームライドの参加者は7名であった。Zwift、ZOOMともトラブルはなくスタートの時刻を迎えた。

 スタート地点は「タイタンズグローブ」である。有名なセコイア国立公園のあるハイシエラからインスピレーションを得たというコースは、太古の密林をイメージしている。

 試しに「セコイア国立公園」をインターネットで検索してみると、確かに「タイタンズグローブ」の雰囲気に似た風景の写真が幾つか見つかった。

クリックすると元のサイズで表示します

 時折恐竜も現れる。マンモスサイズの岩と巨大なセコイアが、空想の島々からなるワトピアらしい、ファンタジックな世界を提示してくれる。

 アップダウンのあるコースであるタイタンズグローブを抜けていくと、道はやがて「Epic KOM」に差し掛かった。

 「Epic KOM」の計測区間は9.5kmである。平均斜度は4.0%であるが、これは終盤で何度か挟まる短い下りも含めた平均斜度であるので、上りだけであれば結構しっかりとした斜度がある。

 KOMの計測が開始されると、スマホの画面にはそのタイムが表示される。KOMのゴールであるアーチ迄は30分ほどかかる。

 斜度に応じてパワーの数値は上下する。平均200ワット程の出力で走っていくと、道の周囲の風景は変化していく。

 ヨーロッパの古い街並みを思わせる「ドイツ村」を抜けていき、さらに走っていくと、トンネルエリアに達する。

 そのトンネルエリアを過ぎると、ゴールが近づいてくる。周囲の風景も開けてくる。部屋の窓は開けて、扇風機も風を送り込んでいるが、汗が盛大に流れる。

 「クーラーが必要だったかな・・・」そんなことを思いながら、「Epic KOM」の終盤へ向かった。

 終盤には下りも何度か挟まる。その下りでは脚を少し休ませつつ、最後のスパートエリアに備えた。

 KOMのゴールが近づくと、ゴールの予測タイムが表示されるようになる。そのタイムと、現在の計測タイムとの差が残りタイムである。

 その残りタイムが1分を切ってくると、一気にパワーが上がってくる。そして最後の30秒ほどの間がスパート合戦になる。

 前回ここのスパート合戦で600ワットの出力を出した後、酸欠気味になって気分が悪くなってしまった。

 そのスパートエリアに入って出力をぐっと上げた。400ワット超えて、最大500ワットに達したが、前を行く2名をかわすことはできなかった。

 アーチを潜り抜けて乱れた呼吸を整えた。今日はKOMのアーチを潜った後に休憩することになっていた。

 クランクを回す脚を止めると、スマホの画面上のアバターもやがて止まり、左足をクリートから外して、地面に着けた。

2021/5/3

5541:ヴァーチャル  

 コロナウィルスの影響でチームでのロングライドが「リアル」から「ヴァーチャル」に変更されるのは3回目であったであろうか。あるいは4回目かも・・・

 チームのヴァーチャルライドは、ZwiftとZOOMを併用して行われる。Zwiftはスマートトレーナーの活用がマストアイテムではけっしてないが、スマートトレーナーを活用した方が、ヴァーチャルリアリティー度は確実に上がる。

 LOOK 785 HUEZ RSは2階に持って上げられて、スマートトレーナーに装着された。我が家のスマートトレーナーは、中国製の「ThinkRider」である。コストパフォーマンスの高さが魅力である。

 私はスマホでZwiftを行っているが、スマホでは少々画面が小さすぎる。できればタブレットかノートパソコンでZwiftを行った方が、画面が大きく解像度も高くなるので、その世界に入っていけるような気がする。

 ZOOMはノートパソコンで立ち上げる。以前古いノートパソコンを使っていた頃は、カメラが付いていなかったので、外付けのカメラを使っていた。またスピーカーやマイクの性能も今一つで、聞き取りにくかったので、マイク付きイヤホンを別途購入して活用していた。

 しかし、昨年末に新しいノートパソコンに換えたので、今はそういった外付けのものは不要になった。やはりパソコンは5年も経過するとすっかりと時代遅れになるものである。

 どちらも問題なく立ち上がった。今日のバーチャルチームライドのコースとして選択されたのは「MUIR AND THE MOUNTAIN」である。

 アップダウンが何度も繰り返される道が密林の中を走る「タイタンズグローブ」からスタートして、長い上りが続く「Epic KOM」を上り切る。

 その後さらに急峻な斜度が特徴のラジオタワーまでの上りを走り、一気に下る。そして再び「タイタンズグローブ」へ戻るコースである。

クリックすると元のサイズで表示します

 ハイライトはやはり「Epic KOM」である。30分ほどのタイムで走ることになるが、タイムアタックというよりも、最後のゴール前スプリント合戦をいかに征するかというゲーム性を有するKOMである。

 こういったゲーム性は「まとめる」機能が働いていることから生じている。バーチャルライドならではの楽しみともいえるであろう。

2021/5/2

5340:オンディーヌ  

 緊急事態宣言のなか始まったゴールデンウィーク・・・旅行や帰省は極力差し控えるようにと小池都知事は声高に話していた。

 昨年のゴールデンウィーク同様、旅行などの遠出はできない。しかし、一日中ずっと家に籠っているのも息が詰まるので、「近場なら少し出かけてもいいかな・・・」と思い、車に乗って国立市に向かった。

 道は空いていた。自宅から車で30分程度で国立駅の南口に達した。コインパーキングに車を停めて、少し歩いた。

 午後の早い時間帯である。少し強めの風は吹いていたが、まだ天気は良かった。天気予報によると夕方から天気は崩れるようであった。

 「もしかして休業しているかな・・・」と心配しつつ向かった先は名曲喫茶「無言歌」である。ここはしっかりとした味わいの珈琲を出してくれる。

 設置されているオーディオ装置は日本製の古いもので、どれも1970年代の製品である。性能面に関しては特に優れた製品ではないが、私のような年代の者には、かっての「オーディオブーム」の時代を思わせてくれる懐かしい機器たちである。

 「無言歌」は営業をしていた。ビルの2階にある店に入った。店内には2名の客が座っていた。それぞれ一人で来ている。

 私はオーディオ機器に近い二人掛けのテーブル席に座った。そして「本日のコーヒー」である「グアテマラ」を注文した。

 そして、私にとっては「初恋の人」ともいえるYAMAHA CA-V1の変わらない姿を目にした。YAMAHA CA-V1は、その当時の流行りであった出力レベルメーターが備わっていて、さらにラックに設置する際に手で掴むハンドルも両サイドの備わっていた。

 そのデザインは1970年代のYAMAHAらしく実によくまとまっている。さらに色が精悍なブラックで、その色合いとデザインが絡み合って、発売当時中学生だった私の心をつかんだ。

 レコードプレーヤは、プリメインアンプと同じくYAMAHAのYP-400である。こちらもその時代のYAMAHAデザインの粋を感じさせてくれる。

 そして、スピーカーはPIONEER CS-E700である。サランネットに覆われていてユニットの様子はわからないが、3ウェイスピーカーである。「オーディオブーム」の頃、3ウェイはもてはやされたものである。

 テーブルに運ばれてきたグアテマラコーヒーを一口飲んだ。果物を思わせるやや強い酸味と、花のような芳しい香りが特徴的である。

 先客の2名は初老の男性と20代と思われる若い女性であった。初老の男性はランチに来ているようで、この店の売りの一つであるカレーライスを食べていた。

 若い女性は珈琲を飲みながらスマホを熱心に覗き込んでいた。PIONEER CS-E700からはラヴェルのピアノ曲が流れていた。

 現在かかっているレコードのジャケットはレコードプレーヤの横に立てかけられている。そのジャケットを覗き込んだ。

クリックすると元のサイズで表示します

 そのレコードはペルルミュテルの演奏によるラヴェルのピアノ曲が収められたものであった。ちょうど「夜のガスパール」が流れていた。

 「夜のガスパール」は、ボードレールにも影響を与えたという夭折した無名の詩人アロイジュス・ベルトランの64篇から成る散文詩集のタイトルである。

 ラヴェルはこの中から幻想的で怪奇性の強い三篇を選び、その詩のイメージに大変な技巧を織り交ぜながら情熱的なピアノ曲に仕上げたのである。

 その最初の曲である「オンディーヌ」が店内に揺蕩うように響いていた。5月最初の日、名曲喫茶で「グアテマラ」を味わいながら聴く「オンディーヌ」は、より幻想的に感じられた。

 この店の暗めの照明もその演出に一役買っているようであった。そしてブラックのボディーを有するCA-V1のオレンジ色にうっすらと光る出力レベルメーターの針先の動きも、非現実的なもののように私の目には映った。 

2021/5/1

5539:スクラワン  

 「スクワランオイル」とワードを入れて検索すると、無数の美容液としての商品がパソコンの画面に表示される。

 スクワランオイルの原料である「スクワラン」は、鮫の肝臓から取れる肝油オイルである。肝油から抽出した状態は「スクワレン」といい、水素添加・精製したものを「スクワラン」というそうである。

 スクワレンは皮脂や脂肪組織に多く含まれる生体成分であるため肌へのなじみがよく、しかも肌にやさしいので、美容液として活用されることが多い。

 しかし、一般的ではない用途ではあるが、スクワランオイルはオーディオ用としても活用されることがある。

 我が家には相当前に購入した「磁気処理スクアラン TR-30」というオイルがある。トライアソシエイツというメーカーの製品であるが、現在は残念ながら生産されていない。

 オーディオ用には接点導通剤として使われる。我が家ではレコードプレーヤーの軸受けオイルとして活用している。

 軸受けオイルとして使用する量はごく少量であるので、一気に減ってしまうことはないが、いずれは無くなってしまうはず。

 「これに代わるものはないかな・・・」と探しているが、なかなか良いものが見つからないでいた。

 「スクワランオイル オーディオ」とワードを入れて検索してみるととある商品が見つかった。

 商品名は「CI-S100」。メーカはKURIPUTON。この商品は接点復活剤として販売されている。価格は2mlで3,000円ほど。

 成分はクラスターダイヤモンドとスクワランオイルとのこと。クラスターダイヤモンドはカーボングラファイトでコーティングした導通性を持つ直径15ナノメートルの黒色ダイヤモンドで、高硬度で耐摩擦性などに優れており、微小サイズのため固体潤滑材の効果も発揮するとのこと。

 スクワランオイルは粘度が低く、経時・温度変化による劣化が極めて低いオイルで、鉱物油や揮発油のように金属やプラスチックを侵すことはない。

 スクワラインオイルを塗布することで接点を洗浄し、更にクラスターダイヤモンドの微粒子が表面に付着して導電面積を増加させ、酸化と経年変化を抑える。

 「これって、軸受けオイルとしても使えるかな・・・」と思いながらその商品の説明を読んでいた。

 「しかし、本来はケーブルのプラグなどにごく少量使用するものなのであろう・・・」2mlで約3,000円という価格設定からしても、そういった使用方法を前提としているように思えた。

 「2mlか、Delphi6の軸受けオイルとして使用する量はそのくらいかな・・・もしそうであれば、1回のオイル交換で3,000円か・・・もしもとてもいい効果があるのであればいいけど・・・」と妄想が膨らんだ。

 軸受けオイルとしては「和光テクニカル ハイテク軸受けオイル チタン TI103MK2」を以前購入して使用したことがあった。こちらは10mlで2,000円であった。

 これもなかなかいいオイルであった。我が家のORACLE DELPHI6の軸受けオイルは1,2ケ月に1回ほどの頻度で交換する。

 現在は「TR-30」、「TI103MK2」そしてORACLEの純正オイルを交互に使っている。このローテーションに「CI-S100」を加えてみようかと思案している。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ