2021/4/25

5533:14番と13番  

 小暮さんが淹れてくれた珈琲を飲みながら、この威圧感をも感じるソナスファベールのエクストリーマを聴かせてもらった。

 最初に聴いたのは、ペルルミテールのピアノによるモーツァルトのピアノソナタ第14番であった。

 ROKSAN XERXES10に乗せられたその貴重なレコードの盤面にMC20の針先がゆっくりと降ろされていった。

 1950年代のレコードであるが、コンディションは比較的良い状態が保たれていた。モーツァルトとしては珍しく、重々しい厳粛な雰囲気で始まるピアノソナタである。

 ピアノソナタ第14番は、1784年、モーツァルトが28歳の時にウィーンで作曲された。ハ短調のこのピアノソナタは、悲劇的な様相を帯びている。

 早熟なモーツァルトにとっては円熟期と言ってもいい時代の作品であり、深遠にして清澄な神々しさをも感じさせる傑作である。

 エクストリーマで聴く、このハ短調のソナタは、「重厚」という言葉がまず浮かぶ。すでに製造から30年以上の年月が経過しているので、音の表面はこなれて柔らかく、音色は濃い。

 長い奥行きや背面のパッシブラジエーターが効いているのか、量感をともなった低音が音楽をしっかりと底支えしている。

 演奏者の存在が眼前に浮かぶように感じら、聴き手はその名手の演奏にすっと感情移入することができる。

 第3楽章まで通して聴いた。演奏時間は約20分間。ペルルミュテールはラベルの演奏で有名であるが、モーツァルトも素晴らしい。VOXレーベルから6枚のシリーズで出ているモーツァルトのピアノ曲全集はどれも素晴らしいレコードである。

 「実は今日神田神保町でモーツァルトのピアノソナタのレコードを買ったんです・・・リリー・クラウスの演奏のもので、これ聴かせてください・・・」と袋のなかから、購入したばかりのレコードを取り出した。

 かけてもらったのはピアノソナタ第13番である。さきほど聴いた第14番の一つ前のピアノソナタである。モーツァルトのピアノ・ソナタは18曲が残されているが、そのすべてが3楽章形式で書かれている。

 第13番 変ロ長調も同様に3楽章形式で書かれており、第1楽章から第3楽章を通して、明るさと美しさが表れている最もモーツァルトらしい曲の一つである。

 第14番の後に聴くと、その清澄な明るさがさらに際立って聴こえてくる。エクストリーマは、先ほどの重厚な雰囲気とは打って変わって、広い公園の広場を子犬が駆け回るような軽快さをもって、その音を部屋の隅々まで響かせた。

 ソナスファベールのスピーカーは楽器的な要素が強い。このエクストリーマも複雑に組み合わされたキャビネットや背面のパッシブラジエータが響き合い、重厚な雰囲気も甘美な明るさも上手に演出してくれる。

 エクストリーマの見た目はエレクタアマトールは随分と違うものがあるが、やはり紛れもなくソナスファベールのスピーカーであり、よりスケールの大きさをを感じさせる傑作であった。



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