2021/4/11

5519:幻想曲  

 MAGICOのスピーカーは、アルミニウムを使った堅牢な密閉型エンクロージュアと高剛性振動板を採用したユニットがその特徴であり、エントリーシリーズであるAシリーズでも同様である。

 A5は3ウェイ5スピーカーの構成であり、その重量は80kgを超える。とても一人では運べない重さである。重ければ良いというものではないが、つい「さすが・・」と思ってしまう。

 2本のA5の真ん中にはFM Acousticsのステレオパワーアンプが鎮座していた。FM Acousticsのアンプの価格は思わずそのプライスタグを二度見してしまうほどに高額である。型番は「FM411MkV」であった。神々しいまでのオーラを放つパワーアンプである。

 送り出しはPlayback Designsのセパレートである。グレーの独特の渋い色合いで滑らかな曲線をうまく使ったデザインである。

 そしてプリアンプはAyreのシルバーに輝くモデルであった。このシステム構成・・・まさにハイエンドの煌びやかさに溢れたオーディオシステムである。下世話な話にはなるが、このシステム、トータルでの価格は2,000万円ほどになるのではと推測された。

 試聴用のCDは大川さんが持ってきてくれた。まずはバッハのヴァイオリン協奏曲第2番の第1楽章と第2楽章を聴いた。

 A5はフォーカスのびしっと合った明晰な音を聴かせてくれた。音が出た瞬間から「これぞ・・・ハイエンド・・・」と思わせるクォリティの高さをひしひしと感じた。

 これはFM Acousticsのパワーアンプの効果もあると思われるが、明晰であるが決して冷徹になることはなく、音楽性を損なうことはない。

 空間表現に関しては最新のハイエンドスピーカーらしく、奥行き方向に深いサウンドステージが形成される。

 試聴室はQRDや日本音響エンジニアリングの音響整備器具が背面に数多く設置されている。奥行き深い空間表現は、その効果もあるのであろう。

 続いてベルリオーズの「幻想交響曲」から第5楽章を聴いた。編成がより大きくなるとA5の真価はさらに発揮されるような気がした。

 オーケストラの低弦群の厚みのある響きが魅力的である。A5はウーファーが3つ並んでいるが、その効果はやはり低域の量感に如実に表れるようである。

 第5楽章の半ばあたりに登場する「鐘」の音は鮮烈で、その音響的な効果は素晴らしいものであった。クライマックスに向けて激しさを増していっても混濁する感じがないのはさすがに上級機である。音量は結構大きめであったが、ゆとりがありうるさい感じがしない。

 最後にかかったのは、ピアノ曲であった。モーツァルトの幻想曲ハ短調 K.475であった。ピアニストはアンドレイ・ピサレフ。

 冒頭のテーマは、まるで何かを引きずって行くかのように重々しいアダージョで始まる。その後もこの音型は3回繰り返される。

 テーマの展開が始まり、フォルテとピアノの対比、微妙な転調によって緊張感が途切れることなく持続され、その後どこかから光がすっと射し込むかのようにニ長調の新しいテーマが奏される。やがて今度はいきなりアレグロに転じ、興奮が高まっていく。

 12分ほどの幻想曲は、時に重厚に時に軽やかにその姿を変化させながら収束した。店の方とA5の感想を述べ合った。そして予定の時間は過ぎ去った。試聴の機会をもらった礼を言って、そのショップを後にした。

 田端駅まで歩く間、大川さんと感想を述べ合った。大川さんは「やっぱりスケール感というか重厚感は、2割増しって感じだったね・・・駆動しているアンプが別物だから単純に比較はできないけれど・・・」と話されていた。

 私は「確かにFM Acousticsのアンプはかなり強力ですからね・・・しかし、FM Acousticsのアンプに負けないくらいの存在感をA5は持っていました・・・」私は一見不愛想にも見えるほどに冷静沈着な面持ちのA5の姿を再び脳裏に思い浮かべていた。  



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