2021/3/31

5508:回復  

 限界を超える強度でスプリントしたためか、「Epic KOM」のゴール後貧血気味になって気分が悪くなってしまった。
 
 「すみません・・・ここで休憩します・・・先にラジオタワーに上っていてください・・・」と、メンバーにZOOMで告げて、ロードバイクを降りた。

 その場の床に横になった。主寝室であるためベッドの端に両足を乗っけて、心臓よりも足が上にくるような態勢でしばし休息した。

 私は貧血体質のようで、頻繁ではないが、時々貧血気味になる。立ち眩みに見舞われることもある。

 週に3回のトレーニングを始めてもうすでに7,8年にはなるが、トレーニングの時には汗が大量に流れるので、鉄分が汗とともに流出して不足気味になっているのかもしれない。

 「レバーやホウレン草をもっと食べたほうがいいのかも・・・あとアサイードリンクも日常的に飲もうかな・・・」

 そんなことを思いながら3分ほど足を上にして床に転がっていると、貧血の症状はすっと治まっていった。

 床から這いあがって再びLOOK 785 HUEZ RSに跨った。この先のラジオタワーへ向けてクランクをゆっくりと回し始めた。

 ラジオタワーへの道は急峻な上り坂である。斜度を示す数値は12%〜14%といった数値が続いた。ゆっくりとクランクを回して、歩いたほうが速いのではと思えるスピードで少しづつラジオタワーへ近づいていった。

 ようやくラジオタワーに着いた。先に着いていたメンバーは待っていてくれた。「じゃあ・・・休憩しましょう・・・」ということになり、1階へ降りて行って、補給食を摂った。

 ダイニングテーブルには妻が子供たちに作ったホーットケーキの一つが半分残っていた。「これ食べていい・・・?」と確認して、バターが塗られただけのホットケーキの上にブルーベリージャムを追加トッピングして、食べた。

 休憩後はラジオタワーからの長い下りを下った。今日はスマートトレーナの具合がちょっとおかしかった。

 斜度に対するスマートトレーナーの反応が極端すぎるのである。斜度が緩むと不自然なほどにクランクが軽くなりパワーがいきなり急降下する。

 そこから斜度が上がると、クランクは「ここまで重くなるか・・・!いくらなんでもやりすぎでしょう・・・」というくらいに重くなり、パワーの数値は一瞬ではあるが見たこともないくらいに大きな数値になる。

 「なんじゃこりゃ・・・?」という感じになるが、それもすぐに元に戻る。スマートトレーナーの電源を一旦切って、立ち上げ直せば解消するかもしれないけど、「まあ・・・いいか・・・」という感じで、急激に軽くなったり重くなったりするクランクに苦笑しながら「Three Sisters」の後半のコースをこなしていった。

 「三姉妹」の最後である「Volcano KOM」に差し掛かった。「Volcano KOM」の距離は3.8kmである。上り切るまでのタイムは9分ほどかかる。

 隊列の中ほどで上っていき、最終盤になって前に出ようとした。ここでもスプリント合戦に参加したが、「Epic KOM」でのこともあり、やや抑えめにクランクを回して、アーチの下を潜り抜けていった。

 これで三つの「タスク」は無事にこなした。残り距離は10qほどである。その半分は下りで、その先はフラット。軽めのクランクを高めのケイデンスで回していって、今日のコースの終盤を走り終えた。

 今日のバーチャルチームライドはスマートトレーナーの具合がちょっとおかしかったり、スプリント後に貧血に見舞われたりと、いろいろあったが、どうにか無事に終えることができた。

2021/3/30

5507:酸欠  

 スタート時間の10秒前になると電子音によるカウントダウンが始まる。電子音が10回響いた後、8台のロードバイクは解き放たれて、スタートした。

 今日のバーチャルチームライドのコースとして選択されたのは、「Three Sisters」である。直訳すると「三姉妹」である。

 その三姉妹は「Zwift KOM」、「Epic KOM」そして「Volcano KOM」の3つのKOMを示している。その距離は順に0.9km、9.5km、3.8kmと変化する。

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 メインとなるのは「Epic KOM」である。「Epic KOM」を上った後はさらにその先のラジオタワーまで上り切り、そこで一旦休憩をする予定であった。

 スタートしてほどなく「Zwift KOM」の計測が始まった。とても短いKOMで、実質的にはスプリントポイントと言う感じである。脚がまだ十分に暖まり切らない感じではあったが、ゴールを示すアーチが視界に入ってくると、反射的にスパート態勢に入った。

 ここは「脚試し」的な感じでアーチを潜り抜けた。ぐっと上がった心拍数を落ち着かせるようにペースを落としてその先を走っていった。

 Zwiftらしい幻想的な風景の中を通り過ぎると今日のメイン峠である「Epic KOM」に達した。KOM計測区間の距離は9.5q、チームで走るとタイムは概ね30分かかる。

 バーチャルチームライドでは「まとめる」機能が働いているので、先頭を引くメンバーは後ろに引っ張られ、後方を走るメンバーは前に引っ張ってもらえる。

 「前半は先頭を引いて、後半は後ろで休もうかな・・・」と思い、前半の15分間は先頭位置で重くなったクランクを回し続けた。

 サイコンに表示されるパワーの数値は「200〜220ワット」であったが、後ろに引っ張られるため脚が重い。体感的には240ワットぐらいでクランクを回している感じであった。

 体に鉛のベルトを巻かれているような感じでクランクを回し続けていくと、汗がだらだらと流れてくる。まだ3月ではあるが、気温は高めに推移している。

 15分が経過したので「ちょっと休もう・・・」と思い、後ろに下がっていった。後方に達するとパワーを相当下げてもトレインから離れることはない。

 きっと先頭は250ワット程で一番後方は150ワット程で走り、真ん中は200ワット程という負荷分担というイメージである。

 「ドイツ村」を抜け、さらに長いトンネルを抜けると、「Epic KOM」も終盤に入ってくる。終盤に入ると最後のゴール前スプリントに向けて緊張感が高まってくる。

 私も後方から前に出て、良いポジションにつこうとするが、ペースが速くなっているので、そう簡単には前に出れない。

 KOM計測区間が残り少なくなると、ゴール予測タイムが表示される。現在のタイムも表示されているのであとどのくらい高負荷に耐えればいいかが分かる。

 その残り時間が2分を切り、さらに1分を切ると、皆高いパワーウェイトレシオでゴールを目指しはじめる。

 そして残り40秒ほどになったところでゴールであるアーチが見えてきた。ここから一気にスパートした。

 前には3名のメンバーが走っていた。一人かわし、二人かわした。残りは一人。その背中の先のアーチが大きくなってきた。

 最後の最後でさらにパワーを上げてゴール直前でその脇を抜けた。「Epic KOM」をゴールして、脚を緩めた。

 するとちょっと気分が悪くなってきた。「まずい・・・酸欠というか・・・貧血っぽい・・・」この先はさらにラジオタワー迄の急峻な上りが待ち構えていた。

 「ラジオタワーを上るのは無理そうだ・・・」と判断して、「すみません・・・少し休みます。ラジオタワーに先に上っていてください・・・」とZOOMで連絡した。  

2021/3/28

5506:降水確率  

 3月からは「実走」でのロングライドが再開された。しかし、先週の日曜日は降水確率90%とのことであったので、前日にリーダーからメールがあり、バーチャルチームライドに切り替わった。

 今日の天気予報は微妙であった。午前中の降水確率は50%、午後になると数値が上がって70%であったのである。

 「どうなるんだろう・・・昼頃には雨に降られそうだな・・・」と思いながら「リアル」を想定して、6時にベッドを出た。そして1階に下りていって窓から空を見上げた。

 どんよりとした灰色の雲が空を覆っていて、いつ雨が降り出してもおかしくない感じであった。「午後からの降水確率が高いから、早めに戻ってこられる短めのコースになるだろうな・・・とすると『時坂峠』であろうか・・・」と思っていた。

 スマホをチェックすると、リーダーからのTwitterがあった。そこには「本日のロングは天候を考慮して中止し、バーチャルライドを行います。」とあった。

 「バーチャルに切替か・・・じゃあ、スタートまで時間があるからのんびりできるな・・・」と思い、テレビを観ながら、ゆっくりと休日の朝食を摂った。

 しばらくしてメールを確認すると、リーダーからのメールが来ていた。バーチャルライドのコースはWATOPIA内の「Three Sisters」を選択したことが記されていた。またZOOMの接続アドレスも記されていた。

 6時半からフジテレビでやっている「はやく起きた朝は・・・」を観終わり、そのあとの「僕らの時代」も全部観た。7時半になったので準備に取り掛かった。

 1階に下ろされていたLOOK 785 HUEZ RSは後輪を取り外されて、2階の主寝室に移動された。そしてスマートトレーナーに固定された。

 ノートパソコンやスマホも所定の位置にセットされた。まだ8時前である。スタートまで30分以上の時間がある。「じゃあ軽く漕いでいるかな・・・」と思い、サイクルウェアに着替えて、ロードバイクにまたがった。

 そしてスマホでZwiftを立ち上げて、コースを選択した。MEET UPのスタート時間の15分前になると画面に「MEET UPに参加する」という表示が出る。その表示をクリックするとMEET UPのスタート地点にワープする。

 それまでの時間「FRANCE」の中のフラットな周回コースをゆったりとしたペースで走った。スタートの15分前になるとスマホの画面の左下に「MEET UPに参加する」という表示が出たので、それをクリックした。

 するとZwiftの画面は「FRANCE」から「WATOPIA」にワープして、今日のコースである「Three Sisters」のスタート地点に私のアバターはスタンバイした。

 スタンバイ状態でしばし脚を回していた。スタートまで10分ほどになったので、パソコンでZOOMを立ち上げて、「ミーティングに参加」をクリックした。

 「おはようございます・・・」と挨拶した。「どうですか、雨降ってますか・・・?」とリーダーに訊かれたので、窓から外を眺めたが、東大和市は雨はまだ降っていなかった。

 しかし、小平市や国分寺市は降っているようであった。「路面が結構濡れている・・・」とのことであったので、バーチャルへの切り替えは正解であったようである。

2021/3/28

5505:ピッチャー  

 pontaさんがお使いのスピーカーは、ユニットとしてMarkaudio製のフルレンジユニットを使っている。そのユニットはとても小さい。

 その小口径のユニットは、細長いトールボーイタイプの専用キャビネットに迎え入れられている。ダブルバスレフ方式のキャビネットは細長く華奢である。

 Markaudioについては、pontaさんのお宅にお邪魔するまで全く知識がなかったが、自作派のオーディオマニアの間ではかなり以前から話題に上っていたようである。

 Markaudioは1999年にMark Fenlon氏によって、スピーカーユニットの設計製造メーカーとして設立されたとのことであるので、すでに20年以上の歴史を有する。

 非常に繊細で音楽性豊なサウンドを再生する新しい世代のスピーカーユニットとして人気を集め、日本でも使用される方が増えているようである。

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 そのとてもスリムなスピーカーを駆動するのは、マランツ製の一体型CDプレーヤーとプリメインアンプである。

 最近マランツのデザインは一気に新しく斬新なものに変更されたが、pontaさんのリスニングルームにあるものは従来型のデザインのもので安心感をもたらす造形である。

 それらは特製のオーディオラックに収められていて、それぞれノイズカットトランスを経て電源が供給されている。

 そのノイズカットトランスに関して、最近トピックがあったとのこと。電研精機のノイズカットトランスをCDプレーヤーに新たに使用すると、ぐっと音の質感が上がったとのことである。

 プリメインアンプには別のノイズカットトランスが使われているが、こちらも電研精機のものに近いうちに取り換える予定とのことである。

 電研精機のトランスに関しては、私は全く知識がないのであるが、一部のオーディオマニアの間では、かなり盛り上がっているとのこと。

 「そうか・・・ノイズカットトランスか・・・電源環境は大事だかな・・・」とオーディオの縁の下の力持ちである電源の大切さを、改めて認識した。

 さて、クラシックのCDを中心にponta邸のオーディオを楽しませていただいた。まずはWOLFGANG RIHMの現代曲からというちょっと変則的な始まり方をして、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲とつなぎ、リヒャルト・ストラウスのアルプス交響曲に達した。

 Markaudioのユニットを使ったスピーカーは音離れが良く、スピード感がある。ためらいのない音の出かたは、撥弦の弾む感じや金管楽器のきらめき感が得意である。打楽器も得意分野で気持ちが良い。

 この3曲では、最初のWOLFGANG RIHMの現代曲との相性が一番良いような気がした。中継ぎは、ドビッシーの「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」から・・・どこかしら東洋的な雰囲気を有する曲である。これも相性抜群・・・「最初の現代曲も東洋的な響きを有していた・・・そういった響きとMarkaudioは相性が良いのかも・・・」という気がしてきた。

 次は変化球。ポピュラーであった。The Real Groupの「In The Middle Of Life」からアカペラの曲が流れた。この変化球は切れが実に良かった。思わず「こういうのも得意ですね・・・合います・・・」と唸った。

 中継ぎ陣の後半はムターのヴァイオリンによる「悪魔のトリル」。アバドの指揮による「幻想交響曲」と「直球勝負」へと繋いだ。

 そして終盤のリリーフは、私が持参したCDから2曲を聴かせていただいた。ドニゼッティのオペラ「アンナ・ボレーナ」より「あなたたちは泣いているの?」を、そしてもう1曲、バッハのヴァイオリン協奏曲第1番から第1楽章を流してもらった。

 こちらも破綻なくこなす。どちらかというとドニゼッティが合っている。東洋的な響きの現代曲、ドビッシーの変則的ソナタ、アカペラのコーラス、そしてドニゼッティのアリア・・・どちらかというと、Markaudioは変化球の切れのいいピッチャーなのかもしれない。そんなことを話して、しばし二人のおやじは「オーディオ談議」に花を咲かせた。

 今年10歳になる猫の「Hanakoさん」は、そんなおやじ達の「オーディオ談議」には全く関心を示すことなく、窓の外の春の空を見あげていた。
 
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2021/3/27

5504:現代アート  

 「クラシックは一枚もない・・・何度か聴かせてもらったけど、よくわからないジャンルでね・・・」とPaoさんが評されていたダイナミックさんの普段よく聴かれているレコードを早速かけていただいた。

 KENWOODのレコードプレーヤにまずセットされたのは、BRIAN ENOの「ANOTHER GREEN WORLD」であった。

 「あれっ・・・ENOですか・・・そう来ますか・・・」と内心少々驚いた。かかったのはそのA面の1曲目である「Sky Saw」であった。

 音は隈取のきりりとしたクリーンな音である。私は少々驚いていた。オーディオの音うんぬんというよりも、オーディオ関連のOFF会でBRIAN ENOが聴けるとは、まさに「想定外」であった。

 Paoさんが「よくわからないジャンル」と評したのもうなずけた。しかし、これによりダイナミックさんは、単に「オーディオの人」ではないということが、はっきりと分かった。

 「かっこいいですね・・・ENOの最高傑作ですからね・・・」と私が小さく呟くと、ダイナミックさんは嬉しそうに微笑んだ。

 Paoさんは「なんだかな・・・・」という表情をさせれていたが、ダイナミックさんは私の受けが良かったのが嬉しかったようで、次に選択したレコードは、さらに少しハードルを上げてきた。

 NEUの「NEU2」からこちらもA面の1曲目の「Für Immer」が流れた。11分という長い曲である。Paoさんの苦虫を嚙み潰したような表情が印象的ではあったが、私の心のテンションはさらに上がった。

 KENWOOD、AUREX、Lo-DそしてPIONEERという日本が誇るメーカの堅実なオーディオ機器たちはしっかりとした仕事をしていた。まさに「仕事人」の仕事である。信頼感があるこれらの機器たちは良いチームワークで仕事をこなしていた。

 3枚目にダイナミックさんが選択したレコードは、CANであった。レコードは「EGE BAMYASI」・・・この中から2曲が選ばれた。

 「Sing Swan Song」と「Vitamin C」である。錯乱して失踪してしまったという逸話を有するボーカルのDAMO SUZUKIのうねるような歌声に合わせて、サイケデリックなリズムがかぶさる。独自の味わいはかなり「癖が強い!」・・・Paoさんはほぼ完全に白旗を上げているような雰囲気であった。

 そして最後の4枚目に選ばれたレコードは、Fripp & Enoの「Evening Star」であった。それを見て「渋い・・・渋すぎる・・・」と思った。

 そして、その曲を聴いた。絶え間なく流れるその幻想的ともいえる響きの饗宴に浸かり切っていると、目の間で静かに佇むAUREX SY-Λ88UとLo-D HMA-9500mkUの姿が、一種の現代アートのようにも見えてきてしまった。

2021/3/27

5503:バーチカルツイン  

 ダイナミックさんのリスニングルームはリビングルームを兼ねている。部屋の広さは12畳ほどであろうか。革製の古いソファセットが置かれていて、テレビやサイドテーブルも綺麗にしかるべき位置に設置されている。

 オーディオセットはこの部屋の主役という感じで、ソファセットの正面にセットされていた。ADK製の2段のオーディオラックが2台並び、向かって左側のラックの上段にはAurex SY-Λ88Uが置かれ、その下段にはLo-D HMA-9500mkUが静かに佇んでいた。

 久々に目にするこれらの古い銘機は、相変わらずクールな面持ちであった。Paoさんのところで初めて目にしたのはもう15年ほど前のことになる。

 これらの日本製の銘機は、華やかなりし頃の日本のオーディオ業界のエネルギー感を実によく体現している。

 向かって右側の2段ラックには、その上段にKENWOODのレコードプレーヤーがあった。真っ黒で精悍ないでたちである。

 型番を確認すると、「これはKENWOODのKP-1100です・・・高剛性を追求した正攻法のレコードプレーヤーで、外観はそっけない感じですが、『質実剛健』という風情が気に入りました。1980年代の半ばの発売だったと記憶しています・・・」と、ダイナミックさんは説明してくれた。

 さらに「カートリッジは、DENON DL-303です。1979年の発売ですからかなり長い間使ってますね・・・針交換を何度もしました。別のものを試したこともあるんですが、結局これに戻るという繰り返しで・・・・そして下の段に置いてあるのが同じくDENONの昇圧トランスで、型番はAU-103です。」とカートリッジと昇圧トランスについても語ってくれた。

 そして、その2台のラックを真ん中にして2本のトールボーイタイプのスピーカーがセットされていた。

 そのスピーカーのネットには「PIONEER」のエンブレムが飾られていた。おそらく1980年代の製品と思えるけど、見たことのないモデルである。

 「スピーカーですけど、PIONEERのS-1000twinです・・・これは実はバーチカルツインなんです・・・」と言って、ネットを取り外してくれた。

 ネットの下には、トゥイーターを中心に2つのウーファーが上下に配置されていた。バーチカルツインは、低域から高域までの全域の音がトゥイーターを中心に放射されるため、豊かな音場感や明確な音像定位が得られる。

 「低域には20cmのコーン型ウーファーが2個、高域には3cmドーム型トゥイーターに、イタヤカエデ積層板削り出しによるダイレクターが採用されています。」

 ダイナミックさんは自慢の息子を紹介するかのように、丁寧に説明してくれた。「バーチカルツインか・・・やっぱりかっこいいね・・・この形・・・」と隣に座ったPaoさんはぼそっと呟いた。

2021/3/26

5502:本川越  

 Paoさんは相当長い期間、プリアンプとしてAurex SY-Λ88Uを、そしてパワーアンプとしてLo-D HMA-9500mkUを使われていた。

 Aurex SY-Λ88Uは、1981年の発売、そしてLo-D HMA-9500mkUは1982年の発売である。Paoさんは、新品で買われたと話されていたのでどちらも30年以上の長きにわたって使われてきたことになる。

 Paoさんのお宅では、数年前にそれらの日本製のセパレートアンプはMark Levinsonのプリアンプとパワーアンプに置き換わった。

 「SY-Λ88UとHMA-9500mkUは、古くからの知り合いに譲った。特にオーディオマニアというわけではないのだけど、欲しいとのことだったのでね・・・」とPaoさんは語っていた。

 今日はそれらの銘機がPaoさんから譲られた先であるダイナミックさんのお宅にPaoさんと一緒に伺うことになった。

 西武新宿線の東村山駅でPaoさんと待ち合わせて、西武新宿線の終点駅である「本川越」まで電車に揺られた。

 「区役所の同期でね・・・オーディオにはそんな拘っていたわけではないけど、ずっと使っていたプリメインアンプの調子が悪くなってきたって話をしていたので、譲ることになったんだ・・・」

 「使っていたプリメインアンプはONKYO Integra A-817GTだったから、まあまあ良いものだったんじゃないかな・・・」

 「聴くのはレコードのみで、レコードが棚に沢山あるけど、クラシックは1枚もない。聴かせてもらったことが何度かあるけど、よくわからないジャンルでね・・・まあ、そんな感じ・・・」

 電車の中では皆マスクをしている。平日の午後なので、電車は空いていた。そののんびりした空気が流れる電車内で、Paoさんと話していると、やがて終着駅である「本川越」に電車は到着した。

 今日も春らしく暖かい。駅前は結構にぎやかである。「川越ってこんなににぎやかな街だったんだ・・・」と思いながら、駅を背にして10分ほど歩くと、「本川越病院」という大きな病院が見えてきた。その裏手にある一軒家がダイナミックさんのお宅であった。 

 門扉の脇にあるチャイムをPaoさんが鳴らすと、返答があった。ややあって玄関ドアが開いてダイナミックさんが我々二人を出迎えてくれた。

 私は初めてに訪問であるので「初めまして・・・」と挨拶した。ダイナミックさんは短い角刈りの髪形で小柄である。目がぎょろっとしていて、若いころは威勢が良い感じだったであろうと推測される容姿であった。

 「どうも、どうも、遠いところを・・・」とダイナミックさんは家に迎えてくれた。ダイナミックさんはPaoさんと職場の同期ということであるので年齢は63歳ぐらいであろう。定年退職後は週に4日区役所で嘱託職員として働いていらっしゃるようである。今日は仕事が休みとのことであった。

2021/3/25

5501:308  

 プジョーはそのデザインが周期的にアグレッシブとコンサバとに入れ替わるような気がする。現在はアグレッシブな方向にモデルチェンジごとに向かっている最中である。その前の時期は比較的オーソドックスなデザインが主流であった。

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 プジョーは2021年3月18日に、フォルクスワーゲン ゴルフと同じCセグメントに属する308の新型を発表した。

 「その写真を見て、かなり攻めてるな・・・」という第一印象を持った。現行型の308は比較的オーソドックスな造形を持っていた。

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 新型も5ドアハッチバックとしての全体のシルエットに大きな変化はないが、フロントフェイスの印象は随分と変わった。

 508から採用され208でも継承された「牙」のようなデイタイムランニングライトが308にも採用されて、そのフロントフェイスを特徴づけている。

 「ライオンの牙」をイメージした造形なのかもしれないが、最初508で見た時には頬の傷跡のようにも見えた。

 さらにグリルも大きく意匠変更があった。新デザインのエンブレムが初採用されており、そのエンブレムに向かって収束する意匠のフロントグリルは、ブラックアウトされていて、かなり精悍な印象である。

 イメージカラーとしてグリーンが採用されいる。その斬新な造形とグリーンのイメージカラーが妙に脳裏に焼き付く感じである。

 インテリアはプジョーらしいものであり、特に大きな変更点は見当たらない。私は実際に操作したことはないが、そのハンドルに関しては多少違和感がある。

 低い位置にあり上下がカットされたような小径のハンドルの操作性に関しては良いようにはどうしても思えない。

 メーター類はハンドルの上から見ることになる。最初はきっと違和感ありありだと思うのであるが、慣れると何ともなくなるのかもしれない。

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 主戦場であるヨーロッパではフォルクスワーゲン ゴルフと真っ向勝負をしている308である。新型ゴルフも「結構攻めているな・・・」とその姿を見て思ったが、新型308も「それ以上に攻めているかも・・・」という印象を持ったのである。

2021/3/24

5500:高速巡行  

 「Epic KOM」を上り終えたところでクランクを回す足を止めた。するとZwift上のアバターも止まり、左足を地面に着けた。

 「ここで休憩しましょう・・・」ということになった。すると「あれ・・・あれれ・・・」という一人のメンバーの声がZOOMから漏れ出てきた。

 どうやらこの先「ラジオタワー」まで上ると勘違いしてクランクを回していたメンバーのアバターが下り始めてしまったようである。

 Zwiftではブレーキ機能はない。下りを走り始めてしまうと脚を止めていてもアバターは惰性で走り続けてしまう。

 「途中の上り返しの前で止まるでしょう・・・」と、そのまま休憩タイムとなった。私はタオルで汗を拭いながらロードバイクを降りた。

 1階まで行って、ボトルにミネラルウォーターを補給して、さらに補給食を物色した。ソファーテーブルにはお菓子などの入った木製の大きな皿が置かれている。その中から小分けに包装されている「レモンケーキ」を選択した。

 黄色いパッケージには「広島レモンケーキ」と大きく印刷されていた。その包装を開けてレモンケーキを三口ほどで食べきった。しっとりとしたバターケーキの上にレモンの薄切りが乗っていて、甘みとレモンの酸味とほろ苦さが絶妙なバランスであった。

 「後半はのんびりと走ろうかな・・・」と思いながら2階へ向かい、部屋の窓のうち二つを開けてから、再びLOOK 785 HUEZ RSに跨った。

 全員準備完了した段階で、リスタートした。後半は下りから始まる。重力に任せて軽めにクランクを回しながら、下っていった。

 10qほど下って行くと、「ジャングルプープ」と呼ばれるエリアに入った。ここはアップダウンがあり、上りになると負荷が上がり下りでは下がる。

 そのエリアを抜けると、海岸地帯を走る。幾つかの小さな島を繋いでいる橋を渡るのであるが、ここから道はフラットである。

 フラットなコースに入ると、ペースは高めに固定された。スピードは常に35km/h前後で推移し、高速巡行状態に入った。

 スマホに表示されるワット数も200ワットを超える数字が並ぶようになった。「高速巡行」で終盤の10kmを走った。

 「今日のコースの終了手前にアーチがありますから、そこでスプリントをしましょう・・・」ということになり、そのアーチを目指した。

 そして、そのアーチが見えてきた。そこへ向けてスパート合戦が勃発・・・長めの高速巡行で脚が心許ない状況であったが、「これが最後・・・」と思うと脚が回った。

 アーチを潜り抜けた。あとは今日のコースの終了地点を示す青白く光るラインまでゆっくりと走った。

 今日のバーチャルライドは、当初想定した以上にハードな内容になった。良いトレーニングにはなったが、体に蓄積された疲労度は「実走」でのロングライド並みに高いものであった。

2021/3/23

5499:KOM  

 Zwiftのスタート地点に8台のロードバイクに跨ったアバターが揃った。スタートの時刻である8時半の10秒前になると、電子音によるカウントダウンが始まった。

 そして、スタート・・・白く光る固定式ローラー台に固定されていたロードバイクは、解き放たれて、コースに出た。

 全員無事にスタートできた。Zwiftのミートアップを始めた初めの頃はスタート時に走り出せないメンバーが出るというトラブルがかなりの頻度で出たが、今ではほとんどそういったシステムトラブルは生じなくなった。

 今日のバーチャルチームライドのコースである「Bigger Loop」の距離は53.7kmで、獲得標高は692mである。

 このコースのハイライトである「Epic KOM」を走り終えたところで一旦休憩する予定であった。スタートしてから「Epic KOM」までの15kmほどはほぼフラットである。

 ゆっくりとしたペースで走り始めた。時間が経過してきて脚の回りがスムースになるに従って、コースが平坦であることもあり、ペースはやや速めの巡航ペースに移っていった。

 サイコンに表示されるパワーの数値は170ワット前後である。その負荷で走り続けていくと汗がじんわりとしみ出してきて、やがて顎から滴り落ちるようになってきた。

 ほぼ一定の負荷で走っていくと、急激ではないが、脚の充電量もじわじわと減っていった。「『Epic KOM』ではさらに負荷が上がるから、前半だけでもお腹いっぱいになりそうだな・・・」そんことを思いながら走っていくと、「Epic KOM」のスタート地点に達した。

 「Epic KOM」の距離は9.5kmで、平均斜度は4.0%。タイムは30分ほどと予想される。KOM区間は200〜230ワットの負荷で走ることになる。

 「Epic kOM」は終盤では下りも入ってくるが、それまでは斜度はしっかりとしている。延々山のなかを走るというわけではなく、「ドイツ村」と呼ばれる古いヨーロッパの集落を思わせる優雅な地帯を抜けていったり、長いトンネルを潜ったりと、退屈にならないように、Zwiftらしく趣向が凝らされ風景が出迎えてくれる。

 汗は盛大に流れ始めた。脚の疲労度もぐんぐんと上がってくる。短くもなく長すぎるわけでもない「Epic KOM」は、ようやく終盤に入ってきた。

 終盤では短いアップダウンが3回繰り返される。その後はゴールまで上り切る。周囲は山の頂上らしく開けてくる。

 「もうすぐ終わる・・・」ということを心のよりどころにして、「Epic KOM」の最後を高めの負荷で走った。

 ゴールを示すアーチが見えてきたところでお約束のスパート合戦に突入した。「ハア・・・ハア・・・ゼイゼイ・・・」という感じで乱れた呼吸をまき散らしてアーチを潜り抜けた。 



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