2020/8/8

5266:銀箱  

 グールドさんのリスニングルームにたどり着いた。そしていつものように革製のリクライニングチェアに腰かけさせてもらった。

 リスニングポイントから見て正面にはグールドさんのオーディオシステムが綺麗に並んでいる。その要となる2台のWilso Audio CUBは艶やかな漆黒の色合いを見せていた。

 しかし、「見慣れた風景」とは明らかに違った点が一つあった。それはイタリアのMUSIC TOOL社製の3段ラックの最上段に設置されているCDプレーヤーであった。

 従前はKRELL CD-DSPが置かれていたが、今日はもっとコンパクトなCDプレーヤーがその位置にあった。

 「やっぱり、見た目的にはちょっと違和感というか、『よそ者』感がありますね・・・」私は、感じた違和感を遠慮なく口にした。

 「そうですよね・・・今まではKRELLで統一されてましたからね・・・色合いもサイズもきちっと揃っていたので、このCDプレーヤーだとちょっと浮いた感じになりますよね・・・」

 MUSIC TOOL製のラックの最上段に鎮座していたのは、LINN IKEMIであった。色はブラックではなく、シルバーである。

 いわゆる「黒箱」時代のLINNの製品の1つである。そのサイズはとてもコンパクトにまとめられている。その横幅は、標準的なサイズのコンポーネントに比べて10cmほど短い32cmしかない。奥行きも同じで上から見ると正方形である。

 「黒箱」の標準色はもちろん「黒」であるが、モデルによっては「シルバー」の設定もあった。こちらは「銀箱」とでも呼ぶべきであろうか・・・

 実はグールドさんのCD-DSPは2回目となるピックアップ交換のために現在入院中である。1ケ月ほどで戻ってくる予定であるが、「その間ずっと音無し生活は辛い・・・」とのことで、つい最近ヤフオクでLINN IKEMIを落札されたのであった。

 落札価格は約12万円とのこと。「CD-DSPが戻ってきたら、ベンチを温める補欠として持っておくか、もしくはヤフオクで処分しようかなと思ってね・・・それほど差損は出ないはずだから・・・」とグールドさんは笑われていた。

 ということで、今日は通常のラインナップではないグールドさんのオーディオシステムの音を堪能できることとなった。

 ちなみに、グールドさんによると「IKEMI」は「アイケミ」と発音するようであるが、日本人女性の名前にみかける「あけみ」を基に付けられた製品名であるとのことである。その当時のIKEMIの兄弟モデルに「GENKI」があるが、こちらは日本語の「元気」が基とのこと。

 IKMEIの発売は1999年である。すでに20年ほどの年月が経過している。その当時の販売価格は60万円であった。見た目だけからすると60万円もするCDプレーヤーに見えない。そのあたりがいかにも英国を感じさせるところである。

 早速1枚目のCDがIKEMIのアルミ製の薄く精巧なトレイに乗せられた。当然のようにグレン・グールドの演奏によるバッハのゴールドベルグ変奏曲のCDである。



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