2020/7/5

5232:豊穣とパッション  

 ZwiftとZOOMを活用したバーチャルチームライドでたっぷりと汗をかいた後に、その汗をシャワーで流し去って、すっきりとしたところで、自宅を後にした。

 今日の午後はオーディオのOFF会の予定が入っていたのである。最寄り駅の改札で待ち合わせたのはハンコックさんである。ハンコックさんはもっとも古いオーディオ仲間である。

 ブログを通じて知り合った14年前と同じWILSON AUDIOのWatt2Puppy3を使われている。オールド・レビンソンでスピーカーは駆動され、送り出しはOracleとELACの二刀流である。メインジャンルは50年代のジャズ。実に素晴らしいジャズのレコードコレクションをお持ちである。

 ジャズのレコードコレクターの方の熱量は凄い。お宝盤が放出される日には早朝からレコード店に並ばれるようである。

 予定時刻に無事に合流して近況を報告しあいながら徒歩で向かった先は、Naruさんのリスニングルームである。

 前回お伺いしたのはもう3年半も前のことであった。そんなに時間が経過したという実感はないのであるが、この歳になってくると年月は畳み掛けるように襲ってくる。「光陰矢のごとし」という言葉が胸を突き抜けていく。

 3年半ぶりに目にしたNaruさんのリスニングルームは、何故かしら懐かしく思われた。最初にお邪魔したのは十数年前のことである。それからデシダル機器やアンプの入れ替わりはあったが、この部屋の主であるJBL M9500は変わらないので、部屋の雰囲気はその当時のままである。

 ダークグレーの巨体を持つM9500が、部屋の雰囲気をきりりと締め上げていて、脇を固めるオーディオ機器達がまた実に魅力的なラインナップであるので、部屋に入ってリスニングポイントに腰を下ろすだけで、妙なわくわく感に体ごと持っていかれる感じであった。

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 実は今日のOFF会は、ハンコックさんとのオーディオ談義になった時に「最近アナログの調整はユーミンのレコードを使って行っているんですが、今一つうまくいかないんです・・・」とのハンコックさんの言葉がきっかけであった。

 「ユーミンでアナログ調整・・・それならその道の第一人者であるNaruさんのところに一緒に行ってみませんか・・・」という話の流れとなったのであった。

 まずはCDから2曲聴かせていただいた。Naruさんは「とりあえず・・・」的なノリであったが、DCSの最高級ラインナップである。「とりあえず・・・」的な存在では決してない。オーディオマニアニとっては最終兵器的な存在感を有するウルトラハイエンド機器であるが、この部屋においては脇役的な存在である。

 最初にかかったのは松崎ナオ「39」よりの1曲であった。ギター弾き語りで埼玉県のとある寺院においてワンテイクで録音された曲で、その音楽は実に生々しい。

 その生々しさが全くそがれることなく提示される様に、私とハンコックさんはいきなり耳と心を奪われた。その曲が終わった直後、二人は目を見合わせて笑うしかないという感じで笑い合った。

 「とりあえず・・・」的なCDタイムはじきに終わった。そしてアナログタイムへ一気に流れ込んだ。ユーミンが立て続けに3曲かかった。「紅雀」「VOYGER」「REINCARNATION」から1曲づつが選択された。

 「『豊か』・・・豊かという言葉では追いつかないから『豊穣』とでも言うべきか・・・」「なんだか何一つ欠けることなくすべてのピースの実り具合が実に豊かである・・・」そんな思いが頭の中をくるくると回っていた。

 これはちょっと半端なく「キテイル」感じであった。「何かが降りてきたような・・・神がかり的な雰囲気があるな・・・」とも思いながら、さらにハンコックさんのために選択されたJAZZのレコードから数曲を聴いた。

 小休止を2度挟みながらアナログタイムはずんずんと進んだ。NaruさんのメインジャンルであるROCKからも、素晴らしいレコードがレコード棚から取り出され、曲が選択された。

 個人的には「McDonald and Giles」からの曲が「大人のROCK」の風格が漂う深みのある味わいで実に魅力的に感じられた。

 さらにサンタナの「ブラックマジックウーマン」は、完璧にトリップしまっくている世界が痛快そのものであった。

 音楽とオーディオの濃厚にして恐ろしく緊密な絡み合いが、耳を通じ、脳内を通じ、身体に染み渡っていく独特の心地よさを醸成してくる。

 ハンコックさんが持参されたJAZZの貴重なレコードも、調整に調整を重ね神がかり的レベルに仕上げられたLP12のターンテーブルに乗った。

 こちらも「かっこいい・・・」と、二人して同時に思わずうなってしまう出来で、「かっこいい・・・」ということの価値基準の正しさと深遠さを実感することになった。

 やはり「かっこよくなくてはいけない・・・」。それは見た目的なものだけではなく、生き方というか生き様というか・・・とにかくその人となりの様が、やはりかっこよくなくてはいけない・・・という価値観について、音楽を通じて滔々と語られているかのようであった。

 数時間のOFF会の締めはやはりユーミンであった。セカンドアルバムである「ミスリム」から2曲が選択された。

 OFF会の後は近くの美味しい中華料理屋さんへ・・・オフレコ必至の「裏話」の数々は別の意味合いで刺激的であった。

 実に刺激的で収穫の多いOFF会であった。帰り道、私は今日のOFF会の印象を「豊穣」という言葉で語った。ハンコックさんは「パッション」という言葉で熱く語った。言葉は違うが、同じものを表していたはずである。その証拠に私の目に宿った光と同じものがハンコックさんの目なかにもしっかりと刻まれていた。   

2020/7/5

5231:トーインチ  

 我が家のリスニングルームで今現在流行っているものは、10インチレコードである。一般的なレコードのサイズは12インチである。
 
 それよりも一回り小さい10インチレコードは、12インチのLPレコードがスタンダードになる前、1950年代から1960年代初頭頃まで流通していたようである。

 レコードコレクターの間では「トーインチ」と呼ばれることが多い10インチレコードは12インチのレコードに目が慣れている私には実に愛らしく映る。

 2インチ小さい分音質的には不利な面もあると思われるが、10インチレコードの音には何かしらぐっとエネルギーが凝縮されたような感があり、我が家の帯域の狭いヴィンテージオーディオ装置との相性はいいのかもしれない。

 10インチレコードはそのほとんどがモノラル録音である。オーディオマニアのお宅でのOff会でレコードプレーヤーの上に乗せられることは滅多にない。

 古いモノラル録音であり、当然当時の録音装置の性能もまた盤質も良いとは言えず、「音の良いレコード」という基準からすると、かけるレコードのリストから外れてしまうからであろう。

 我が家でいま「きている」10インチレコードの中で、ORACLE Delphi6のターンテーブルに乗る回数がもっとも多いのが、「J.S.バッハ/ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番、第3番 ズザーネ・ラウテンバッハー(ヴァイオリン)マルティン・ガリング(チェンバロ)」である。レーベルはOPERA。

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 10インチで姿かたちはかわいらしいが、国内のクラシック銘盤専門店ではコンディションが良ければ10,000円以上の値付けがされる希少盤でもある。

 2番と3番、どちらも素晴らしいが私が好んで聴くのは2番の方である。第1楽章の気品ある調べがすぐさま心をとらえて離さない。

 10インチのレコードが増えるということは、モノラル比率が高くなるということでもある。モノラル盤が増えると、頭の中には「MONO針で聴くと随分と違うんだろうか・・・?」という思いが自然と湧いてくる。

 アナログ愛好家には、モノラル針を着用した別のレコードプレーヤーを所有していたり、ダブルアーム仕様にして、片方のアームにモノ針を装着してモノラルレコードを堪能している方もいる。

 Delphi6はダブルアーム仕様にはできないので、モノ針を活用するにはもう1台レコードプレーヤーが必要になるであろう。

 改めて4台並んだGTラックを眺めるとそのための空間は今のところ見当たらない。「もしももう1台レコードプレーを導入するとなると、デジタル系のオーディオ機器を取り払うしかないか・・・」と思った。



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