2020/5/16

5180:デジタルアレルギー  

 「これは、DAコンバーターのデジタル入力端子に差し込んで使います。RCA端子ですので、DAコンバーターのSPDIF入力端子にDACU-500のオス側端子を接続して、デジタルケーブルの出力端子はDACU-500のメス側端子に接続します。」
 
 「DACU-500をCDトランスポートの出力端子に接続することもできますが、その使用方法は説明書によると推奨出来ないとのことです。」

 大川さんはその「面白いもの」の使用方法を説明してくれた。見た目的には実に質素で、大きな効果が期待できるのか不安であるが、わざわざ大川さんがメールで知らせてくれたということは何らかの改善効果が実際にあったのだろうと推測できた。

 「早速、試聴してみましょう・・・まずはDACU-500を使わずに一旦聴いてもらって、その後使った状態で同じ曲を聴きましょう・・・」と大川さんは話されて、CDを選んだ。

 選ばれたCDはベルリオーズの幻想交響曲であった。演奏はブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団。その第一楽章のみを聴いた。

 2系統ある送り出しに関しては、ORACLE CD2000とZanden MODEL 5000の組み合わせが選択された。その音に触れた。MAGICO A3は導入当初よりもエージングが進み、生硬さが取れてきていた。

 外観からは窺えないが、COPLANDのプリンアプとパワーアンプは真空管を使ったアンプである。それゆえかA3の硬質感溢れる外観とは若干違う印象の音がリスニングルームに放たれた。

 第一楽章の演奏時間は「13:58」である。静かに幕を閉じる。リモコンを使ってCDは一旦止められた。

 そして、DAコンバーターであるZanden MODEL 5000にDACU-500を装着したうえで、デジタルケーブルを接続しなおした。

 その状態で先ほどまで聴いていたベルリオーズの幻想交響曲の第1楽章を再度聴いた。冒頭から雰囲気が違う。「あれ、柔らかい・・・空気感が違う・・・」というのが第一印象である。

 実は我が家ではCDを聴く時間はとても少ない。リスニングルームで過ごす時間のほとんどをレコードを聴いて過ごしている。

 アナログとデジタルを比べると、どうしてもデジタルはそっけないというか、他人行儀というか、居丈高というか、腕組みしてこちらを威圧しているような印象を受けることが多く、長い時間音楽を聴くという行為を妨げる要素を感じていた。

 1曲のみとか、1楽章のみとか、短い時間聴いて、アクセサリーやセッティングで音の差を楽しむ「オーディオ弄り」には向いているが、例えば幻想交響曲の全ての楽章をソファに座ってじっくりと聴く場合、聴き疲れしやすいという感じを持っていた。

 しかし、このDACU-500を使用した状態で聴くと、明らかにそういったよそよそしい感じが軽減する。

 腕組みをしていた両方の腕を解いて下方向に垂らし、さらに下斜め方向に45度ほどの角度で広げている姿が思い浮かんだ。それゆえか音楽の懐に自然と入っていける。

 「随分と変わったな・・・デジタルの壁が薄くなり、すっと通り抜けられるような空気感が心地いい・・・」

 それは、第1楽章が奏でられる「13:58」の間、ずっと続いていた。第1楽章が終わった。その終わりにあたっての感想は先ほどとはやはり違っていた。

 「やっと終わった・・・」ではなく「もう終わった・・・」という表現になるであろうか・・・できれば、そのまま第2楽章も聴いてみたいと思わせるような音の質感である。

 「これってかなり画期的ですね・・・」と私は言葉を漏らした。すると大川さんは「taoさんはデジタル嫌いでしょう・・・どちらかというと・・・これを使うとそういう『デジタルアレルギー』の方にとって、もしかしたら特効薬になるような気がしましてね・・・」と応答された。

 その後何枚かのCDをDACU-500を装着した状態で聴かせてもらった。やはり明らかに空気感が違う。

 DACU-500はとても小さな製品である。その外観からは、なにかしらの大きな変化をもたらすものとは推測できなかったが、そのもたらした変化は想像以上に大きく、私の耳には心地良いものであった。 



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ