2020/4/24

5158:BAUHAUS  

 GOLDMUND MIMESIS39DAのブラックアクリル製の蓋を垂直になるまで上に開けた。MIMESIS39DAはトップローディング方式の一体型CDプレーヤーである。

 CDをセットしてスタビライザーで抑える。トレー式にはない機構である。手間と言えば手間であるが、アナログに慣れている者にとっては、こういったセッティングは妙に気持ちが落ち着く。

 自宅試聴の最初に選択したCDは、先日グールドさんのお宅でも聴いたショパンのピノ協奏曲第1番であった。

 グールドさんがお持ちであったものと同じCDが自宅にもあったので、それをCDケースから取り出した。ピアノはマルタ・アルゲリッチで、シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団との共演である。

 録音は1998年である。アルゲリッチはすでに円熟した領域に達していて、ピアノの音色や強弱、リズムなどを自由闊達に変化させて、情感豊かに歌い上げている。

 アルゲリッチの魅力は色彩感に溢れている点と起伏に富んだスケール感であろう。その長所をデュトワが上手く引き立てている。

 最新録音盤のような隅々まで見通せるような解像度はないが、逆にそれが音楽の展開をじっくりと鑑賞できるゆとりのようなものを感じさせてくれる。

 GOLDMUND MIMESISI39DAは新しい機器ではない。発売からすでに四半世紀の年月が過ぎ去っている。この機器を現役で使われているオーディオマニアはごく少数であろう。

 日進月歩のデジタルの世界であるので、四半世紀前と言えば、もうすでに過去の遺物としての取り扱いを受けても致し方ない。

 リモコンを操作すると、CDがするすると回転し始める音が静かにし始めた。MIMESIS39DAのリモコンは質素なものである。プラスチック製の軽量なリモコンは高級感はないが操作に関しては実に分かりやすい。

 GOLDMUND MIMESIS39DAの姿を眺めていると、何故かしら「2001年宇宙の旅」に登場した人工知能を備えたコンピューターHAL 9000のことを思い浮かべてしまう。

 その丸く中心が赤く光るカメラが備わったコントロールユニットの質感がMIMESIS39DAが醸し出す雰囲気と似た質感を有していたのである。
 
 色合いも造形も全く違うものなのであるが、その造形から受ける精緻でクールな質感が同じ種類のものなのかもしれない。

 あるいは、同じオーディオ機器でいえば、さらに古いものになるがBraun SK61などを思い浮かべてしまうのである。

 こちらは1961年の製品である。1961年ということは、ほぼ60年前の製品である。このデザイン力には少し驚く。さすがに「BAUHAUS」の国の製品である。

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 GOLDMUNDはスイスのメーカーである。ただし、主催者であるミシェル・レバションはフランス人である。

 きっとその美意識の基盤にはBAUHAUSUが発信してきた突き詰めた合理主義的・機能主義的な芸術性があったような気がする。

 そんなどうでもいいことを脳内の回路でふらふらと回遊させながら、ショパンのピアノ協奏曲第1番第1楽章に耳を傾けた。



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