2020/4/20

5154:激坂  

 浅川サイクリングロードを進んでいくと、以前来た時には台風19号で道路が一部崩落していて迂回せざるえなかった箇所に差し掛かった。

 すでに補修工事は完了したようで、今日は迂回する必要はなかった。そのまま、川沿いに走っていけた。浅川には5月になると川を跨いで数多くの鯉のぼりが飾られるが、今年はきっと中止になるのであろう。

 和田峠に向かうには、水瀬橋のところまで浅川サイクリングロードを走ってから陣馬街道に向かって右折する。

 陣馬街道はごくごく緩やかに上っている。走り始めて最初のうちは市街地であるが、少しづつ家屋の姿が少なくなってくる。

 市街地が途切れてくると陣馬街道は北浅川に沿って続いていく。昨日の大量の雨が川の水量を多くしていた。同時にその色合いも変えていた。色合いは淡いエメラルドグリーンであった。

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 川を左に眺めながら走っていくと、道の右側にテニスコートが見えてきた。そこでは親子連れがテニスをしていた。子供は小学生くらいであろうか。子供たちの歓声が青空に賑やかに響いていた。

 大きなバスが前方から向かってきた。道幅は広くないので道の脇で一旦止まってやり過ごした。バスの中の乗客はまばらであった。

 陣馬街道のY字路に差し掛かった。その岐路を左に向かった。道幅はさらに狭くなった。向こう側からローディーが1名下ってきた。

 軽く会釈してすれ違った。さらに和田峠の上り口に到着するまでに2名のローディーとすれ違った。

 かるい上り基調の道をしばらく走っていくと、バス停手前の公衆トイレが見えてきた。トイレを済ませてバス停のベンチに腰掛けて、サイクルウェアの背面ポケットに忍ばせていたレーズンパンを1個口にした。

 少し離れた上り口のところに2名のローディーがいた。これから和田峠を上ろうとしているのか、すでに上り終えてここまで下ってきて一息ついているのか判然としなかった。二人はしばらくの間会話していた。

 しばし、遠目に眺めているとやがて一人は和田峠を上り始めた。もう一人は逆に帰っていった。「どういうこと・・・?たまたま知り合いにここで出会ったということか・・・」とその姿を見送った。

 レーズンパンを胃袋に納めて上り始めようとした時であった。携帯に着信があった。スマホの画面を見ると妻からであった。

 「まずいかも・・・」と少し表情が暗くなった。先週単独で走った時に妻とは一悶着あった。「しばらくは遠くには走らないほうがいい・・・」というのが妻の意見であった。「来週からはもう走ったらだめです・・・」と諭されたのである。今朝出かけるとき、まだ妻は寝ていたのでこっそりと出てきたのであった。

 「どうしよう・・・バレバレだしな・・・」と諦め顔でスマホに出た。「走っているの・・・」「どこまで行ってるの・・・」「なるべく早く帰りなさいよ・・・」「もう来週からは走っちゃだめだからね・・・」と矢継ぎ早に、攻撃された。

 「今から帰る・・・来週からはもう走らないよ・・・」と渋々答えた。そうは答えたが、「当分走れないなら、上ってみよう・・・」と、私は和田峠の頂上を目指した。

 LOOK 785 HUEZ RSに跨って走り始めた。和田峠を走るのは随分と久しぶりである。和田峠は私が勝手に「激坂四天王」と呼んでいる激坂系の峠のなかでもかなり強烈な峠である。

 序盤は比較的穏やかである。しかしその穏やかさは長くは続かない。やがて斜度がぐんと上がり、時折思わず苦笑してしまうような激坂が出迎えるようになる。

 半分くらい上ったところで一人のローディーがロードバイクを押して上がっていた。確かに和田峠は足を着かずに走り切ることすら難しい峠である。

 峠道も後半に入った。すると後方から一人のローディーがハイペースで駆け上がっていった。アスリート系のローディーのようであった。

 脚の余力は激坂で急激に削られていった。和田峠を上り始めてからのラップパワーは235ワットとサイコンには表示されていた。

 とりあえず、このラップパワーを維持しながら最後まで頑張ろうと決めて、重くなったクランクを回し続けた。

 和田峠の峠道は3.6kmほどと決して長くはないが、斜度がとても厳しいので実際の距離よりも随分と長く感じられる。

 峠道の終盤に入った時、視界の先にローディーの背中が入ってきた。気持ちが切れそうになるところを、その背中に引っ張ってもらった。

 ヒルクライムは気持ち次第のところがある。前を走るローディーがいると気持ちが切れずにつながることもある。

 ようやくという感じで和田峠の頂上に達した。峠の頂上には峠の茶屋がある。営業はしていないが、その茶屋の前に並べられた幾つかのベンチには先に走り終えたローディーが二人休憩していた。

 頂上を一旦越えてからゆっくりとUターンして峠の石碑の前にロードバイクを立てかけた。ゆっくりと休んでいるわけにはいかなかったので、スマホで記念撮影を済ませて、すぐに下り始めた。

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 「自宅に帰るときっと妻から怒られるであろうな・・・」と下りながら少々気分が重かった。妻は典型的なA型人間である。「今は大変な時期なんだから自転車どころじゃないでしょう・・・」と先週も叱られた。

 「そうだよね・・・自転車どころじゃないよね・・・」と先週はぼそぼそと口ごもってごまかしたが、今度ばかりはごまかしがきかない雲行きである。 



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