2020/4/18

5152:シンプル  

 GOLDMUND MIMESIS 39DAに送り出しが切り替わると、当然のことながら音の質感は変わる。ショパンのピアノ協奏曲第1番の第1楽章を再度聴いた。

 GOLDMUNDに替わると、その音には香り高さや瑞々しさ、しなやかさが加味されたような気がした。音場が広がり、演者者の距離感などがかなりの精度で表現される。

 やはりこの時代のハイエンドらしく、硬質で輝かしく精緻ではあるが、KRELLの時とは質感が異なる。

 KRELLほどには温度感は高くない。どちらかいうと低めと評すべきであろう。だが、決して冷たくはない。

 音の表面にはパウダーシュガーがまぶされたように、ほんのりした甘さが感じられる。Audiのクワトロが見せる矢のような直進安定性というよりも、BMWの3シリーズが見せてくれるような、ハンドリングの滑らかさ、曲ることが楽しい・・・といった感覚が感じられる。

 第1楽章が終わった。その感想を述べるべきと判断して「GOLDMUNDはレアチーズケーキですかね・・・それに対してKRELLはベイクドチーズケーキ・・・GOLDMUNDになると温度感は低くなりますね・・・というよりもKRELLが高いのかな・・・GOLDMUNDでは音がクリーミー・・・口に入れると舌の上ですっと溶けていくようなレアチーズケーキで、KRELLは濃厚でしっかりとした味わいのするベイクドチーズケーキ・・・優劣というよりも完全に好みによる選択になるでしょうね・・・」と話した。

 するとグールドさんは、「GOLDMUNDになると随分とすっきりとした質感になりますね・・・だがらといって、冷たいと言うほどではないし、無機質でもない。その音は『透徹』という言葉が当てはまるような感じでしょうか・・・なかなか絶妙なバランスですね・・・」と評されていた。

 KRELL CD-DSPとGOLDMUND MIMESIS 39DAは、同じくトップローディング方式であり、ある意味共通するデザイン要素を持っているけれども、その受ける印象が随分と違う。

 そして、その送り出す音の質感もまた受ける印象が違う。そしてそれぞれの外観が持つ印象と音から受ける印象は見事なまでに一致する。

 「でも、グールドさんの好みではないですよね・・・きっと・・・」と私が突っ込むと「そうなんだよね・・・何というか・・・食い足りないというか・・・『二人並んですまし顔・・・』っていう歌詞がふと頭に浮かんできてしまって・・・ちょっとすまし顔・・・っていう感じかな・・・もっとぐいと来てほしい・・・」とグールドさんは本音を漏らした。

 「じゃあ・・・小暮さんに戻すことになりそうですね・・・」

 「まあ、そうだね・・・素敵なオーディオ機器であることは確かですが・・・小暮さんもヤフオクで処分しても30万円を下回ることないと言っていましたから、戻します。でも楽しい聴き比べができましたよ・・・」

 その後、GOLDMUND MIMESIS 39DAで何枚かのCDを二人で聴いた。その間、私は頭の中で問答していた。

 「我が家のデジタル比率は低い。せいぜい1割いくかいかないかといったところ・・・リスニングルームで過ごす時間のうちほとんどはレコードを聴いて過ごす。それなのに、デジタルはCDトランスポートとDAコンバータのセパレート構成で、なおかつそれぞれが電源部が別躯体である。つまり4躯体ものオーディオ機器がデジタルのために使われていて、GTラックを占有している。もっと簡略化すべきでは・・・我が家の実情からすると一体型CDプレーヤーで十分なはず・・・一体型CDプレーヤだとGTラックの棚板を一枚だけ提供するだけで済む・・・このGOLDMUND MIMESIS 39DA・・・33万円か・・・高いのか安いのか・・・考え方によると安いともいえる・・・シンプル イズ ベストか・・・1割しか聴かないんだから今の構成はちょっと大げさだよな・・・」

 CDが回転するスピードよりはゆっくりではあるが、私の頭の中ではそういった考えがぐるぐると回っていた。その回転スピードはもしかしたら1分間で33回転ぐらいのペースであったかもしれない・・・



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