2020/4/13
5147:鶯
顔振峠の頂上へ向けてスタートした。スタート地点には民家もまばらにあり鄙びた小さな集落といった雰囲気を残している。
スタートしてしばらくは緩めの斜度が続いている。やがて民家が消え、道の周囲が木々に覆われてくるエリアに入ってくると斜度が厳しくなる。
そして、その後斜度は緩むことがない。スタート地点でサイコンのラップボタンを押した。サイコンにはラップタイムとラップパワーが表示される。そのラップパワーが250ワットぐらいになるように強めの負荷をかけてクランクを回し続けた。
実は最近、スプロケを交換した。チームで走ったロングライドの際にリアのギアがトルクをぐっとかけると勝手に変速してしまう症状が散見された。
リアの特定のギアの歯が欠けた可能性があるということで、スプロケを新調したのである。その際、従来「11-28T」であったスプロケを「11-30T」に変更した。
顔振峠の様な斜度の厳しい坂を上る時には、新調した「11-30T」のスプロケが効果を発揮するはずである。
それを期待しながら前半を駆け上っていった。半分辺りまで走り終えたところでのラップパワーの数値は251ワットであった。
私としてはまずまずの数値である。このままこの数値を維持できればいいのであるが、顔振峠の厳しい斜度はそれを簡単に許してくれそうにはなかった。
先週の時坂峠でもそうであったが、脚に疲労成分が蓄積してくるとケイデンスが落ちてくる。それに伴ってラップパワーの数値も下がってくるのが常である。
後半に入っても顔振峠の斜度は全く緩まない。顔振峠が優しい顔を見せてくれるのは終盤のみである。
それまでは決して厳しい表情を緩めることはない。もっとも直径の大きな「30」のギアを活用してどうにかこうにか後半の厳しい峠道をこなしていった。
峠道が終盤に入ったことを告げる短い下りが待ち遠しい。脚はどんどん重くなって回らなくなってくる。ラップパワーも下がっていって245ワットになった。
ようやく首を長くして待っていた短い下りに達した。少し脚を休ませながら下った。その短い下りが終わるとまた道は上る。
脚の余力が心もとない状況であったが、峠道が残り少ないこと、さらにゴール手前はほぼ平坦になることを心の拠りどころにしてクランクを回し続けた。
やがて斜度が緩みはじめた。斜度が緩むにしたがってギアを重いものに変速していった。スピードが徐々に上がってくる。
最後はラストスパートである。道はほぼ平坦であるのでギアはトップギアに入っている。風切音を耳の鼓膜で感じながら顔振峠の頂上に達した。
顔振峠の頂上には「平九郎茶屋」がある。その駐車場にロードバイクを立てかけて、座り込んだ。しばし呼吸を整えてから、展望台のようでもあるこの駐車場からの景色を眺めた。

予想した通りの眺望であった。遠くに連なる山並は青い複雑な曲線を描いていた。木々の緑、山並の青、空の水色が織りなす景色は胸のすくものであった。
しばし、その景色をぼんやりと眺めていた。すると、トレイルランをしている男性が走ってきて、この眺望ポイントで足を止めた。
「こんにちわ・・・」とお互いに挨拶した。年齢は私と同じくらい50歳代であろうと思われた。山道を走るトレイルランは結構人気が高いようである。
「なぜ・・・わざわざ負荷がかかり足元も悪い山道や峠道を走るのだろう・・・」とトレイルランについて思ったが、もしかしたら先方も「わざわざ、こんな斜度の厳しい峠道を自転車で上るなんて・・・物好きだな・・・」と思っていたのかもしれない。その男性はしばしその景色を眺めてから、また走り出した。
私は十二分に休息時間をとった後、「そろそろ戻ろう・・・」と顔振峠を下り始めた。少し下ったところに美しく花を咲かせている木があった。
一本の木に白い花とピンクの花が今が盛りとばかりに咲いていた。「桜であろうか・・・白とピンクが同居していて華やいだ雰囲気である・・・」そう思って、一旦ロードバクイクを降りて、スマホで写真を撮った。
周囲には2羽の鶯がいるようで、交互にその独特の春めいた鳴き声を響かせていた。その鳴き声はやはり「ほ〜ほけきょ・・・ほけきょ・・・ほけきょ・・・ほけきょ・・・」と聞こえた。
スタートしてしばらくは緩めの斜度が続いている。やがて民家が消え、道の周囲が木々に覆われてくるエリアに入ってくると斜度が厳しくなる。
そして、その後斜度は緩むことがない。スタート地点でサイコンのラップボタンを押した。サイコンにはラップタイムとラップパワーが表示される。そのラップパワーが250ワットぐらいになるように強めの負荷をかけてクランクを回し続けた。
実は最近、スプロケを交換した。チームで走ったロングライドの際にリアのギアがトルクをぐっとかけると勝手に変速してしまう症状が散見された。
リアの特定のギアの歯が欠けた可能性があるということで、スプロケを新調したのである。その際、従来「11-28T」であったスプロケを「11-30T」に変更した。
顔振峠の様な斜度の厳しい坂を上る時には、新調した「11-30T」のスプロケが効果を発揮するはずである。
それを期待しながら前半を駆け上っていった。半分辺りまで走り終えたところでのラップパワーの数値は251ワットであった。
私としてはまずまずの数値である。このままこの数値を維持できればいいのであるが、顔振峠の厳しい斜度はそれを簡単に許してくれそうにはなかった。
先週の時坂峠でもそうであったが、脚に疲労成分が蓄積してくるとケイデンスが落ちてくる。それに伴ってラップパワーの数値も下がってくるのが常である。
後半に入っても顔振峠の斜度は全く緩まない。顔振峠が優しい顔を見せてくれるのは終盤のみである。
それまでは決して厳しい表情を緩めることはない。もっとも直径の大きな「30」のギアを活用してどうにかこうにか後半の厳しい峠道をこなしていった。
峠道が終盤に入ったことを告げる短い下りが待ち遠しい。脚はどんどん重くなって回らなくなってくる。ラップパワーも下がっていって245ワットになった。
ようやく首を長くして待っていた短い下りに達した。少し脚を休ませながら下った。その短い下りが終わるとまた道は上る。
脚の余力が心もとない状況であったが、峠道が残り少ないこと、さらにゴール手前はほぼ平坦になることを心の拠りどころにしてクランクを回し続けた。
やがて斜度が緩みはじめた。斜度が緩むにしたがってギアを重いものに変速していった。スピードが徐々に上がってくる。
最後はラストスパートである。道はほぼ平坦であるのでギアはトップギアに入っている。風切音を耳の鼓膜で感じながら顔振峠の頂上に達した。
顔振峠の頂上には「平九郎茶屋」がある。その駐車場にロードバイクを立てかけて、座り込んだ。しばし呼吸を整えてから、展望台のようでもあるこの駐車場からの景色を眺めた。

予想した通りの眺望であった。遠くに連なる山並は青い複雑な曲線を描いていた。木々の緑、山並の青、空の水色が織りなす景色は胸のすくものであった。
しばし、その景色をぼんやりと眺めていた。すると、トレイルランをしている男性が走ってきて、この眺望ポイントで足を止めた。
「こんにちわ・・・」とお互いに挨拶した。年齢は私と同じくらい50歳代であろうと思われた。山道を走るトレイルランは結構人気が高いようである。
「なぜ・・・わざわざ負荷がかかり足元も悪い山道や峠道を走るのだろう・・・」とトレイルランについて思ったが、もしかしたら先方も「わざわざ、こんな斜度の厳しい峠道を自転車で上るなんて・・・物好きだな・・・」と思っていたのかもしれない。その男性はしばしその景色を眺めてから、また走り出した。
私は十二分に休息時間をとった後、「そろそろ戻ろう・・・」と顔振峠を下り始めた。少し下ったところに美しく花を咲かせている木があった。
一本の木に白い花とピンクの花が今が盛りとばかりに咲いていた。「桜であろうか・・・白とピンクが同居していて華やいだ雰囲気である・・・」そう思って、一旦ロードバクイクを降りて、スマホで写真を撮った。
周囲には2羽の鶯がいるようで、交互にその独特の春めいた鳴き声を響かせていた。その鳴き声はやはり「ほ〜ほけきょ・・・ほけきょ・・・ほけきょ・・・ほけきょ・・・」と聞こえた。
