2020/4/30

5164:一体型  

 レコードプレーヤーの軸受けオイルについては、3種類のものが我が家にある。一つはORACLE純正のものである。純正だけあって安心感があり、使用していてもこれといった欠点が見当たらない。

 最近使い始め、それなりにシェアを伸ばしているのが「スクラワンオイル」である。商品名は「Super oil 磁気処理スクアラン TR-30」。その利用方法は接点の清浄などに活用できるとのことで、軸受けなどの摩擦の軽減にも効果ありとの説明書が付いていた。

 内容量は 100mlで2700円。会社名は TRI トライアソシエイツ。ただし、もうすでに製造が中止されたようで、現在はインターネットでの購入はできなくなってしまった。

 軸受オイルとして1回に使う量はわずかであるので、使い続けても数年間は枯渇する心配はないが、いずれはなくなってしまうであろう。

 このTR-30を軸受オイルとして使用すると、音の質感がとても滑らかになる。どちらかと言うとクラシック向きという印象である。

 昨年インターネットで購入して使ってみたのが、和光テクニカルが製造するハイテク軸受けオイル「TI103MK2」。こちらは10mlで1,400円。

 和光テクニカルは自動車用の様々な潤滑オイルを製造している。オイルの専門メーカーであるので、期待できる。

 音の質感はしっかり感がでる。エンジンのパワーがアップしたような感覚であろうか。さすがにカーオイルの専門メーカー製である。

 3つともなかなかの実力の持ち主で甲乙つけがたい。ということで、1月に1回その日の気分で取り換えたりしているのであるが、一番多く使う機会があるのは「TR-30」であろうか・・・これは私がクラシックオンリーだからであろう。ジャズがメインジャンルの方の場合には「T1103MK2」の方が向いているのかもしれない。

 アナログ好きの方の中にはカートリッジを複数所有していて、気分でカートリッジを取り換えて音の変化を楽しまれている方も多いが、我が家ではオイル交換でその音の変化を楽しんでいたりする。

 カートリッジを複数所有するよりもはるかにコストがかからないので、「まあ、これはこれでいいのかも・・・」と思っていたりする。

 BMWのディーラーから自宅に戻ってきて、リスニングルームに向かった。軸受けオイルの交換はそれほど手間がかかるわけではない。

 まずは以前使っていたオイルを取り除く。プラッターを外してティッシュペーパーや綿棒を使って綺麗にする。

 そして、新しオイルを入れていく。附属品の中にオイルゲージのようなプラスチック製の棒が入っていた。そのゲージには白い線が引いてある。そのラインまでオイルが入るように調整しながら一滴一滴たらしていった。このあたりまでは特に気を使うことはない。

 ORACLE Delphi6は数年前にマイナーチェンジされた。その際ちょっとショックだったのは、一体型のプラッターにこだわってきたORACLEが、そのマイナーチェンジを機にインナープラッターとアウタープラッターの2ピース構成に変化した点であった。

 「DELPHIの弱点とされていた、ドライブベルトの装着が非常に容易になりました。」とメーカーのHPには記載されていた。

 それを見て「なんだよ・・・音のために一体型プラッターに拘ってきたと説明していたのに・・・いきなり宗旨替えしたのか・・・」と少し腹立たしかった。「変えるならもっと前に変えてほしかった・・・」と思った。
 
 オイル交換を完了した後に重く大きなプラッターを元に戻すのであるが、これが一番厄介な作業となる。2ピース構成のプラッターなら全く楽な作業が、一体型だととても厄介な作業となるのである。 

2020/4/29

5163:オイル  

 BMW純正のエンジンオイルに交換された2.OL 直列4気筒エンジンは実に滑らかに回った。BMW純正のオイルはロングライフオイルとのことで、一般的に言われている走行距離5,000kmごとの交換の必要ないと、ディーラーは説明する。

 従来は車が搭載するコンピューターが走行距離等の一定の基準に基づいて計測して交換時期を知らせてくれた場合にのみ、ディーラーに赴いて交換していたが、知り合いの方から「エンジンオイルはディーラーの基準よりも頻繁に交換したほうが良い・・・それもできれば良いオイルで・・・」とのアドバイスを受けたことから、5,000kmを目安に交換するように変更した。

 一度1L6,000円の価格の性能が良いとされるエンジンオイルを使ってみた。確かにその効果はあった。その後さらに5,000km走行後、4Lで6,000円という標準的な価格のエンジンオイルに交換した。

 単純計算で1L当りの価格は4倍の開きがある。その性能面での差は価格差なみにあるのであろうか・・・確かに差はあるような気がしたが、目くじら立てて言うほどの差ではなかった。少なくともドライバー以外の同乗者には感知できないであろう差であった。

 BMW純正オイルの価格が1L当たりいくらなのかは分からない。新車保証延長サービスを新車購入時に申し込んだので、納車から5年間は車のコンピューターの指示に従って行われるエンジンオイルの交換は無料なので、明細書にオイルの価格の記載はないからである。

 さて、そのBMW純正オイルの印象であるが、「かなり良いな・・・さすがに純正だけある・・・」と納得のものであった。

 より滑らかに感じられるエンジンの質感に頬を緩ませながらハンドルを握っていた。「オイルといえば、もう一つのオイルもそろそろ交換時期だな・・・」そう思いながら自宅へ向かった。

 もう一つのオイルとはレコードプレーヤーの軸受オイルである。当初はORACLE 純正オイルを使っていた。

 その後、ものは試しとスクラワンオイルを使用してみた。かなり良い印象を受けた。さらに和光テクニカル ハイテク軸受けオイル チタンも試してみた。これもまずますといいう印象であった。

 軸受オイルは月に1回の頻度で交換する。使用量は極く僅かで価格も高いものではないので、車のエンジンオイルよりも気楽に交換できる。

 月末近くなると交換するようにしていた。「家にたどり着いたら、交換してみよう・・・」と思いながらアクセルを軽く踏み増した。

2020/4/28

5162:後ろ姿  

 唯一の展示車である218i グランクーペの後姿を眺めていた。4つのドアを持つノッチバックスタイルの車は今やマイナーな存在である。

 しかし、50代、60代、70代といった「中高年」に属する人間にとっては、若かりし頃車に憧れを持った時代にはこのスタイルが主流であったので、今でもこのスタイルを好む人間は多い。「中高年」に属する私の目からすると、その形状はやはり穏やかなものに映る。

 Cセグメントに属するこのタイプの車に、今の日本でどれだけの需要があるのかは定かではないが、ドイツ勢はこの分野にも新しいモデルを投入している。

 AudiはA3にセダンモデルをすでに投入している。A3はハッチバックモデルが主流であるが、中国市場ではセダンが好まれる傾向があるようで、本来は中国向けモデルであったセダンが日本にも導入されたのであろう。

 そして、最近フルモデルチェンジされたMercedes-Benz Aクラスにもセダンモデルが導入された。これもきっと本来は中国向けのモデルを日本にもついでに入れたという感じであろうか。

 BMW 218i グランクーペの後姿を眺めながら、ライバル達の後姿はどんなものであったかなと思い、スマホで調べてみた。

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 上の写真がAudi A3セダンの後姿であり、下の写真がAクラス セダンの後姿である。そのスマホの画像と、展示車の218i グランクーペの後姿を見比べてみた。

 「なんだか似ているな・・・2シリーズが一番新しさを感じるが・・・フロントフェイスはそれぞれのメーカーの顔立ちになっているけど、後ろから見たらエンブレムを確認するまで、どのメーカーのものかわからないかもしれない・・・」と思った。

 車のデザインは当然はやりすたりがある。リアのデザインに関してはAudi流の形状がはやっていて、各メーカはそのデザインエッセンスをこぞって取り入れている。

 作業時間は結局45分ほどかかった。「終わりました・・・」とサービス担当の方が告げて、「ウィンドウォッシャー液も補充してきました・・・」と付け加えた。

 新車保証延長サービスを申し込んでいたので、今回のエンジンオイル交換は無料である。これは納車から5年間有効である。あと1年半の残り期間がある。2回目の車検を経るとそのサービス期間は終了する。その頃には走行距離も10万キロを超える予定である。そうなると「そろそろかな・・・」とそわそわし出すのである。「でも、218i グランクーペが次なる愛車の候補に挙がる可能性は極めて低いな・・・」と思いながら、523iのドライバーズシートに乗り込んだ。

2020/4/27

5161:展示車  

 無水鍋に大匙3杯の日本酒を入れて、あさりを蒸した。蓋を時折開けて様子を窺ってすべてのあさりが開いたら、火を停めて一旦取り出した。

 鍋に残っていた日本酒も別の容器に移した。空になった無水鍋にオリーブオイルとみじん切りにしたニンニクを入れて炒め、香りが出てきたら、水に30分ほど浸しておいた米とバターを入れて炒めた。

 米の色合いが透明になってきたら、エノキを敷き詰めてその上にホタルイカを散らした。そして決められた分量の水とあさりを蒸す時に使った日本酒、さらに様々な調味料を入れた。

 沸騰したら火を弱火にして蓋をしたまま10分間、その後火を消して10分間じっと待った。時間が来たので蓋を開けて、別に取り出しておいたあさりを入れ、バジルを振りかけて完成である。スマホのレシピ画面を見ながら、その通り作業を進めていくと、意外と簡単にできた。

 4つの皿に盛りつけてテーブルに並べた。普段まったく料理をしない私が作ったということで、家族は興味津々である。

 その表情は「大丈夫かな・・・」といった不安感も漂っていた。早速食してみた。思いのほか美味しかった。

 自分が考えたレシピではないが、家族が「美味しい・・・」という評価をしてくれると少し嬉しかった。

 昼食を摂った後に、車に乗って出かけた。といっても遠くまで出かけたわけではなく、向かった先はTOTO BMW 東大和営業所である。

 少し前からエンジンをかけると523iには警告ランプが赤く小さく光っていた。その意味合いをメニュー画面で確認するとエンジンオイル交換時期が来たことを示すランプであった。

 前回のディーラーでのオイル交換から10,000km以上走ると交換時期を知らせるために警告ランプが点くようであった。

 ディーラーは10,000kmでの交換で大丈夫とのことであるが、私は5,000km走ると交換する。前回は近所のイエローハットで交換した。

 しかし、コンピューターの操作はイエローハットは行わないので、ディーラでのオイル交換を経ないと、この警告ランプはエンジンをかけるたびに灯ることになる。

 ディーラーに事前に電話すると「1時半以降なら大丈夫です・・・予約を入れておきます・・・」との返答であった。

 自宅からディーラーまでは車で10分ほどである。車の中は暑いくらいであった。この季節は気温の変化が激しい。いわゆる「三寒四温」である。今日は「四温」の方に属していた。

 ディーラーの駐車場に車を停めると、男性の若い営業マンが建物から出てきて、バックで駐車スペースに車を入れるのを誘導してくれた。

 建物の中に入ると、普段は展示車が3台ほど並んでいるが、現在は1台のみであった。その空いたスぺースは、接客テーブルの間隔を広くとるために使われていた。

 ディーラー内はガラガラであった。テーブル席に客の姿はなかった。一番奥まったところに座って待っていると、サービス担当が来て車のキーを預かってから「作業時間は30分から40分ほどです。お待ちください・・・」と言った。

 有料の「新車延長保証サービス」を購入時に申し込んでいるので、5年間は定期的なメンテナンスやオイル交換などは無料である。

 座った場所からは、唯一の展示車の後姿を眺めることができた。その展示車には「218i」と記されたエンブレムが付いていた。

 それは、最近発売が開始されたBMW 2 シリーズ グラン クーペであった。FFに変更された新型1シリーズをベースをしたクーペモデルが2シリーズである。「グラン クーペ」はクーペスタイルではあるが、4枚のドアを有する。流麗なデザインと実用性を兼ね備えている。
 
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2020/4/26

5160:FR比率  

 このブログのFR比率は概ね「50:50」である。FR比率の「F」はフィクション(架空)であり、「R」はリアル(現実)である。

 BMWは「50:50」という理想的な前後重量配分にこだわっている。それに倣ったわけではないが、FR比率を「50:50」に保とうとする傾向は無意識のうちに行われていたようである。

 車の前後重量配分「50:50」を実現するためには、FR(フロント・エンジン+後輪駆動)が有利である。BMWがFRにこだわり続けてきた大きな理由の一つは、そこにあったのであろう。

 しかし、静的な状態では前後重量配分が「50:50」という理想的な状態であっても、実際に走らせてみると車には様々なGが加わるので、4つのタイヤにかかる荷重は刻々と変化する。

 加速をすれば後ろ加重になるし、減速をすれば前加重になる。さらにコーナーでは横加重になるので、その重量配分は走行状態によって変わる。

 現在、コロナウィルスは大きな影響を日常生活の隅々まで及ぼしている。様々な事柄には急ブレーキがかけられたような状態である。

 ブレーキにより急激な減速が行われると、車の荷重は極端な前荷重になる。つまり「F(フロント)」に集中するのである。

 このブログの「FR比率」についても例外ではない。ウィルスの影響により極端な前荷重となり「F」に比率が集中する、つまりフィクションの比率が極めて高くなることが予想されるのである。

 風が吹いていたが天気が良く暖かい日曜日、BMW 523iに乗って自宅を後にしたのは、家で昼食を摂った後であった。

 その昼食は実は私が作った。もともと料理は一切しなかったのであるが、自宅で過ごす時間が普段よりも潤沢になりつつあるので、最近時折試しているのである。

 もちろん自身のレシピなどないので、スマホで検索して「これよさそうだなあ・・・」と思うものを開いてみる。

 そこにはレシピが動画入りで紹介されている。いくつかのそういったレシピをチェックしてみて選択したのは「鮭とあさりとエノキのパエリア」であった。

 ただし、冷蔵庫をチェックしたところあさりとエノキは見つかったが、鮭はなかった。そこで冷蔵庫にあった「ホタルイカ」で代用することにした。

 スマホを傍らに置いて、さっそく調理にかかった。我が家のキッチンには「無水鍋」がある。無水鍋はとても重いという欠点があるが、優れた熱伝導で調理時間が短縮でき、フライパンや片手鍋など様々な機能をこれ一つでこなせるという利点がある。これ一つで最初から最後まで調理できそうであった。

 普段料理をしないので、まずは材料を一式そろえ、調味料なども決められた分量のものを事前に用意した。

2020/4/25

5159:ラ・マンチーナ  

 GULDMUND MIMESIS39DAを送り出しとして奏でられるショパン ピアノ協奏曲第1番第1楽章を聴きながら、何故かしら調布市にあるイタリアンレストラン「ラ・マンチーナ」のことを思い出していた。

 最寄駅である仙川駅からは少し遠く、10分以上は歩くということで、いつも車で行く隠れ家的なイタリアンレストランである。

 ほぼ住宅街と言っていい場所にある。店はこじんまりとした造りで、外観に派手さは全くない。内装も穏やかな質感で、カウンターとテーブル席で10数席という広さである。

 夫婦と思われる(もしかしたら赤の他人である可能性もある)男女二人で切り盛りしている。女性がシェフで男性がホール担当である。

 比較的若い(私から見たら)二人であるが、ここの女性シェフは相当にレベルが高い。特に魚料理とパスタが秀逸である。

 知人から数年前に紹介されてから、何度か訪れている。ここに来ると魚料理が楽しみである。肉料理も悪くないが、魚料理になるとぐんとレベルが上がるのである。その繊細にして色彩感豊かな味わいが独特で舌に心地いい。

 もう一つのマイブームである高円寺の「ガッターロ」とは、ある意味対照的な味わいである。「ガッターロ」は力強く男性的な味わいであるが、「ラ・マンチーナ」は女性的で繊細な味わいである。ちなみに「ガッターロ」は30代と思しき男性シェフである。

 GOLDMUND MIMESIS39DAが奏でる音の質感は、「ラ・マンチーナ」の魚料理である。ORACLE CD2000とi-Dac3(市野式DAC)のペアが奏でる音が「ガッターロ」の肉料理というわけでもないのであるが、両者を比較するとMIMESIS39DAのほうが繊細でふわっとしていて、女性的ともいえる佇まいである。

 アルゲリッチというと「じゃじゃ馬」的なイメージを持たれている方もいるかもしれないが、若い時の演奏の印象と、ある程度の年齢に達した時の演奏の印象はやはり違う。

 このCDの収録時すでにある程度の年齢に達していて円熟味が増している。さらに共演している指揮者であるデュトワは繊細にして雄大といった趣の指揮者であるので、MIMESIS39DAで聴くと、その細やかな質感が引き立つような気がした。

 グールドさんのリスニングルームでも感じたほんのり甘ささえ感じられるクリーミーな音の質感が、我が家のヴィンテージシステムでも感じることができた。

 「ラ・マンチーナ」の魚料理を連想させてくれるMIMESIS39DAは、その音質といい、その精緻でクールなデザインといい、本当に素晴らしいオーディオ機器であった。

 その後も何枚ものCDを聴いた。そして聴きながら腕組みした。腕組みだけでなく脚も組んだ。その組んだ脚をほどき、また組んだ。

 「どうすべきか・・・」

 悩むことは楽しいことでもある。また面倒なことでもある。その両面を味わいながら、リスニングルームの中で時間を過ごした。

2020/4/24

5158:BAUHAUS  

 GOLDMUND MIMESIS39DAのブラックアクリル製の蓋を垂直になるまで上に開けた。MIMESIS39DAはトップローディング方式の一体型CDプレーヤーである。

 CDをセットしてスタビライザーで抑える。トレー式にはない機構である。手間と言えば手間であるが、アナログに慣れている者にとっては、こういったセッティングは妙に気持ちが落ち着く。

 自宅試聴の最初に選択したCDは、先日グールドさんのお宅でも聴いたショパンのピノ協奏曲第1番であった。

 グールドさんがお持ちであったものと同じCDが自宅にもあったので、それをCDケースから取り出した。ピアノはマルタ・アルゲリッチで、シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団との共演である。

 録音は1998年である。アルゲリッチはすでに円熟した領域に達していて、ピアノの音色や強弱、リズムなどを自由闊達に変化させて、情感豊かに歌い上げている。

 アルゲリッチの魅力は色彩感に溢れている点と起伏に富んだスケール感であろう。その長所をデュトワが上手く引き立てている。

 最新録音盤のような隅々まで見通せるような解像度はないが、逆にそれが音楽の展開をじっくりと鑑賞できるゆとりのようなものを感じさせてくれる。

 GOLDMUND MIMESISI39DAは新しい機器ではない。発売からすでに四半世紀の年月が過ぎ去っている。この機器を現役で使われているオーディオマニアはごく少数であろう。

 日進月歩のデジタルの世界であるので、四半世紀前と言えば、もうすでに過去の遺物としての取り扱いを受けても致し方ない。

 リモコンを操作すると、CDがするすると回転し始める音が静かにし始めた。MIMESIS39DAのリモコンは質素なものである。プラスチック製の軽量なリモコンは高級感はないが操作に関しては実に分かりやすい。

 GOLDMUND MIMESIS39DAの姿を眺めていると、何故かしら「2001年宇宙の旅」に登場した人工知能を備えたコンピューターHAL 9000のことを思い浮かべてしまう。

 その丸く中心が赤く光るカメラが備わったコントロールユニットの質感がMIMESIS39DAが醸し出す雰囲気と似た質感を有していたのである。
 
 色合いも造形も全く違うものなのであるが、その造形から受ける精緻でクールな質感が同じ種類のものなのかもしれない。

 あるいは、同じオーディオ機器でいえば、さらに古いものになるがBraun SK61などを思い浮かべてしまうのである。

 こちらは1961年の製品である。1961年ということは、ほぼ60年前の製品である。このデザイン力には少し驚く。さすがに「BAUHAUS」の国の製品である。

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 GOLDMUNDはスイスのメーカーである。ただし、主催者であるミシェル・レバションはフランス人である。

 きっとその美意識の基盤にはBAUHAUSUが発信してきた突き詰めた合理主義的・機能主義的な芸術性があったような気がする。

 そんなどうでもいいことを脳内の回路でふらふらと回遊させながら、ショパンのピアノ協奏曲第1番第1楽章に耳を傾けた。

2020/4/23

5157:自宅試聴  

 ORACLE CD2000に接続されていたケーブルを取り外し、CD2000を慎重にYAMAHA GTラックから降ろして部屋の隅に一旦置いた。

 そしてぽっかりと空いた空間には、段ボール箱から取り出されたGOLDMUND MIMESIS39DAが設置された。

 それは先日グールドさんのお宅で試聴したMIMESIS39DAである。グールドさんは小暮さんのところに戻す予定だと話されていたので、小暮さんに私から連絡した。

 「グールドさんのところでMIMESIS39DA聴いてきました。もよろしければ、私も自宅で聴いてみたいのですが、よろしいでしょか?」

 私が送ったメールに小暮さんは「もちろん、大丈夫です。気にいったら是非購入してください。販売価格は330,000円(税込)です。もしもMIMESIS39DAに切り替えるならORACLE CD2000は買い取りますよ。」と返信してきた。

 という流れで、グールドさんのところにあったMIMESIS39DAは、着払いで私の家に送られてきた。

 やや変色していた元箱に綺麗に納められたMIMESIS39DAを取り出したとき「やっぱり良いデザインだな・・・」と改めてその姿を眺めた。

 我が家のリスニングルームにある3台のGTラックの天板には向かって右からORACLE Delphi6、Marantz Model7、そしてGOLDMUND MIMESIS39DAと並んだ。

 Marantz Model7が二つのORACLEに挟まれていた時と比べると、シンメトリック感は減退したがそれぞれが個性的で独自の美しさを発色するので、これはこれで目に麗しいと言えるであろう。

 ORACLE CD2000もMIMESIS39DAも極めて個性的なデザインである。CD2000はSF映画に出てきそうな宇宙船を連想させる造形をしている。曲線を活用したその造形は躍動感があるが、MIMESIS 39DAはもっとクールで静的な造形である。

 MIMESIS39DAに電源ケーブルを接続して、プリアンプに直接繋がるRCAケーブルを繋いだ。RCAケーブルはジャーマンヴィンテージのケーブルである。現代のケーブルのように被膜に方向性を示す矢印は当然のことながらない。

 ヒヤリングを繰り返してより印象の良いほうに方向性を決めている。このケーブルの方向性に関しては、想像以上の差があるものである。左右別々に比較試聴してRCAケーブルとスピーカーケーブルについてはその方向性を定めた。

2020/4/22

5156:散歩  

 「健康維持のための散歩はいいそうだから、散歩でも行かない・・・?」と、上の娘が言いだした。

 昼近くまで寝ていて、その後もソファでゴロゴロしながらスマホを眺めていたようであったが、さすがに飽きてきたようである。

 「それいいね・・・行こう・・・」と同じようにだらだらと過ごしていた下の娘も同調した。大学はしばらくは休校状態のようである。

 日曜日の午後、天気は最高である。私は午前中の単独ライドで相当量のカロリーを消費していたが、「じゃあ、一緒に散歩でも行くか・・・」と応じた。

 妻は「私は家事で疲れているから、3人で行ってくれば・・・」とのことである。心配性の妻であるが、近所の散歩に関しては寛容であった。

 ということで、日曜の午後3時ごろから3人で散歩に出かけた。我が家から歩いてすぐのところに多摩湖の堤防がある。

 東村山音頭の歌詞にある「庭先きゃ〜多摩湖〜」という感じなのである。愛犬が生きていた頃は散歩コースとして多摩湖の堤防は定番であった。

 3人は自然と多摩湖の堤防の方向へ向かった。気温は高い。20度くらいある感じであった。上着がなくても大丈夫で、長袖のシャツだけでちょうどよかった。

 数分歩くと多摩湖の堤防に着く。しかし、3人は多摩湖の堤防の入り口で立ち止まった。すごい数の人であった。

 家族連れの散歩、ウォーキング、ジョギング、犬の散歩、サイクリング・・・などなど数多くの人々が多摩湖の堤防、さらにはその東側にある狭山公園に集まっていた。

 「あれ・・・いつもよりも明らかに人の数が多いな・・・」とその景色を眺めながら思っていると、上の娘が「これって危なくない・・・?」と、若者特有の尻上がりのイントネーションで問いかけた。

 「ちょっと人が多いね・・・」と私が答えると、下の娘は「密閉ではないけど密集と密接は、少しかかってるよね・・・?」と応じ「二密だよ・・・二密・・・三密じゃないけど・・・」と続けた。

 「どうする・・・?」と訊くので、「コースを変えよう・・・東大和公園に行こう・・・あそこなら人は少ないよ・・・」と答えた。

 多摩湖の堤防の傍には広い駐車場がある。きっと今日は満車であろう。車で来て、多摩湖周辺を散策する家族連れが多かったのであろう。

 3人は踵を返して坂を下っていき、東大和公園を目指した。東大和公園は、多摩湖の南にあり、昔の狭山丘陵の面影を残している公園である。

 雑木林の中を狭い回遊路が巡っている。駐車場もなく場所も少しわかり辛いので、地元の人が時折散策や散歩をするぐらいで、とても静かな場所である。

 多摩湖の堤防入り口から10数分歩くと東大和公園の一つの入り口に到着した。そして雑木林が広がる丘陵地帯を3人で歩いた。

 今は新緑の季節である。淡い緑色の若々しい葉に日が当たりとても美しい。自然は人間界の騒動とは無縁のリズムでしっかりと時を刻んでいた。

 「散歩も場所を選ばないと、危ないね・・・」と言うと「私なんか・・・明日からまた電車通勤だからね・・・山手線にも乗らなきゃならないし・・・いつもよりも空いているけど、がらがらというわけじゃないからね・・・」と上の娘はこぼしていた。

 3人は無駄話をしながら東大和公園の遊歩道をしばしの時間歩いた。丘陵地帯なのでそれなりのアップダウンがある。
 
 稀に雑木林を抜けて開けたところに出る。見晴らしの良いところがあった。「見晴らし良いね・・・」と、そこから住宅地の方を眺めた。

 様々な色の屋根があった。その屋根の下には家庭があり、人々の暮らしがある。のんびりと過ごしている人もいれば、不安と焦燥感に駆られている人もいるであろう。

 「あれ、うちじゃない・・・?」と下の娘が言った。そして右斜め方向を指さした。そこには小さく我が家が見えた。

 「あっ・・・そうだね・・・あれだね・・・ここから見えるね・・・」とつぶやいた。我が家もここから小さく見えた。こんなに遠くから自宅を眺めることはほとんどない。

 数多くの住宅の中の一つとして、すっぽりと風景の中に嵌りこんでいた。「あの家でもう22年か・・・」過ぎ去った時間の長さがふと思われた。 

2020/4/21

5155:禁止令  

 和田峠を下った。下りでは斜度の厳しさがよりはっきりと体感できる。サイコンには勾配を表示することができる。ゆっくりと和田峠を下りながら、その数値を目で追った。

 「15%」「17%」「19%」といった数値がちらちらと目に入ってくる。「きついよな・・・そう、ここ・・・ここで相当脚をやられるんだよな・・・やっぱりすごい斜度だな・・・」と変に納得しながら下りていった。

 路面が濡れていたので慎重にスピードをコントロールしながら下っていくと、2名のローディーが相次いで上ってきた。2名は呼吸が相当苦しそうであった。

 ゆっくりと右に曲がりながら下る激坂ポイントに差し掛かった。サイコンにはその勾配が「21%」と表示された。

 「これが一番厳しいポイントかな・・・」そう思いながらさらに下った。その激坂ポイントを少し過ぎた時、一人のローディーが上ってきた。外国の人であった。大柄で体重もありそうであった。

 「この先すごい坂が待っているけど、大丈夫かな・・・」と思いながら軽く会釈した。一瞬交わした視線には少し困惑の色が見て取れた。

 和田峠の上り口まで下り切った。この先陣馬街道は緩やかな下り基調である。少し走った道の右側に大きな枝垂桜の木があった。

 この辺りは平均気温が低いためか、ほぼ満開の状態を保っていた。「きれいだな・・・来週からはもう走れそうもないので、桜を愛でるのはこれが今年最後かも・・・」と思って、一旦止まった。

 ロードバイクをその木の手前に立てかけてスマホで写真を撮った。周囲に民家はなくちょっとした公園のようになっていた。

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 少しの時間、その桜を眺めた。春風が吹いていた。その風に淡いピンク色の桜の花びらが舞っていた。野鳥はキラキラとした鳴き声を響かせていた。

 わずかばかりの静かな時間を過ごしてから、帰路を急いだ。帰路はほぼ往路を逆になぞる形で進んだ。
 
 陣馬街道を走り、浅川サイクリングロードを走った。浅川サイクリングロードはいつもよりも人が多かった。

 爽やかな空気と景色を求めて家族連れが多く歩いていた。スピードを抑えて慎重に走った。甲州街道まで浅川サイクリングロードを走ってから、大和田橋を渡った。

 甲州街道を少し東に向かって走ってから、多摩大橋通りに入った。アップダウンを何度か繰り返していくと多摩大橋が見えてきた。その橋を渡った。

 ここまで来るともう帰路はわずかである。多摩大橋通りをさらに北上して五日市街道を越えた。やがて道は東大和市に入り、昼前には自宅に帰り着いた。
 
 妻からは「すぐにシャワーを浴びて・・・」との指示・・・結局、緊急事態宣言が解除されるまではロードバイクで走ってはいけないという「禁止令」が発布された。



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