2020/2/1

5074:スタック  

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 2ウェイスピーカーは一般的にはウーファーが下でその上にトゥイーターが位置する。稀に海外製のスピーカーなどにウーファーが上にくる逆配置の製品があったりする。目が鳴れないうちは違和感を覚えるが、目が慣れてくると「こっちの方がお洒落かも・・・」と思えたりもする。

 随分と昔の製品であるが、AVANCEというメーカーのDANAというスピーカーをとあるオーディオショップで見かけたことがあった。DANAはデンマーク生まれのブックシェルフタイプの2ウェイスピーカーであった。

 そのスピーカーはウーファーが上でトゥイーターが下という変則的な配置であった。しかし、何かしら心引かれるものを感じた。

 K&Kさんのお宅でリスニングポイントに置かれたソファに座った際に視界に飛び込んできたスタックされたLo-DのHS-500を目にしたとき、上に設置されているHS-500は上下逆になっているので、ウーファーが上になっている。

 なんだか逆配置のHS-500の方がスマートに見えた。そして記憶の片隅にこびりついていたDANAのことが思い起こされた。

 HS-500は単にスタックされているだけではなかった。2台のHS-500の間には空間がもうけられていて、そこにはパイオニア製のスーパートゥイーターが設置されていた。

 これだけでも相当な陣容であるが、サーロジック製のサブウーファーも加わり、さらには駄目を押すかのように、リスニングポイントの両脇にはリア用のHS-500の姿が・・・なんとこのリスニングルームには合計6台のHS-500があった。

 私の頭のなかには「500×6=3000だからHS-3000システムと呼ぶべきだな・・・これは・・・」という、いささか短絡的な思いが沸き起こった。

 「HS-3000システム」を駆動するのは、全てサンスイのアンプ郡である。607シリーズのプリメインアンプ4台と3台のパワーアンプがその任にあたっている。送り出しはOPPOのマルチチャンネルDACを中心としたPCオーディオである。

 この大かがりなオーディオシステムに注がれている物量と情熱は相当なものである。「マニアック」という表現ではとても追い付かないような膨大なエネルギーを感じた。

 この「HS-3000システム」は、石井式リスニングルームに設置されている。部屋の半分はオーディオスペースで残り半分は奥さまのスタンウェイ製のグランドピアノが占有していた。

 物量が投入された「HS-3000システム」とスタンウェイ製のグランドビアノ・・・どちらも生半可な気持ちでは所有できないものである。

 それらが仲良くスペースを二分している様は、我が家のリスニングルーム(私のオーディオシステムと妻のアップライトビアノが、お互いに侵食しあい互いを邪魔に感じている空間)を見慣れている身には、とても羨ましく感じられた。

 さて、このように大かがりなオーディオシステムであるが、最初に聴かせていただいた女性ボーカルを耳にして、体の筋肉が一気に弛緩した。

 それは、スタックされてかなり背が高くなったスピーカーの後方に広がったサウンドステージに浮かんだボーカリストの表情が実に自然で、その声の肌触りが柔らかく心地良いものであったからである。その女性ボーカリストは手島葵であった。

 その後にかかったオーディオマニア好みの高音質録音のソースを聴いても、これだけ複雑で物量を投入したシステムとは思えない、バランスの良さを聴かせてくれた。

 K&Kさんのメインジャンルであるクラシックはもとより、その他のジャンルもそつなくこなし、「HS-3000システム」は適用力の広さも見せてくれた。

 最後にはアナログも聴かせていただいた。ビクター製のレコードプレーヤーの下にはレコードプレーヤーよりも高価であったというウェルフロートボードが敷かれていた。

 かかったレコードは山崎ハコ。最初にかかった手島葵とは、真逆の音楽世界が眼前に展開した。

 手島葵と山崎ハコ・・・180度真逆ともいえる二人の女性ボーカリストにスタックされたOFF会は充実した時間を詰め込んで完了した。

 逆配置でむしろスマートに見える上に置かれたHS-500が手島葵で、下の通常のユニット配置のHS-500が昭和の香りを色濃く感じさせる山崎ハコであろうか・・・そんなどうでもいいようなことをついつい考えてしまった。

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